決着!!穴VS穴 forダークサイド
「貴様一体何処から!!!」
驚く穴神を余所に師匠の行動は迅速だった。
瞬く間に穴神穴流カダル鷹のバックを取るとそのまま杭打ちアーナンスープレックスへと展開、そしてぶっこ抜きからのトランスフォームで穴神は時空の扉を開いたまま空高く舞い上がった。
「今だ!行くぞ」
「え!でも………」
「デモもクソも無い!思い出せあのデンマ地獄を!」
『辛かった師匠との無限地獄!!イキたくてもイケないイキ地獄!アレを乗り越えたんだ。俺ならヤれる!!!』
「併せろ!」
「ラジャー!」
穴神、穴流カダル鷹の右側を俺が、左側を師匠である穴澤ゴッドハデスが極める。
「喰らえ穴神!!!」
「コレが!」
「トゥインクルスーパーぁあ―――――」
「ファナティッククライシスぅう―――――」
「「マキシマムだぁぁあああああああああ!!!!」」
俺の左踵と師匠の右踵が穴神の股間にそっと添えられる。
踵と踵が触れあうとあたかもハートマークを模った様に見えてくるから不思議だ。
愛――――
そう、愛なんだ。
俺達は時空の穴へと落ちていった。
○●○
「我々の目の前で、二人の穴戦士が大きな穴に飲み込まれて行きました。余りの現実離れした光景に現在会場は騒然としています。ファンの方でしょうか?何やらすすり泣く様な声も聞こえてきます。心配ですね原田さん」
「そうですねぇ、もしかしたらコレは穴神の仕業かも知れませんね」
「穴神、と言うと?」
「最強の穴戦士が生まれた時現れると言われる伝説の穴神、詳しい事は私も判りかねますが、これだけは言えます」
「何でしょう?」
「二人はもうすぐ帰ってくるでしょう。きっと穴から」
「それは何故?」
「穴神も穴戦士だからですよ」
「なるほど!」
原田さんの意味不明な言葉を取り敢えず終わらせる。
どうなる事かと不安からぼんやり会場の上部を見え上げた時、突如空に罅が現れた。
ピキピキピキピキ―――――
「おおっと、アレはなんだぁ?空間に罅が入っているぞ?コレは夢か?一体全体私は何を見ているんだぁ?」
「……がぁぁぁ」
「おや?何か声が聞こえますよ?原田さん」
「この声は……」
「まさか――」
「「マキシマムだぁぁあああああああああ!!!!」」
「アレは!!!あ、穴澤ゴッドハデスとアナーキー向居だぁぁあああああ!!!」
空中から落下してきた二人と何か。
その余りの威力にマットが真っ二つに折れ会場内に埃が舞い上がる。
埃が収まった時、マットのど真ん中に真っ白な男性が股間を濡らしたまま、まるで犬神家の様にそそり立っている。
その姿はある種の芸術まで昇華されており見る者全てに涙を誘った。
そう。
この日、日本中が泣いた。
「私の言った通りだったろう?」
「穴神、確かに恐ろしい敵だった。師匠がいなければ、俺だけなら無理だったかも知れない、だけど不意打ちは―――――」
「青いな。要は最後の瞬間勝っていれば良いのだよ」
師匠、いや穴澤ゴッドハデスがすっと構える。
「やはり、相容れない――――か」
それに答える様に俺も構える。
穴神が突き刺さるマットを二人が時計回りにゆったりと回っていく。
「おおっと、マット中央では二人の穴戦士が互いに睨み合っている。隙を伺っている猛獣の様に、互いが互いを睨め付ける!!!正に一触即発!!!!」
「今日こそ勝って俺は、俺の正しさを証明する!!!」
「ふん。最強は揺るがない事を教えてやる」
「おおっと、コレは力比べの体制かぁ?両者申し合わせた様に両手を突き出したぁ………アナーキー向居が徐々にぃー徐々にぃすり足で近づいて行く。それを絶対王者が迎え――――――――無い!」
ドガガガガガァァァアアアアン!!!
「まさかのナックルゥゥウう!右と左と交互にナックルぅぅう!!!止まらない止まらない!怒濤のナックル!コレこそが絶対王者、コレこそが鮮血の赤いあなぁああああ!!!残虐皇帝此処に在りぃいいい!!!!!」
「アレ、痛いんだよね」
「そう言えば原田さんも現役の時穴澤ゴッドハデスと対戦してましたね?如何でしたか?」
「強かったよ。侮った訳じゃ無いんだけどね、穴だけに」
「なるほど!」
なんて重い拳なんだ。
一発一発がまるで重機の様だ。
こうなったらアレをやるしか無い!!!
「穴神シーーーーーーーーーールドっ!!!!!」
穴神の肉壁で何とか穴澤ゴッドハデスの猛攻を防ぐ。
「クックック、随分様になってるじゃ無いか?まるでヒールみたいだぞ?正義気取りは辞めたのか?」
「くっ!」
『このままじゃじり貧だ。一か八か……』
「アナーキー向居が動いたぁあ!足を取って穴澤ゴッドハデスを引き倒したぁぁああああ!!コレは―――――」
「喰らえ!穴ゴンスクリュゥウウウウ!!!」
「コレは綺麗に決まりましたねぇ~」
「おや?コレは穴ゴンスクリューからのぉ~~雪崩式シャイニング穴ザーーーーだぁあ!コレは堪らない!流石の穴澤ゴッドハデスも此処で終わりかぁ!?」
「イヤ!奴は侮れないですよ!あ「なるほど!」………」
俺の踵に固い膨らみを感じる。
コレは決まった!
超高速微振動で踵から高周波を発生させるシャイニング穴ザー。
このこそばゆい快感から逃れる手は最早無い!
イケ!!!
「おっと、レフリーが穴澤ゴッドハデスの顔を覗き込む。未だだ、まだチャンピョンはアヘ顔を晒してはいない!此処でローリング!返した!間一髪で返したぁ!チャンピョンの燃える闘魂に火が点いたかぁ!?」
まさかアレを返すなんて!!
「穴戦士に同じ技は通じない」
「ば、馬鹿な!」
もっこりしてるじゃないか!
あんなにもっこりしてるじゃ無いか!
何故イカない!!
「次は私の番だ」
「―――ひぃっ」
暴虐の拳が襲いかかってくる。
余りの恐怖に身を縮こませてしまった俺には避ける術は無かった。
「真正面から振り被ってからのアッパーカットぉおおお!!強烈!!!!アナーキー向居の巨体が宙に舞う!!!」
「そして喰らえ!!!コレが
「宙に舞うアナーキーに追討ちをかける!!残虐非道!!!最早死に体のアナーキー向居に逃れる術は無い!!!なんだコレは!!!誰が此処まで一方的なし合いになると予想したでしょうか!?おっと此処でレフリーが止めに入る!腕を交差したぁああ!!!試合終了!試合終了です!!!」
カンカンカーーーーン!!!
甲高いゴングの音が会場に鳴り響いた。
「勝者!あなざぁああああああゴッドぉぉぉおおおおハデェェエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!!!!!!」
Fin
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