第2話
♯2.... 赤眼の戦士とソウルマスター
イデアルの本拠地…ソウル シェルの古城の中に赤眼のリンクスは居た。
「帰っていたのか。」とリンクスに声を掛けてきたのは、イデアルの三番隊、隊長のダーズである。普段は、気作で陽気な男なのだが一度戦闘になると手が付けられない位に暴れ回るので、それを止めるのが、赤眼のリンクスの仕事でもある。なのでリンクスに誰れよりも忠誠心が強く、それによっていざこざが起こる事も多々ある。
「偵察に行っていたそうだなぁ!お前が行かなくても他の奴がいただろう。まったくイデアルの指揮官が偵察しているなんてオプスキュリテの奴らが知ったら笑い者だなぁ。でオプスキュリテの奴らの動きは、どうだった?」と真顔に戻り鋭い視線を向ける。
赤眼のリンクスは、その視線をやんわり交わし「四人のオプスキュリテがこの辺りでうろついていたよ。まさかこんなに早くここがバレるとはな。」とダーズに話す。「で!もちろん始末したんだろうなぁ?」とダーズは、リンクスを問いただす。「始末したのは、一人だけだ。」とダーズに話すとダーズは声を荒げてリンクスに詰め寄り「他の三人は、どうしたんだ!まさかお前が逃がすはずはないよなぁ?」赤眼のリンクスは、さっき会ったパスを渡した男を思い出す。
そして、ダーズに「見掛けない顔の男がオプスキュリテに襲われていてその男が三人殺ったよ。もう一人も倒す勢いだったが、それを俺が横取りした感じだったよ。だがかなりの腕だったからパスを渡しておいた。」ダーズは、眉をひそめ「その男は、信用できるのか?お前が、認めたのなら、文句は無いが。」リンクスは「ヒューマンノイドでもサイキックソルでもなくましてやソウル ゼロでもない感じだったな。とにかく面白そうな奴だったよ。もし奴がオプスキュリテの仲間になったなら、俺が全力で奴を始末するさ。責任をとってな!」とリンクスも軽々しくパスを渡した事の責任を感じている物言いをした。ダーズも「お前が興味を持つ男となると俺達も気になるがなぁ。」と少し不満な顔で言う。そしてリンクスの背後から二番隊 隊長のシャルム.リゼルが二人に声を掛ける。
「ネロ様がお呼びだ。至急聖杯の間に集まれとの事だ。」リンクスとダーズは、頷き聖杯の間に足を進めた。
リンクス、ダーズ、リゼルが聖杯の間の扉を開き前に進み玉座に座るネロに膝間づき一礼し各々の席に着いた時には、すでにイデアルの要人達は、席に着いていた。リンクスは、玉座に座るネロに視線を向ける。まだあどけさの残る少年は、玉座に負けまいと必死に凛々しく振る舞おうとしている。今のこの世界にイデアルの王家の血を引く残り少ない人間、ソウル ゼロであり、王家の血を引くソウル マスターなのである。ネロの脇に立つ初老の男が口を開いた。「ネロ様からの助言である。幾つかの龍が地に落ち、今、黒い龍が目覚める時、新たなる扉が開かれる。その時、時代は動き出す。とネロ様のお告げである。」と初老の男 ハインツ -バルサが重々しく言う。ハインツ バルサは、代々イデアル王家に仕える男で、かなりの能力者と言われている。ネロが心から信頼出来る能力者の一人である。ハインツ バルサは、リンクスに目を向け次の戦闘について話すように促した。リンクスは、立ち上がり、ネロに一礼してから話しだした。「先ほど偵察に行った処、四人のオプスキュリテに合い戦闘になりました。ここも早い段階で見つかる可能性があります。こちらから五日後に攻撃を仕掛けようと思います。」とこれからの作戦などが話し合われ約二時間の会議は、終了した。
そして、静まり返る聖杯の間に、ネロとリンクスの二人の姿が見受けられる。会議終了後にネロ自身がリンクスをここに留まらせたのだ。リンクスがネロに話し掛ける。「何か、心配事でもお有りですか?陛下」と少し改まって話す。ネロが頬を膨らませて「二人の時は、陛下は、辞めてくれ!息苦しくてたまらないよ!」と先ほどまでの玉座に座って凛々しくしていた人間と、同じなのかと思う位子供じみている。リンクスは、これがネロの本当の姿だと微笑ましく思う。そうでなくても、王としての立場とソウル、 ゼロとしての自分の希少価値であり、ソウルマスターとしての指名という重圧でいつ押し潰されてもおかしくないとおもうほど細くきゃしゃな身体で良く頑張っていると思う。リンクスは、このネロという少年に助けられ今があると思っている。リンクスとネロの出会いは、ネロが城を抜け出してスクラップ工場らしき跡地に来ていた時である。このスクラップ工場らしき跡地は、城の中しか知らなかったネロにとってかっこうの秘密基地になっていた。ネロがいつもの様にスクラップ工場を探索していると工場の奥の方から呻き声が聞こえてきたので奥の方に走りよって行くと目を紅く光らせた男が呻きだし苦しんでいる様子だった。世間知らずのネロは、危険だとは、一切考えずにリンクスに近づき声を掛けた。リンクスは、紅い目をネロに向ける。心の中で「なんだ、子供か!」と認識したが、身体が自分の意思とは、逆に暴走し始めた。剣を抜き放ち、ネロに斬りかかった所、ネロの身体から閃光が放たれリンクスは、その閃光をモロに受けた。その閃光は、リンクスを包み込み、まるで母に抱かれているような感覚を覚え、頭と心と身体が一つになっていくのを感じた。この時からリンクスは、イデアルの戦士として働き、いまの指揮官としての立場にまで登り詰める。「リンクス!」と急に重い口調でネロが話し始めた。「さっきも言ったが、黒い龍とは、決してたたかってはならん!特にお前は、」と陛下として命令するかのように話した。リンクスが大きくひと笑いし、「ネロは、この赤眼のリンクスがその龍に殺られると?」ネロは、首を大きく降りかすれる声で「そうじゃない!そうじゃないんだ!何故かその龍とリンクスは、会っては、いけない気がするんだ。」と目に涙を浮かべてリンクスを見る。リンクスは、ネロが、初めて自分の身を案じているのを見て少し不安を感じ、まさかと少し思ったが、ネロに、笑顔を返す。ネロは、ソウルマスターなのである。その能力は、予知能力でその能力でイデアルを今まで引率し幾度なく危険から守り続けてきた。今まで、ネロの予知は、外れたことはない。リンクスは、ネロを心配させない様「わかったよネロ。でも俺は、負けない。俺は、オプスキュリテを倒しお前達が平和に過ごせる世界にするのが俺のお前達への恩返しだと思っているからな。」とネロに微笑み「でも、ネロの予知は、外れた事はないからな!十分気をつけるさ。」とネロの気持ちを汲んで答えた。ネロも首を縦に降りリンクスの紅い目をみて微笑みかえし、そしてリンクスは、ネロに一礼をして聖杯の間を後にした。
.....その五日後、赤眼のリンクス率いる、イデアルのサイキックソル部隊は、オプスキュリテの居城である黒夜の塔に出撃する。
..........to be continued
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