第6話 おっさんとカメラ

 ベッドに転がってスマホを見ていたら、いつの間にかおっさんが来てた。


「よぉ。今日はもう寝るのか?」

「いや、まだだけど」

「だったら、何か食おうぜ」

「はぁ?こんな時間から食わねえよ」

「マアマアそういわずに。おっちゃん、今ちょっとだけ腹減ってんだよ」


 ぽってりと出っ張った腹をさすりながら言う。

 食べないほうが良いと思うがな。

 いつまでもうるさいから、とりあえず水とクッキーを一つ持ってきた。

 今日の水は冷蔵庫に入っていた安いペットボトルだ。

 クッキーにかじりついてるおっさんを見て、ふと前から思ってたことを聞いてみる。


「そういえば、おっさんってカメラで撮れるの?」

「はぁ?俺はカメラなんか持ってねーけど?」

「いやいや、写真に写るのかって聞いてんの」

「そりゃ、撮ったら写るだろ。え?写らねえ奴がいるの?そいつ、きっと幽霊だぞ」


 ……お前が言うなよ。

 しかし、撮ってもいいのか。なんとなく、写真にとったら消えるとか、もう出てこなくなるって思いこんでいた。

 スマホを構えておっさんに向ける。

 ……と、そこにはソファーの上で変なポーズをとってるおっさんがいた。


「なんだその恰好」

「うふん」

「キモっ」


 名画の真似か?

 俺が撮りたいのは、裸夫像じゃねえんだよ!

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