穴【ホラー要素あり】

 あな

 くぼみ、へこんだ地面、あなぼこ―――鼻の穴、毛穴、陰門についても言う。

「―を掘る」「―だらけの道」

 けつ

 後ろ、しり。

 俗に言う「最後」の事。びり。

 男色。



 私は穴には様々な意味があると思っているし、事実ある。

 それは上記に述べたような意味だったり、それ以外だったり。

 こんな話しをいきなりしておいて何だが、実は私は穴が苦手だ。

 俗に言う集合体恐怖症、格好良く言えばトライポフォビアと言うらしい。

 それは穴だらけの蓮の花托かたくだったり、スイスチーズの穴だったり。

 ともかく穴の集合体に人は恐怖を覚えるのだ。

 それ自体になんの害は無いのに、何故かぞっとする。

 今日はそんな穴への恐怖を掘り下げていきたいと思う、穴だけに。



 穴に纏わる話しでこんなのがあります。

 有名な話なので知っている方も多いと思います。

 『スピーカー事件簿』

 聞いた事あるでしょう?

 え?無い?結構有名な話しなんですけどね。

 では折角ですので、少しだけ掻い摘まんでお話し致しましょう。

 穴に魅せられた悲しい男の話を。



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 とある民家での話。

 一人の男が居た。

 男はある時、父親から大事にしていたケンウッドの高級スピーカーを譲り受けたそうだ。

 折角譲り受けた高級スピーカー。

 使わない手は無い。

 そう思った男は家にスピーカーを持ち帰ると、すぐさまセッティングし、当時初夏だった為汗を流すためシャワーを浴び、お風呂上がりに全裸で音楽をかけたそうです。

 初めて使ったスピーカー、そのあまりの重低音に男は音量を下げようとスピーカーに近づいた。

 するとどうだろう?

 男は重低音が生む振動で自身のオーガナイザーを増幅させてしまったのだ。


 その日から男は試行錯誤を開始した。

 そして男はスピーカーとテンガの融合という未知の領域に達してしまったのだ。

 感動に打ち震えた男はなるべく振動の激しい曲をと言う事で「黒ブラックドリーム夢」の「天使大好きLikeaAngel」を厳選した。

 曲の始まりが特徴的なオンビートで始まる為、男のオーナメントは既にスタンバイ状態。

 デッキにパイルダーオン状態から再生ボタンを押した。

『ドドドッ!ドドドッ!ドドドッドド!!』

 爆音で流れ出すパンキッシュなビートに男のオリエンタルシンボルはぎゅうぎゅうに締付けられた。

 これは!と期待感に男が腰を振ろうとした瞬間、男は気付いてしまったのだ。

 




 抜けない事に。


 大好きなエンジェルに猛烈に締付けられる。

 それは、もはや圧迫。

 締め付けなどと生易しい物では無かった。

 男は強烈な圧迫から抜け出そうともがくも、穴からオメガは一向に抜けず余りの痛みに男は意識が朦朧とし出した。

 そして男は助けを呼ぶ為に電話をした。

 最初に弟。

 出ない。

 次いで元カノ。

 出ない。

 最後に119番。

 流石に出た。


『どうしましたか?』

「スピーカーに挟まれて抜けないんです」

『詳しい状況を教えて下さい』

「スピーカーの穴に陰部が入って抜けないんです」

『…………ちょっと何言ってるか分からないです。もう一度詳しい状況を教えて下さい』


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 当時、男が住んでいた賃貸物件に大家、救急車2台とパトカーまで出動する騒ぎとなったそうだ。

 穴に魅せられて、穴の虜になった男の顛末。

 男のオッパッピーは1週間ほど紫色に変色したままだったそうです。

 恐ろしい話ですね。

 穴。

 穴。

 穴。



 




 嗚呼、そうだ。

 この話にはまだ続きがある様なので気になる方はググってみると良いですよ。

 懲りないですね、穴だけに。


―――――――――――――――――――――

補足情報

タイトル横の【ホラー要素あり】と言うのは元来匿名短編コンテスト主催者の板野かも氏がホラーが苦手な人の為につける物なのですが、第4回匿名短編コンテスト闇編にてこれの以前に2タイトル偶然同じタイトルがあったため私黄金ばっどがネタで偽造した物であります。

ある意味怖いとかでは上記の【ホラー要素あり】は本来つかないのです。

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