第6話 ありがたくもらうとしよう
来週より週1火曜更新になります!
引き続きよろしくお願いします♪
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「お前……本当に神様なんだな……」
頭痛が治まり、ようやく声が出せるようになってきた。
「やっとわかってくれた?
こんなめんどくさい人はじめてよ」
「悪いな……性分でな……」
とりあえず、こいつは嘘を言っていないらしい、ということは信じてやらんでもない、とは思う。
ただ、嘘は言っていないが
そして、かえってそのほうがタチが悪いことも多い。
警戒だけは怠らないようにしておこう。
「で、結局その『制限をかけた』スキルってのはどんなもんなんだ?」
「そうね……あなた、パズルは得意?」
「ま、まぁ苦手ではないが……。
それとスキルにどんな――」
「名付けて、スキル『
俺の疑問の声にかぶせるように宣言をする女神。
「文字を組み合わせてスキルを作るスキル、よ。
あなたに合わせて日本語よ。
使える文字は『ひらがな』のみで、全てのスキルを通して一文字につき一回のみ。
文字数が多ければ多いほど、その内容が限定的であればあるほど、力を増すわ。
例えばそうね……」
ふぉんっ
女神が手を振ると、空中から見事な拵えの日本刀が現れる。
と、同時に地面からは幹の太い木が生えてきた。
「例えばこれ、日本刀を使う場合。
『は(刃)』というスキルと、『はもの(刃物)』というスキルでは、使った文字数分その威力に差が出るわ」
そう言って日本刀を鞘から抜き放つ。
「まずは『は』」
目の前の細い枝に刀を添え、そのまま一気に下へ!
ザッ!
音はよかったが、枝がしなったことで葉っぱを1枚こそぎ取っただけだった。
「そして『はもの』」
再び添えるところから下への振り抜き。
ザンッ!
見事、細い枝は半ばから切れ宙を舞う。
「どう? 違うでしょ?」
ただ添えた状態から引き下ろすだけ。
技量もなにもなく、だからこそ違いがよくわかった。
「で、次。
同じ3文字でも、『はもの』を『かたな(刀)』に変えるとどうなるか」
スッ
先程までと同じように枝に日本刀を添えると、そのまま音もなく枝は切れ落ちた。
「見ての通りよ。
全て同じ日本刀を使っているから、切れ味そのものが変わるわけではないわ。
私の日本刀への『理解』が変わったの。
刃を当てる角度、力の入れ方、など。
それによってこの程度の細い枝であれば、当てるだけで切れるようになるわけ」
「なるほど……。
濁点の有無や、大小による区別はあるのか?」
「まだ見せたいものがあるんだけど……いいわ。
その辺の説明はしなければいけないでしょうし」
「頼む」
「結論から言うと、濁点・半濁点、及び、大小はそれぞれ区別されるわ。
『
「あ、ああ……」
よりによってなんでその例えなんだ?
イイ、と、ダメ、が全く別の意味に聞こえてくる……。
こいつ、まさか女神のクセしてロリコン!?
「『し
「……なんでもいいが、『幼女』スキルって、なんだ??」
「……なんだろ……幼女への理解と扱い方がわかるようになるんじゃない?」
ものっすごい犯罪臭しかしねえ!!!
「一度使った文字は再利用はできるのか?」
「再利用……? ええ、できるわよ。
このスキルの基本は『
一文字につき一回しか使えないのに、一度使ったら終わりでは使い勝手が悪すぎるからね。
作ったスキルはいつでも
「つまりそのスキル自体は使えなくなる、ということか」
「使える
「だから『パズル』か……。
いわゆる『レベル』が上がるようなことはあるのか?」
「『
条件は秘密ね、なんでもわかっちゃうと面白くないでしょ?
作ったスキルについては変わらないけど、熟練度は上がっていくわ。
使う側の問題ね。
繰り返し使っていたら、使い方のコツをつかむことがある、って感じかしら。
勿論、一回解体したらその経験はなくなるし、仮に全く同じスキルを作り直したとしても0からやり直しになるけど。
まぁでも、一回経験してるからコツは掴みやすいんじゃないかしら?」
我が友人が言っていた、レベル制ではなくスキル制のゲーム、に近いようだな。
「その熟練度とやらは保存できないのか?」
「そういうスキルを作ればいいだけよ」
「ああ、なるほど」
思った以上に自由度が高い。
「熟練度に上限は?」
「基礎能力次第ね。
一つのことしかできない人もいるし、なんでもそつなくこなす人もいるし。
一般的には、一つのことしかできない人の方が、その分野においてはなんでも出来る人より極めることの方が多いけど……」
「なら俺は、なんでも極めることができる稀有なタイプ、ということか」
「残念ながら、そういうことになるわね」
「だからこそ
「その通りよ」
そろそろ皮肉にも動じなくなってきたか。
「ま、後の細かいことは『説明書』あげるから後でゆっくり見てよ」
「説明書……だと!?」
「あったほうが便利でしょ?」
「や、まぁそうだが……」
いつ作ったんだ? とかツッコミたい所だが、黙っておこう。
「で、どうなの?
あなた向きだと思うけど?」
「あ、ああ、楽しそうだな。
それでいい、ありがたくもらうとしよう」
「じゃあ、折角準備したのでもう一つ。
言ってなかったけど、この刀『菊一文字則宗』って言う結構有名な日本刀なんだけど――」
「……通りで拵えの綺麗な刀だと思った……どこから持ってきた……」
確かどっかの博物館に保管されてたはずだが……?
「ふふふ……」
深くは聞かないほうが良さそうだ……。
「これを使ったこういうスキルを作ると――」
一つ大きく息を吸い、低く腰溜めに菊一文字則宗を構える。
と、同時に目の前に生えていた巨木が消え、不思議な輝きを持った金属(鉄ってこんな色だったか?)の柱が現れる。
直径で1mくらいだろうか。
って、待て待て。
まさかこいつを切るっていうのか!?
静寂から、一転!
鞘から一気に抜き放つ!!!
「シッッッ!!!!」
ドドオオオオオオオオン!!!!!!!
息を吐く音とともに一閃。
全く剣閃が見えないほどの神速。
目の前にあった柱は、その中ほどから斬られ地面に横たわっていた。
「どう?
『きくいちもんじのりむねをこしだめからはなつばっとう(菊一文字則宗を腰溜めから放つ抜刀)』スキル
武器、構え、技を限定し、さらにこの文字数。
お試し、ってことで熟練度MAX状態だけど、仮に0でも鉄くらいなら紙くず同然ね」
「すごいな……。
鉄がきれいに真っ二つか……」
断面を見るとまるで磨きあげた大理石のように艷やかで、一切の無駄のない居合い斬りであったことが伺える。
「いや、これ鉄じゃなくて『アダマンタイト』よ?」
「あだま……なんだって?」
「アレ、知らない?
……そっか、地球にはないんだっけ。
んー、そうね。
硬さだけで言えば、あなたの世界で言う『ダイヤモンド』より遥かに硬いわ」
……そんなものをこんな綺麗に斬ったってのか……。
「でも、お前『鉄も紙くず同然』って言ってたじゃないか」
「それこそ言ったでしょ、熟練度MAXだって。
極めたら
どう? よりすごさがわかったんじゃないかしら?
ま、その代わり使える文字がものすごく減っちゃうから、このスキルをひたすら極める、ってのじゃなければ常備はオススメできないけどねー」
「そうだな。
だが、最後の切り札にはなりうる。
どうしようもなくなったとき、全てのスキルを
「でしょ?
ま、あんたの脳みそならいろんな使い方ができるでしょうから、うまくやって」
「ああ、そうさせてもらうよ」
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作成スキル
:『菊一文字則宗を腰だめから放つ抜刀』
文字通り、菊一文字則宗を腰だめの構えから抜刀するスキル。
熟練度が上がるほどにその剣速・威力は増し、最終的音速を超えるその斬撃はかのアダマンタイトですら両断すると言われる。
ゃ ぱ××ざが×わ×やま××たさ×あ
ゅ ぴびぢ×ぎ × ×ひに××××
ょ ぷぶづずぐ るゆ×ふぬ×す××
× ぺべでぜげ れ ×へねてせけえ
ー ぽぼどぞご ×ろよ×ほ××そ×お
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