第12話
#12....歩兵部隊 部隊長
敗走という言葉が、当てはまるか判らないが、リンクス達イデアルの軍は、リゼルが瀕死の状態のまま、生命維持装置にはいった状態で急ぎ足でイデアルの本拠地である、ソウルシェルの居城を目指していた。背後からオプスキュリテの追撃に備えて歩兵部隊の部隊長テスは、速い退走に身体と頭がついていけず少し混乱しつつも支持をだしつつ退走していた。その中でも一番の難所である両側が、断崖絶壁に挟まれている細い道、死霊の谷に差し掛かっていた。
まだ、オプスキュリテの領地であるこの絶壁に、挟まれた死霊の谷が、テスは、と言うよりイデアル軍にとって一番攻撃されるポイントとして伝令を使い移動しながら各部隊に、司令が出ていた場所であった。リンクスがここ死霊の谷に差し掛かる少し前に生命維持装置に入っているリゼルを乗せた、医療用のカーゴを前方に移動させていた。
死霊の谷に入って少し走った所で、オプスキュリテの下級戦士達がイデアル軍の最後尾にいるイデアルの歩兵部隊に追いついて来ていた。歩兵部隊、部隊長のテスが、「マジかよ!とりあえず前線にいるイデアル軍の進軍を止められる訳には、いかないな!俺達だけで止められるのか。」と自分に問う。テスは、正直自信が無かった。
このイデアル軍歩兵部隊、部隊長のテスは、農民から、イデアルの歩兵部隊に入隊した雑草戦士である。イデアルの軍に、入ったのも自分達の村を荒らすオプスキュリテの軍に、農民達だけで抵抗していて、そのリーダーをしていたのがテスだったからである。
ある日いつものようにテスの村が、オプスキュリテの襲撃に遭っていた。この時は、オプスキュリテの軍も、かなりの部隊を率いて村を完全に掌握しようと攻撃を仕掛けてきた。今迄なら、農民だけでなんとか凌げて来たが、今回は、さすがのテスも他の農民達も降参して命乞いする覚悟を決めていた。白旗を上げる瞬間、辺りが紅く染まり出し眼光真紅の男が、空から舞い降りてオプスキュリテの兵士達を、なぎ払って行く。そのすぐ後からイデアルの偵察部隊が、駆けつけて同じくオプスキュリテの兵士達を駆逐していく。テス達村人達は、戦うのを忘れイデアル軍の、偵察部隊の戦闘を見つめている。
あらかたオプスキュリテの兵士達を倒した所で、眼光真紅の男がテス達の所に、近づいてきて、すぐにテスに頭を下げた。眼光真紅の男は、「遅くなり申し訳ない、以前からイデアルの領地であるこの村が、襲われている事は、聞いていたが、なにせ人出が、足らなく本当に申し訳なかった。」と丁寧に謝罪する。テスは、「今頃来て許される訳ないだろう。」と怒りを爆発させたかったが、この村の長が、目で、テスを引き止める。そしてリンクスに、「いやいやこちらこそ村を助けていただいてありがとうございます。私は、この村の長をしているドッペンと言います。」と丁寧にリンクスに礼をする。リンクスは、素朴なテスという青年に、目を向けて「君が、今迄この村を統率して来たのか?」と尋ねる。テスは、首を縦に動かして頷くだけで精一杯な所に、リンクスが「私は、イデアルの赤眼のリンクスという。よく農民である君がオプスキュリテの軍から、幾度となく村を救う事ができたな。君は、兵士に向いているんじゃないかな。俺は、君の戦闘における才能を高く評価する。君さえ良ければ、イデアルの軍に入る気は無いか?君さえ良ければ。」とカードをテスに差し出す。テスは、そのカードを受け取り「少し考えさせて下さい。」とその場では、答えを出さなかった。リンクスは、「もしイデアルの軍に入る気になったらそのカードを持ってイデアルのソウルシェルの居城まで、来て欲しい!いい返事を期待している。」と言ってこの村の長、ドッペンに一礼してその場を後にした。その3日後テスは、イデアルの本拠地であるソウルシェルに、出向きリンクスの強い進めもありイデアルの王ネロから、イデアルの兵士と認められ、イデアルの戦士となったのである。
思いの外、オプスキュリテの下級戦士の追ってが早い事にテスは、苛立ちを隠せないまま、歩兵部隊に的確な指示を出して行く。そして前方から紅い光が、高速で迫って来るのが分かった。テスは、スゥと一呼吸して紅い光に、目を向けて肩を撫で下ろした。
.............to be continued
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