第二部
第14話
「……なぁ、そういえばなんだけどさ。」
「どうした考え無しに旅に出やがった拓哉さんや。もしかして目的地決めてないとか言わないよな?」
「ええその通りですよすみませんねっ!」
「えぇ……ねぇ、この人って何時もこんなかんじなの?」
「そうだね。何時も考え無しに行動しては後々取り返しがつかなくなって泣きついてくる。何度か放置した事もあったけど本当に酷いことになった。」
「いやほんと反省はしてるんです改善しようともしてるんです……すみませんっしたあぁぁぁぁっ!」
透き通るような青空の下、平原に出来た道の上で俺はいつかのように日本人固有のボディーランゲージの頂点たる土下座をしていた。
いやまぁ目的地無しに旅に出始めた俺が全部悪いんだけどさ。
そんな俺渾身の謝罪を無視しつつ、智也は慣れた様子で街の方向を調べてくれる。因みにリンネさんは軽蔑するような目でこちらを見ている。
──我々の業界ではご褒美ですありがとうございますッ!
「全く……えーっと、11時方向5キロ先街があるぞ。いちいち調べるの疲れるからいい加減改善してくれ……」
「おっ流石トモペディア!やっぱ困った時はお前に聞くのがいちば「うるせえ少しは自分で調べて計画的に行動しろ。」ういっす善処しやーす。」
「……なんだか頭痛くなってきたわ。ゴミを見るような目で見ても何故かニヤニヤしてるし……」
「それはこいつが
「やめてっ!俺の性癖バラさないでっ!」
まぁ随分と行き当たりばったりな俺達の旅は今のところ順調に進んでいた。平原だからか魔物の姿は無い。逆にいたとしても秒速で智也が魔法で倒すだろうしそれが出来なくともリンネさんが瞬く間にサイコロステーキに変えてしまうだろう。
……あれ?
「なぁ智也さんや。今気づいたけどもしかして俺っていらない子?」
「……まぁ、正直旅をするなら俺一人でも充分ではあるな。ただ料理出来ないから三食菓子にはなっちまうが。」
「えぇ……お前も出来ない事はあったんだな。どうせ教え始めた次の日にはパエリアとか作り始めるんだろうが……」
「流石にそこまで多彩じゃない。あくまで人よりちょっと出来ることが多いだけだ。」
「けっ、嫌味か。どうせ俺はなんも出来ない無能ですよーだ。」
「──今更だけど、あなた達って何者なの?とんでもない魔法を無詠唱で使ったり触れた魔法分解したり。それに三食菓子?菓子なんて貴族でもなければそう食べられないし……もしかして貴族?」
「いんや、全然的外れ。教えても良いけど……仮に他人には漏らしたりした場合は酷い目に会うよ?」
「いいわよ。どうせ私に友人なんていないんだし……」
わーお。一気にリンネさんの目から光が消えて乾いた笑いが……まーた智也は人様の地雷ぶち抜いてんのか。
「相変わらずだな智也。ほんっと人の地雷ぶち抜くの好きだよなー。」
「うるせえ好きでやってるわけじゃねえ。うっかりぶち抜いちまうだけだ。」
「それはそれで問題だよ……全く。」
とりあえず
こういう場合は大体頭撫でときゃいいって智也母から教えて貰ったし平気平気!それにケモ耳isゴッドだし!あんなピコピコ感情に合わせて動く耳を撫でるなって言う方が難しいっての!
──なーんて考えていたら伸ばした右腕の付け根、つまり脇の部分に刀が突きつけられた。
「……ねぇ?何しようとしたの?」
「い、いやーさ?ちょっとナイーブになってたから元気を出させて上げようかなーって思いましてあのその……」
「そう、ならいい事教えてあげるわ。獣人の頭はね……気安く撫でていいものじゃないのっ!」
「すみませ──」
謝罪を口にしようとしたものの、後方から衝撃。
案の定智也が面白がって俺の背中を叩いたようだ。
「おい拓哉wwwそれぐらい知っとけよww」
「うるっせこちとら万年ぼっちだし常識とか知った事じゃねえんだよっ!」
「先が思いやられるわ……」
こうしてグダグダ歩く事3時間弱、俺達は共和国でもそこそこに発展しているらしい都市の『テラメア』に到着するのだった。
「転移魔法使えたらクソ楽なんだが……お前が魔法弾くからなぁ……」
「はいそこどうしようも無いことに文句言うなー。こっちだって魔法使ってみてえよ畜生が。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます