第11話 おっさんの秘密
「なあなあ、けーくん」
「ああ?」
「聞かれないから言ってないけど、聞かなくていいのか?」
「何を?」
「俺が20年留守にした理由」
おっさんが、いつから俺の前に現れ始めたのか、あまりよく覚えていない。最初は驚いたが、酔っていたせいで幻覚を見たのかと思った。
そのうち、自室で酒を飲むたびに出てくるようになった。
幻覚か怪奇現象か分からんが、見た目普通のおっさんだし追求する意味もないかと思って放置した。
そんな感じで、数年は時々おっさんが出てきていたが、ある時ぱったりと出てこなくなった。
そうか、俺も大人になったんだな……。
などと感慨深く思っていた自分を、今、苦々しく思い出している。
おっさんは思春期の幻覚ではなく、現実だったらしい。
何故20年も現れなかったのか、疑問に思わないこともないが。
「別に聞かなくてもいい」
「えー、そこは聞きたいと言ってくれよ!」
「じゃあ話せ」
「教えてあげないよ♪ ジャン♪」
……
水とおやつを没収して、今日はお帰り頂くことにした。
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