第11話
#11.....一角獣と俺と......
白虎殲滅部隊を二人?(ほぼ白い少年、ゼノン一人でだが.......)で駆逐し、戦闘の騒がしさがおさまり始めた頃。
荒れ果てた村の真ん中で、返り血を浴びて紅く染まり立ち尽くしている白い少年に歩み寄り、先に進もうと白い少年の前まで、近付いて「行けるか?」と声を掛けた。
遠くからでは、解らなかったが白い紙に、赤いペンキをぶち撒けたような姿になっている白い少年は、泣いていた。いつもの様に、両手から血が滴り落ちるほど、強く拳を握りしめて........
それは、悔しいとか、悲しいとか、そういった感情ではなく、只々虚しさと 昔、暮らしていたシルフ族の幸せだった生活と、優しくてとても、心の大きかったあの 爺ちゃんを!、大好きだった爺ちゃんを思い出して.....俺に、泣いている姿を隠すように下を向いているが、瞳から溢れ出る涙は、止めようがなく、拭う事もせずに、ただ立ち尽くしている。
ゼノンが、作り出した白い霧が跡形も無く消えたそこは、もうすでに日が落ちて、辺りは、夜になっていた。俺は、どうするかなぁと夜の空を仰いだ!そこには、大きな満月と無数の星が輝いていた。もちろん俺にも星が綺麗だとか、満月だ!と思う感情はあるが、昔から夜空を見上げると、なぜかなつかしく、少し感傷に浸りたくなる所がある事に気付いた自分がいた。
その時だった!まだ生き残っていた村人達が急に騒ぎ出した。騒がしい方に、瞳をむけると巨大な馬が暴れているのが瞳に入って来た。そして白い少年と同い年位の女の子が、馬に追われてこちらに逃げてくるでは無いか!白い少年ゼノンは、それすらも耳に入っていないのか泣きながら立ち尽くしている。俺は、とりあえず女の子を助けるのが先だと思い、走って逃げて来る女の子を脇に抱えて横に飛び女の子を下ろして、ゼノンを見る。狂ったように暴れ回る巨大な馬は、ゼノンのギリギリを走り過ぎUターンして今度は、ゼノンに向けて突進を始める所だった。俺は、、ゼノンと馬の間に入って突進して来る馬の鬣を掴み、力づくで横に押し倒して抑えつける。巨大な馬も抑えつけられて少し暴れていたが完全に動けない状態に、力尽きて暴れるのを辞めて静かになった。俺は、静かになった巨大な馬の鬣を掴みつつ、また暴れ無いように慎重に巨大な馬を起こしてやった。そして巨大な馬を宥めようとこの巨大な馬を見たら、白虎殲滅部隊の部隊長で、俺に一撃で真っ二つにされたギルボアが跨っていた巨大な馬だと気付く!それと同時にこの巨大な馬の頭には、一本の角が生えていて伝説の一角獣、ユニコーン さながらだった。多分いや、確実にオプスキュリテで、人工的に、作られたのは、間違いなく!俺は、人だけで無く動物まで、いじくり廻してんのかと、頭に血が登るのを感じ、憤りに胸糞が悪くなった。そして俺は、大人しくなった巨大な馬に、瞳を向け、優しく顔を撫でながら「お前も、オプスキュリテの奴等に、いじくり回された被害者なんだよな。」とぎこちなく微笑んで巨大な馬の背中に、跨った。一本の角を生やした巨大な馬は、さっき力づくで、ねじ伏せられた時にすでにこの黒い戦士を主人として認めていたようだった。だからなんの抵抗も無く巨大な馬の背を跨ぐことが出来た。俺は、この巨大な馬も一人ぼっち何だと思いこの巨大な馬に、情のような思いが、混み上がり、この馬をブラックゲイルと名付けて三人目の仲間とし、主人としてこの先何があっても共に過ごす事を心に誓った。
馬上から、白い少年ゼノンに話し掛けようとしたその時、周りで傍観していた村人達が黒い戦士と、赤い血に染まり立ち尽くす白い少年と、先程まで、暴れていた巨大な角を生やした馬に恐る恐る集まって来た。
集まって来た村人達の中には、さきほど助けた少女も母親と思われる女に、手を引かれて馬上にいる俺の前に恐る恐る歩み寄って来た。集まって来た村人達は、まだかなりの数の人達が、生き残っていた。もちろんこの村の被害が、甚大だという事は、この村の状況を見れば判るのだが。......
それと集まった村人達は、皆 俺と返り血で全身赤く染まり泣きながら立ち尽くす白い少年と先程まで大暴れしていた巨大な角の生えた馬に疑心暗鬼な眼差しで近づいて来る。この村人達の態度も分からなくはない。「そりゃそうだよな。」と声には、出さないが俺は思った。さっきまで村が、襲われて黒と白い輩に助けられはしたがどう見ても正義の味方には、見えない風貌なのは否めない事実で、やっと戦闘が終わった所だが今度は、俺達、に襲われるのではないかと不安もあるだろうし......
元々この村は、赤目ヤローがいる イデアルの領地なのだからそいつらがいれば話しは、早いんだろうがオプスキュリテの白虎殲滅部隊に襲撃を受けて誰もいないのだろうと思われる。一向に俺達の事を聞きに来る兵士らしき人影が、見当たらない。俺も少し休みたいし腹も減っているが、このまま此処に居ても村人達を不安にさせるだけだと思い、ゼノンを乗せて先に進むのが、一番いい判断だと思いゼノンに角の生えた巨大な馬、ブラックゲイルの背に乗るように促す。しかしゼノンに反応は無い。「オイ!早く乗れ!行くぞ!」とゼノンの気持ちは、痛い程わかっていたが一向に動く気配がないのと今のこの状況から解放されたいという思いから、強い口調で言ってしまった。.......
一向に動く気配の無いゼノンに苛立っているとこの村の長と思われる老人が俺の前に進み出てきて言葉を発した。「私は、このマインドリバーの村の村長をしている、ジラフと言う者です。村を救って頂き、なんとお礼を言ったらいいか。」とこちらの出方を伺いながらも毅然とした口調で話して来た。俺は、わざと素っ気ない態度で、「たまたまここを通ったら騒ぎになってたからちょっと手を貸しただけで恩に着る必要は無い。それに奴等を倒したのは、そこでべそかいてる白いガキだからな!礼を言うならコイツに言ってくれ。あとこの巨大な馬もオプスキュリテのせいでこうなったんだから、許してやってほしい。」とジラフと名乗った爺さんに、助けたのは、白い少年で、角の生えた巨大な馬を許してほしい旨を簡単に話した。
..........to be continued
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