Omikujiプレミアム会員
『Omikujiで運命の出会いを探そう』
食事休憩中、なんともなしに目を引かれたのは広告のモデルの女性が好みだったから。
僕がついバナーをタップしたのは単純な理由から。
そんな理由とは別に、実際僕自身焦っていたと言うのもある。
地方出身と言う事もあり友人達は早々と結婚していた。
誰だったか覚えてないが、この間の同窓会で話してた内容が娘が高校を卒業するとかでかなり衝撃を受けたのを覚えている。
自分はと言うと26歳の時、当時付き合っていた彼女に手ひどい裏切られ方をしてからと言う物、女性不信となり素人は受け付けなくなってしまったのだ。
あれから一回り。
アラフォーと呼ばれる年になった僕は未だ独身だ。
身内はと言うと、妹は結婚と出産を繰り返し母も出ていたり帰ってきたりを繰り返している。
両親は早くに離婚し、僕自身結婚という物に希望が持てない様な周辺環境で過してきた。
ただ最近妹が甥っ子を連れて来た。
まぁそれが可愛いのだ。
本当に。
子供が欲しい、愛に飢えた僕がそう思ってしまうのも仕方ない。
そんな訳で不肖の息子と呼ばれて38年の僕がそろそろ結婚と言う物を意識し始めてみた。
正直昔は結構モテたし直ぐ彼女ぐらい出来る。
そんな風に簡単に思っていた時期が僕にもあった。
だけど、彼女を作ろうにも何も今の僕には出会いが無かった。
昔は誰かに頼めば直ぐにコンパ開いたりしてくれていたのだが、今や友人達は子供のPTA絡みでの呑み会や、会社の歓送迎会程度しか呑まないと言うじゃ無いか!
どうなってるんだって言いたい所だけど、結局は僕自身が遊び独り身で居たツケが今廻って来たと言った感じだ。
考え抜いた結果選んだ出会いの方法は、出会い系アプリだ。
二昔前は本当に酷く、どう見ても60歳超えている女性が待ち合わせに現れ「私、美紀28歳宜しくね」って言われたと事もあった。
だけれど今はそう言ったダーク?な話しは余り聞かず、結構まともな出会いがあるらしいとの事だ。
ただそれもネットでの情報故に何とも言えないのだけど。
それでも何もしないよりマシと言う事で結局僕は出会い系のバナー広告をタップするに至る。
『Omikujiで運命の出会いを探そう』
おみくじって運試しかよっと少し突っ込みたいネーミングセンスだが、バナー広告にはセミロングのさわやかな雰囲気の女性が髪をかき上げる動作をしながら此方をにこやかに見ている。
その笑顔にやられた。
こんな彼女が僕にも出来たなら。
そう思うには十分の笑顔だ。
僕のニックネームはラビ。
愛が無ければ死んでしまうウサギ。
そこからとったわけでは無いけど、昔から使っているニックネームを記入し、年齢、性別、趣味趣向を記入していく。
進めて行くと一番下の欄にあるのは課金か無料お試しかの選択欄だ。
昔はポイント制のアプリが多かったみたいだが今の流行は月額制だ。
本来なら課金などしないのだけど、だけど、だけど…………。
ここは本気度を見せる為にも僕は課金することにした。
しかしながら課金にもグレードがある。
1月分2500円から、か。
意外にリーズナブル、む、6ヶ月分なら1月分無料なのか。
ほう、プレミアムコースもあるのか。
なるほど。
「いや、だが、しかし…………」
なんだかんだと悩み抜いた末結局僕はプレミアムコースに入会する事にした。
それも半年分。
本来ならプレミアムコースは月額25万円なんだが今なら月額5万円で6ヶ月分入会すれば20万で1月分無料になるんだ。
実際超高額のプレミアムコースだけども、その何が良いのかというとだな。
なんと自分の好みに適した女性をピックアップしてくれて尚且つそのマッチング率実に100%。
ホントかよって突っ込みたくなるけどプレミアム会員の退会率は0%なのだ。
そして安心のクーリングオフ期間も設けられている。
最悪騙されたとしてもクーリングオフで全額返金して貰えば良い。
そうやって僕は『Omikujiプレミアム月額会員』となった。
「ピロリロリン♪」
メールの着信音が鳴る。
確認してみると登録したOmikuji運営からのメールだ。
『プレミアム会員No,100 ラビ様
未設定事項があります。
下記のホームページより、ガイダンスに従って設定を行って下さい。』
簡素な内容のメールだったが僕はスマホからガイダンスに従い設定を行って行く。
シンプル設定方法とカスタマイズ設定方法があったが、カスタマイズ設定の方はまだ選べないらしい。
半年を過ぎた本気のプレミアム会員にのみ許された項目らしい。
まだ登録したばかりの僕はシンプル設定に進む。
シンプル設定の方へ進むと100を超える顔写真がありそこから好みの女性の顔を選ぶという物だった。
その顔写真の中にはバナー広告の彼女も居たので僕は迷わず広告の彼女の顔写真を選択した。
顔を選んだ後は体型。
身長は僕が170センチ程しかないので、パートナーになって貰える女性には余り高身長だとちょっとね。
150センチ~163センチ迄幅を持たせて選択しておく。
そして本題。
おおよそのBWHの数値を記入するようになっている。
おっぱい星人派閥に属する僕は95のEカップを選択。
ウェストとか実際よく分からないけど寸胴は嫌だし、かといって有り得ない数値を記入しても適応する人が居ないと困る。
そんな想いから僕はB95W62H93と言う数値を記入する。
スマホ上で映像として可視化された女性の体系は思った以上にグラマラスだ。
性格も多岐に渉っており、お嬢様、幼馴染み、ツンデレ、ドエス、従順、僕っ娘
等から大枠を選ぶのだが、この性格欄ってどちらかというと属性だよな、そんな風に思ったのは僕だけじゃ無いはず。
最終出来上がった理想の女性像を認証し僕は送信する。
此処までが昨日の出来事だ。
騙されていないとしたら今日にでも女性のマッチングが行われる筈だ。
そんな事を思い僕は朝食のトーストをかじる。
「ピンポ~ン♪お届け物が来ました~」
インターホンが鳴ると、女性の宅配員が声で届け物を知らせてくれる。
「ん?来ました?」
何だか変な言い回しだな。
普通は「お届け物でーす」だろ?
そう想いながらも僕は玄関のドアを開ける。
ガチャリ。
ドアノブを回す音と共にグイッと玄関ドアが引かれる。
玄関には女性が立って居た。
それは昨日僕が作った理想の女性像の正にそれだ。
「Omikujiから来ましたプレミアムアンドロイドNo100ミキです。宜しくお願いします」
令和28年4月8日の出来事だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます