第7話プレゼン(ガンシューティング)
「なんや、スポコン。もうええんか。自分のテニスゲームまだやっとらへんやん」
スポコンがまだ自分のゲームをやって見せていないのに、順番をゆずったのでマグナムが変に思ったみたいだ。だが、スポコンはにこやかに笑ってこう答えるのだった。
「えへへ、もういいんだ。だから、マグナムちゃんがしていいよ」
「スポコンがそないに言うんなら、うちはかまわへんけど。あとで文句言うなや」
「言わないもーん」
「機嫌がコロコロ変わるやっちゃな」
マグナムはそう言いながら、スポコンのディスクを自分のディスクと入れ替えて初代プレステの電源を入れた。
「ちなみに、うちだけガンシューティング用に専用ガンコントローラー使うんやけど、これひきょうか? なんなら、あんたらはジョイスティックコントローラーとか、連射コントローラーとか使ってもええんやけど。普通のコントローラーだけしか使っちゃあかん言われても困るけどな。ガンシューティングを普通のコントローラーでやってもなあ」
マグナムがそう言うと、他の四人は特に不平を言わなかった。
「そうですねえ、あたしはかまいませんよ。格闘ゲームだったら、ジョイスティックのほうがやりやすいかもしれませんし。おじさんは格闘ゲームって、普通のゲームパッドコントローラーでやる派ですか、ジョイスティックコントローラー使う派ですか」
「わたくしのベルトスクロ-ルアクションにも格闘ゲームみたいなコマンド入力がありますし、ジョイスティックコントローラーのほうが都合がよろしいのでしょうか、おじさま」
「わたしのシューティングゲームは、ボタン押しっぱなしでショットが連射できるようになってるから連射コントローラーは必要ないんだ。けど、おやじさんがゲームパッドコントローラーでやるのとジョイスティックコントローラーでやるのとでは違う雰囲気を楽しめるだろうから、コントローラーに制限はかけないでもらったほうがありがたいかな」
「僕のテニスゲームだと連射が必要なシーンがあるけど、連射コントローラーは使えないようにしてあるよ。機械連射で入力の間隔が一定だと、無効になるようになってる。けど、マグナムちゃんがガンコン使いたいって言うのなら使えばいいんじゃないかな」
カクゲー、ヨコスク、シューター、スポコンがマグナムを責める様子もなかったので、俺もそれに乗っかることにした。
「そ、そうだな。俺もジョイスティックコントローラーのほうが何かとやりやすいだろうし、マグナムのガンシューティングゲームでガンコンを使うのは問題ないんじゃないかな」
「ええんか、みんなおおきにな。ほんならガンコン使わしてもらうで。ガンコンはちょいと接続がややこしいんやけどな……おっちゃんとこのテレビがブラウン管で助かったわ。液晶テレビやと画面出力の関係でこのガンコンが使えへんからな」
マグナムがそう言いながら、自分のカバンから取り出したガンコンを初代プレステにつなぎ始める。俺が地デジによってテレビ中継が映らなくなったブラウン管テレビをレトロゲーム用にずっと使っていたことがさいわいしたようだ。やっぱり昔のゲームはブラウン管テレビでプレイするに限る。
俺がそう思っていると、マグナムがスポコンのディスクと自分のディスクを入れ替えて初代プレステの電源を入れた。しばらく起動画面が流れて、『リボルバーコンビ』というタイトルが表示された。すると、マグナムが俺にガンコンを手渡してくる。
「ほい、おっちゃん。ためしにプレイしてみーや。おっちゃんもガンシューティングくらいやったことあるやろ。敵が出てきたらそのガンコンで狙って撃てばええんや。うちのゲームはシンプルなもんやから、いきなりでも楽しめるやろ」
「え、俺がやるの? プレゼンだからマグナムがやってみせるんじゃないの」
「ゲームなんて、本人が実際にプレイするのがいっちゃんわかりやすいやろ。余計なプレゼンなんてしとうないわ。難しいことあれへんから、とりあえずやってみてえや」
マグナムにそう言われて、俺がガンコンでプレイすることになった。
バンバンバン、ガチャ、バンバンバン
ガンコンで画面に出現する敵を撃っては、画面の外を撃って弾丸をリロードして、また画面の敵を撃つと言うことを繰り返す。敵は傭兵みたいな感じだ。主人公が敵のアジトに乗り込んでいって、たくさんいる敵を倒していく現代戦のような世界観らしい。
「どうや、おっちゃん。おもろいやろ」
「そ、そうだね」
マグナムのガンシューティングゲームはゲームとしては単純に面白い。へたにひねりがきいていない分、シンプルにとっつきやすい感じがする。俺がそう思っていると、カクゲー、ヨコスク、シューター、スポコンが文句を言ってくる。
「ねえ、おじさん。まさかそのまま最後までプレイしたりしないよね」
「そうですわ、おじさま。これはあくまでプレゼンなんですのよ」
「マグナムのゲームだけ全部やるのはずるいよ、おやじさん」
「おじちゃん、そろそろどのゲームにするか決めてよ」
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