第5話 行きすぎた正義
トネガワの"正義"は誤った方向に向かってはいないだろうか?
やりすぎでは無いか?
一部の人達の中ではそのような考えが頭の中をよぎるようになっていっている。ただ、それらはまだ”明文化”されていない。ネットの文字として現れていない。モヤモヤとした感情の一つだ。
そんな想いが人々の中に蓄積されていった頃、2ちゃんねるのヤマタクスレに誰かが書いた。
「トネガワよ。行き過ぎた正義はもはや暴力だよ」
しかし、その書き込みも速度の早いスレでは他のノイズによって流されていく。トネガワはそれに気がつかなかった。
一方トネガワはTwitterのアンケート機能を有効に、そして定期的に活用していた。
ブログを更新してTwitterで連絡した後に
"私と彼のどちらの意見が正しいと思いますか?"
とアンケートを取るのだ。
「
今回のエントリ、どちらが正しいと思いますか?
・トネガワ
・ヤマタク
・どちらが正しいかとはわからない
」
大抵は、トネガワに賛成の票が多数集まり7:1:2位の割合になっていた。
それが彼の正義のエビデンスになっていった。
「あぁ、今回も僕が正しいと思う人が大多数だ。僕は間違ってない」
そして、それがトネガワを安心させる拠り所となった。
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