第8話停滞
楓詩に決意表明してからは毎日一人で走って帰っているのだが流石にこれはどうなのだろうと思うようになってきた。これ・・・陰キャルートじゃない?やばくない?いや、これはいじめを解決するまでの問題だ。俺・・・この問題を解決したらみんなと一緒に帰って5時まで遊ぶんだ・・・
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今日も花芽李ちゃんといじめについて話し合っていた。ちなみにそれまでの約2時間はランニングをしていた。明日は土日だし多少筋肉痛になっても大丈夫だと思っての挑戦だったがこの体の疲弊はダメなレベルかもしれない。まぁ俺の筋肉痛の話は置いといて。いじめの話だ。
「一日たったけどいじめはどうなったの?」
「う~ん。そうだねぇ。縁が切れちゃった感じなんだよね~。今。昨日は冷たく無視されてたんだけど、今日は話しかけたら一言だけ当たり障りのない感じで返されたからすごく悲しかった。」
「もういじめは終わったと理解していいのか?」
「いじめは終わっても関係は戻らないなら意味がないからね。」
すごい力強い感じだが、なんか抜けててかわいい。
「そっかぁ、でも俺の予想だけどもう二人の関係はもとに戻らないと思うよ。」
「えぇ、そんなことないよ。多分。」
これは半分本気で半分噓だ。というのも実際こんな感じになったら戻るかどうかは怪しい。半分のウソの方は単純にもう縁をきって新しい関係を結んでほしいというものだ。この考えは上から目線で、本人の意思を無視した、そんな風な感じで俺は嫌いなのだがどうしてもそう思ってしまう。もし俺が花芽李ちゃんを本当に思うならどうすればいいのだろうか。
「私は、まっちゃんを信じる。」
「え?」
「私はまっちゃんを信じて動くことにするよ。」
そうか、そうか。そうだったな。
「じゃあ俺は赤島 奉を信じる花芽李ちゃんを応援するよ。」
「うん。私頑張るから、応援していてね。」
「じゃあもう今日の会議はおしまいだな。」
「うん。じゃあ解散。」
「じゃーな。」
「バイバイ。」
俺たちは手を振りあい、帰ることにした。いじめ問題は停滞してしまう感じだが、まぁ信じるしかないよな。
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家に帰るとまだ5時だった。どうやって時間をつぶそうか。
1勉強
2掃除
(これは試験的に作った選択肢でこれでハッピーエンドとかバッドエンドとかは全くありません)
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1
勉強をしよう。ということなので姉の部屋に行こう。
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なんだろうか。姉とはいえ女の子の部屋に入るというのはなかなか背徳感がある行為だ。まぁ本しかないけど。
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今回とってきた本は高校一年の英語ドリルだ。けっこう色々書いているけど肝心な答えは赤で書いてあるからこの赤い透明なやつで何度でも解けるようになっている。すごい真面目だ。こういう所からも白南風 真紀
まき
という人物像が見えてくる。俺はまだちょっと変な感じの家族おもいで案外傷つきやすいといった感じの姉しか見たことはないが、きっと外ではとても張りつめた感じなのだろう。・・・姉のためにもこの命を無駄にしてはいけない。
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2
この家はまぁまぁ整っているがところどころでほこりが目立つ。別に俺は神経質というわけではないがあまりにも暇だから掃除をしよう。まずは自分の部屋だな。
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俺の部屋には本当に何もない。あるのは教科書と学習机と扇風機とエアコンの四つ。小学生らしいといえばそうなのだが・・・。虚無感があるな。ま、パパっとほこりを掃除機で吸い取って終わりにしよう。
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姉の部屋は・・・本ばっかりだな。こういう本の上はかなりほこりがたまるものだからな。もこもこのやつで絡めとっておくか。
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最後にリビングだな。普通リビングが一番大変かと思ったがものが全くといってもいいほどものがない。そういう家なのか?遊ぶためのおもちゃもほとんどないぞ?まぁ、所々にあるほこりを取ると~。掃除が終わってしまった。ま、あとはゆっくり休むか。
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ここから共通です。
家で過ごしてひとつ気づいたことがある。この家にはテレビがない。このご時世、テレビがない家も珍しくないかもしれない。でもこの家は最低でも17年間は過ごしている。流石に17年前の家にはテレビはあるだろう。ということは最近片付けたということだろう。何故だ?まぁ母親にしれっと聞いてみるか。
がちゃ お?
「ただいまぁ。」
「おかえり。」
「ふぅ、今日も疲れたわぁ。」
「お疲れ様です。」
「あら、ありがと。すぐにご飯にするから待っていてね。」
「うん。わかった。」
ピ、ピ。グウィーーーーーーーン。チン
「はい、できたわよ。」
どうやら作り置きのおかずを温めたようだ。それぐらいなら小学生でもできると思うのだが、どうやらそれはだめらしい。夕食は家族で食べるものであるという考えだ。いいとは思うが疲れるんじゃないかな。
「ほら、食べよ。」
まぁ、疲れてもこういうのは必要なのかもね。
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夕食もおわり、風呂も入り(一人ではいったぞ。)いよいよ寝る時間だ。この時間は俺的にしれっと質問するのには向いている時間だと思う。よし、聞いてみるか。
「ねえ、お母さん。うちってさ、なんでテレビないの?」
「え、あぁぁ。そうね。前は置いてたけどあまり最近のテレビ面白くないから片付けちゃったのよ。」
「へー。そうなんだ。いつ片づけたの?」
「い、いつ?そうねぇ、たしか2年前ぐらいかしら?」
「へー。でもさ、ニュースとかは?」
「ニュースなんて見なくていいのよ。ああいうニュースは人のつらいことしか映さないでしょ?そういうのお母さんあまり好きじゃないの。」
なるほどね、そういう考えでテレビを部屋から片付けるというところもあるのね。なるほど。なんて勝手に納得していたら母親は俺の質問を深読みしたようで、
「なに、暇なの?なにかゲーム機とか欲しくなっちゃったの?」
「いや、そういうんじゃないんだ。ただ単に気になっただけだよ。」
「ほんと?いらないの?」
「うん、いらないよ。」
ゲーム機を進めてくる親ってなかなかいないような・・・やはり俺はこの家の感性とかはまだまだ馴染めていないようだ。これからはもっと白南風 縫結として溶け込んでいくべきだな。俺はそう決めて寝ることにした。
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