第10話 刀の錆にしてやるから、かかってきな!
前回の『アダマンタイトを武具に加工する』スキルの消費SPを30→100に変更しました(8/28)
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しまった。
色々作るのが楽しすぎてつい熱中していたら、周りが暗くなり始めていた。
着いて以降、何も食べていないから腹も減ってきたし……どうしたものか。
と言っていてもしょうがないか。
諦めて野宿をするしかないな。
とりあえず、スキルを解体し、浮いた文字で『刃』と『カタナ』の2つのスキルを作成。
しばらくは刀を使って、刃スキルの熟練度を上げていくとしよう。
ある程度上がりさえすれば、他の武器も使えるようになるだろうし。
あとは……
スキル
スキル『野営知識』 熟練度0 常時消費SP30
:
野営を行う上での必要な知識を得ることができる。
パッシブスキル……なるほど、こういうのもあるのか。
まぁいい、MAXSPも135まで上がったし(どうやら使用SPの1%分くらいはMAX値が上がるらしい。なかなかの親切設計だ)、105残っていればなんとでもなる……はず。
スキル『野営知識』発動!
ほぅ、これはいいな。
何をしたらいいかが手に取るようにわかる。
生前鍛えられたので基本的な技能は持っているのだが、こちらの世界でどこまで通じるかわからないからな。
知識に限定したのは、消費SPを抑えるためと……一度得た知識は失われることはないだろうと踏んでのことだ。
解体後は『新たに知識を得ること』はできなくなるだけ、のはず。
なので、今のうちにできる限りの疑問は解消しておかなくては。
しかし、どれだけ知識を身につけたとしても周りに何もないのは問題だ。
火を起こすにしても、燃やせるものがない。
いや、膝下くらいまでの草が生い茂ってはいるんだが、これ、燃やしたらあたり一面火の海だしな……。
さすがにそれをやる気にはならない。
少し移動するか。
と、なると……
スキル
マップスキルで見られるのは半径3kmといったところか。
範囲内に街らしきものはないが、少し行った所にそれなりに大きな街道があるな。
まずは街道を目指そう。
うまく行けば誰かが通り掛かるかもしれないし。
……などと、思っていた時期が俺にもありました。
ガラガラガラガラガラガラガガラガラ!!!!
「ウギョワァアアアアアアアアア!!!!!」
街道に差し掛かった時に見たもの。
それは、ものすごい勢いで舗装された街道の上を爆走してくる馬車と、それを追いかける魔物の群れだった。
餓鬼のように手足が細く顔だけでかいそいつは、何かの映画で見た『ゴブリン』のようだ。
その映画では、いわゆる『雑魚』として登場していたが、あくまで1対1でのこと。
見た感じ30匹はいるであろう群れの前では、数人程度の護衛では多勢に無勢というものだ。
ゴガッシャアアアアアアン!!!!!!!!!!1
俺の前を通り過ぎていってすぐ、何かの出っ張りに引っかかりでもしたのか、その勢いのままに横転。
何匹かのゴブリンは下敷きにしたようだが、まだまだ残りはたくさんいる。
どころか、馬は逃げて行った上に止まってしまったことで、より不利な状況になっている。
御者と思しき男も動かないし、荷台から聞こえた女の悲鳴が聞こえたが、それも途絶えた。
ゴブリンたち以外に動くものは、必死に剣を振り回して半狂乱になっている男一人だけだった。
このままでは数秒もしないうちに虐殺ショーが始まることだろう。
義理も何もない、本当にタダの通りすがりであるとは言え、流石にこれを見捨てるほど人間ダメになってはいない。
実戦経験はまだないが、助けるだけの力も持っていることだし。
ま、出来たてホヤホヤの武器を試し切りをしたかったので、ちょうどいい。
さてと。
まずは、あいつらの注意を引かないといけないな。
ええと……お、ちょうどいい大きさの石がある。
これでいいか。
拾った手のひら大の石を思いっきり振りかぶって、思いっきり投げる。
ガンッ!!
「ギャワァアアアアアア!!!!」
倒れた荷台の幌に飛びついていた一匹の脳天に直撃。
当たり所が悪かったのか良かったのか、そのまま吹っ飛びピクリともしない。
うむ、我ながらナイスコントロールだ。
英才教育の一貫で野球もやらされていたのがこんな所で役に立つとはな。
なんでもやっておいてみるものだ。
クソ親父どもに感謝をしようなんてことは思わないが、そういう環境であったことは数少ない幸運の一つなのだろう。
思わぬ方角からの攻撃に、静まり返るゴブリンたち。
一人泣きわめいていた男に飛びついていた3匹も手を止めて周囲を伺っている。
どうやら間に合ったみたいだな。
続いて第2球!
ガンッ!!!
「グギャアワアアアア!!!」
よし、今度もきれいにヘッドショットが決まった。
とりあえず2匹減らして……いい感じに注意も引けたようだ。
あんだけ周囲を警戒されている中の投擲だからな、逆にこれで気づいてもらえなかったらどうしようかと思っていた所だ。
「よう、魔物ども。
刀の錆にしてやるから、かかってきな!」
アダマンタイト製だから錆ることはないが。
「キシャワアアァアアアアア!!!」
どうせ言葉は通じないんだ、挑発になりさえすればいい。
現にこうして効いてるしな。
さぁ。
俺と、俺の刀の、デビュー戦といきますか。
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作成済みスキル
『は(刃)』熟練度0 消費SP1
:刃のついたものについての理解が進み、扱いがうまくなっていくスキル
消費SPは一振りごとに1回分を消費する。
『かたな(刀)』熟練度0 消費SP3
:刀についての理解が進み、扱いがうまくなっていくスキル
消費SPは一振りごとに1回分を消費する。連撃(振り下ろした反動を利用しての逆薙ぎ、など)は1回とカウント。
『マップ』:熟練度0 消費SP3
自分を中心に半径3kmの地図を見ることができる。半径を狭めることで、地形や建物などの詳細がわかるようになる。
熟練度が上がることで、最大半径が広がる。
『野営知識』:熟練度0 消費SP30
:
野営をする上で必要な知識を得ることができる。
わからないことを頭に思い浮かべると、それに対する回答が浮かんでくる方式。
ゃ ぱばだざがんわら✕✕✕✕✕さ✕あ
ゅ ぴびぢじぎ り みひに✕✕✕✕
ょ ✕ぶづずぐ るゆむふぬつすくう
✕ ぺべでぜげ れ めへねてせけ✕
ー ぽぼどぞご をろよもほのとそこお
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