第4話 おっさんはスマホが欲しい

「おお、けーくんは、ますます絵が上手くなったなあ」


 家屋が寝静まった夜、何となくイラストを描いていた。

 そうしたらおっさんが現れた。

 酒、飲んでないのに。


「出現条件、酒じゃねえのかよ」

「なんだそれ?」


 酒は関係ないらしい。

 じゃあ出現条件はなんなんだ……。


「へえ!今どきはそういうので絵を描くのか」

「まあな」


 今は手慰みで、液タブを使ってる。

 普段依頼されたイラストは、今でもたいていアナログで描いてるが。


「じゃあ、もうけーくんの絵は貰えねえんだな」

「ん?」

「俺、スマホ持ってねーもん」


 別に絵を渡すのにスマホは必須じゃないんだが。

 確かにおっさんが持てそうなスマホは売ってねえなあ。


 そういえば、おっさん……身長伸びたかな?縮んだかな?

 前は確か15センチくらいだったっけ。

 ああ、そうだ。あと2ミリで15センチだった。


「おっさん、ちょっと立って」

「えー、めんどくせえ。俺はこのソファーでダラダラするのが好きなんだよ」

「いいから立てって。身長測りてえんだよ」

「またか。お前は保健室の先生かっつーの」


 グダグダ言いながら、結局おっさんは最後までソファーの上でだらだら過ごした。

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