第三章 屋台

神社の中に入るとそこにはたくさんの屋台が並んでいた。

お祭り定番の焼きそばやたこ焼き、金魚すくいや射的などなど。

「うわぁ!いっぱいあるね!どこから行こうかなぁ!」

ミオはきらきらと目を輝かせながら辺りを見ている。

「どこでもいいけども、とりあえずよだれは拭けよ?」

ミオはジュるようにルリとよだれをすすった。


俺たちは屋台を楽しんだ。

金魚すくいでは、ミオはやったことないけど一人でゲーム配信で1時間やったから余裕!と謎の自信。

もちろん結果は散々で、お兄ちゃんにおまけで一匹金魚ももらっていた。

しかし射的ではそうはいかない。

ミオは射的がとてもうまく、バンバンと景品を打ち抜いていくものだから、射的屋のおじちゃんが勘弁してくれと泣きながら訴えていた。


「楽しかった~!次は~…ん?おにぎり屋さん?屋台にしては珍しくない?」

「確かに見たことないかも。いってみるか」

そう言っておにぎり屋さんへ向かった


「いらっしゃぁ~い!おや?ミオちゃんだ!」

「あれ?おかゆんじゃん!どうしたのこんなところで」

「僕はばあちゃんの屋台の手伝いで来てるんだぁ~!そういうミオちゃんは?デート?」

「デ、デートじゃないって!」

「ふーん…」

彼女も同じVtuber仲間で名前は猫又おかゆ

先ほどの戌神ころねと同期らしくころねと違っておっとりした性格らしい。

猫又おかゆはニヤニヤとしながらミオを見つめる。

「お、おにぎり2つ!」

「はいよ~!ばあちゃんおにぎり二つ~!」

おにぎりを受け取ってその場を逃げるように去った。


「うぅ…こんなにも知り合いと会うなんて…疲れた…」

ミオは知り合いと次々と会うものだから疲弊しきっている。

「そもそもみんな今日予定あるって言ってたじゃん…」

「予定があったかここにいるんだろ?家族と来たり、屋台の手伝いとか」

「うぅ…」

正論を言われたミオはうなだれていた。

「次はどこに行く?」

「ん~そうだなぁ…あ!トウモロコシ!トウモロコシまだ食べてない!」

「おいおい…いくら何でも食べ過ぎじゃないか?」

「別にいいじゃん今日くらい!」

ミオはそういうと俺の腕を引っ張ってトウモロコシの屋台へと向かった。

「すいませ~ん!焼きトウモロコシ二つ!」

「はいよ~!ちょっと待ってな!」

ミオは注文するとこっちを向いた。

「あ、そうだ!神社の真ん中で短冊書けるじゃん!書いていこうよ!」

「短冊?昨日も書いたじゃん?」

「いいじゃん!まだ描きたい願い事あるんだよ!」

「ま、まあいいけどさ…」

「お待たせ~!焼きトウモロコシ2つだよ~」

「あ、ありがとうござ…ってフブキ!?」

「HAHAHA‼お嬢ちゃんかわいいね!デートかい?」

「フブキ何ふざけて…はぁ…もういい…突っ込むの疲れた…」

「よし!おいちゃんからのサービスだ!もう一本持ってきな!」

「そんなに食べれないよ!じゃあね!」

「おう!楽しんできなっ!」

彼女の名前は白上フブキ。

ミオとは幼馴染で同じクラスだそうだ。

「相変わらずフブキちゃんは面白い子だなぁ」

「ほんと…ね…」

ミオは苦笑いしながらトウモロコシにかぶりついていた。


トウモロコシを食べ終わり、短冊を書きに神社の真ん中に立ててあるテントに向かった。

「今日は見ちゃだめだからね?」

「はいはい」

そういうとミオは俺に見られないように短冊に願い事を書いていた。

「さて、何を書くかなぁ…」

考えたのち短冊に願い事を書いて笹にくくりつける。


ひゅ~~~~~・・・どどーーん!


大きな音が鳴り響く


「あ、打ち上げ花火が始まった!川沿いに行こう!」

ミオに腕をひかれ川沿いへ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る