第5話 道摩満と白狐の館ーーー⑤
「おや
うなじから背中が見えるように後ろ
「
「おいちょっと待て、取って喰う気満々じゃねぇか!」
「違うよー!このお兄ちゃんはねー、お客さんなのー!」
「おやまあ、それは残念だこと」
「
「
気怠げに煙管を持ち上げた女狐が部屋の右側を指すので、つられて
「若さまー!あのねー、お客さん連れて来たのー!ボクえらいー?」
「ッて急に動くなクソガキ!」
現実逃避を試みていた俺の思考は、ガキが急発進した事で強制的に中断させられた。ピョンピョンと本の障害物の間を跳ねて進み、脚の生えた山の前に着地すると、俺をポイと放り捨てる。
「痛ェ!」
「これ、これ、何を
無様に床とキスする俺の頭から飛び降りたジジイ狐がずり落ちた片眼鏡を掛け直す。コホン。軽く咳払いし、小さな肉球のついた前足で
「小僧、紹介しようぞ。
ジジイ狐が誇らしげに言った。
「……冗談だよな?」
「あらまあ、至って真面目さね」
女狐が美しく微笑んで言った。
「この脚、作り物だよな?」
「なま物だよー?正確には主の脚だよー!」
ガキが元気よく挙手しながら言った。
「マジか」
絶句した俺の反応は間違ってはいない筈だ。
「……いや、いやいや、んなわけあるか!この状態だと普通に考えて死んでるよな!?どこぞの犬神家じゃん!」
「犬、……?何を言うておる。じゃから我らは狐と言うておるに」
「つーか見てないで誰か助けてやれよ!」
ヤレヤレ、と首を振るう化け物狐達の薄情さったらない。もしかするとこの脚の主も化け物で、この状態でも平気なのかも知れないけれど、見ている此方としては気になって仕方がないのだ。俺には全く関係ない事だが、叫ばずにはいられなかった。
ビクビクビクッ!!
「ぎゃぁあッ!?」
すると俺の声に呼応するように突然、両脚が
そういえば何かの本で読んだことがある。
化け物ならいざ知らず、ヒトにとって酸素は必要不可欠で、通常空気中の酸素濃度は21%程度だが、人体が
「ッて、ヤバいじゃん!」
「おお、見よ小僧。
「生きてるねぇ、良かった良かった」
「若さま生きてるー!げんきー!」
「今まさに死にかけてるけどな!」
焦る俺とは対照的に、振り返った先では、化け物狐の一行が何処からか持ち出した湯呑みと茶菓子で一服していた。お前ら
我等は【白狐ノ代行役】である! 2138善 @yoshiki_2138
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