6ルート目 金髪ロリと委員会

「はぁ〜い、それではぁ委員会を決めたいと思いますぅ〜」


 るい先生が教卓におっぱいを乗せながら可愛く手をあげて音頭をとる。


 ほわわ〜と癒しオーラに皆もにっこりする。ああ、願うなら私は谷間になりたい。


 カツカツと一定のリズムを刻みながら黒板に委員会の名前を書いていく。


 図書委員会、広報委員会、環境委員会エトセトラエトセトラ。


(うわあ、学生ってめんどいなぁ。女の子が多くてイチャイチャする委員会はないものか・・・)


 涙先生がそれぞれの委員会の希望者を募ると割とすぐに決まっていく。積極性があるなこのクラス。


「あ、あーーっ!!ごめんねぇ〜忘れてたぁ〜。先に学級委員長を決めるんだったぁ〜」


 別にクラスメイトは気にしていないようだったが、涙先生は慌てるように黒板に『学級委員会』と書き込まれる。


 書いたはいいもののまだ委員会が決まってない人は少ない。


「はいはーい!九龍院さんがいいと思いまーす!」「私も九龍院さんが」「俺も九龍院さん推薦します!」


 なんという一体感だろう。九龍院コールが鳴り止まない。

 クラスメイトの声を照れながら受け止める九龍院 麗羅。なんだかんだ嬉しいのか。


「俺も麗羅がいいと思いまーすっ!!」


 調子に乗って俺も参加する。


 やりたいと言うならやらせてやろう!!これでお前はめんどくさい学級委員会だ。

 と思っていたが少しクラスがざわつき始める。


「え、呼び捨て?」「マジ・・・か。そういう関係?」「美女と野・・・豚?」「付き合ってんの?」「うわあ意外」


 お、おぉう・・・。別に意識していなかったから嫌がらせするテンションでやらかしてしまった。しかし、呼び捨てくらいでそんな疑いを持つとは青い奴らだ。


 そっと九龍院 麗羅の方を見やると、


「違うっ!!皆の勘違いっ!!なんであんな奴と私が!?違うっ違うのっ!!」


 赤い顔でわたわたと慌てながら否定しているが、それでは否定ではなく肯定に近い。なまじツンデレ属性であるが故に、所作が照れ隠しのソレでしかない。


 ま、気分は悪くないので俺は否定しないけどなぁあああああっ!!


 そして、学級委員会の委員長に九龍院 麗羅。副委員長には田中 太郎。両名の名前が隣り合っていた。


「絶対許さないからねっ!?アンタも誤解を解いて回りなさいよっ!?」


「あはは、あはは、あはははは」


「ふっざけんなぁあああああっ!!」


 華麗に彼女の言葉を受け流すと襟を持たれてガクガクと揺さぶられる。

 はははっいい気味だぜ・・・ぅぷ、気持ち悪い。


「おめでとー!」「九龍院さんってあんな感じなんだ」「ちょっと怖いかと思ってた」「ね。全然親しみやすいじゃん」「はー、なんでデブに彼女できて俺には居ないんだ」「あのピザのどこがいいっていうんだ」


 概ね好意的に受け取られているようだが、どうやら九龍院 麗羅は怖いとも思われていたようだった。


 まあ、この容姿にこの口調だし。むすっとしてることも多いから当然っちゃ当然の印象だろう。


 ていうか俺はデブの印象しかないの?デブの印象を塗り潰す程のバカでもあるんだけど、皆さんそこんとこわかってるんだろうか・・・。


 そんなこんなでホームルームは終了した。


「ここまで維持してきた私の印象が・・・クールビューティーが・・・」


 金髪ロリが何か言ってる。


 大丈夫だ、いっても2ヶ月も経っていないのだから大した印象なんてないと思うぞ。がんばっ。


 虚ろな目で席に着く九龍院 麗羅を横目にそんなことを思うのだった。













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