05

 ゼロナナの一撃を後頭部に食らったゼロフォーが、その巨体をアスファルトに横たえる。

 こちら陣営ではトップの戦力を誇るゼロフォーなら、と思ったけれど、想像以上にあっさりと決着が着いてしまった。


 やはり、自分達に出来ることは何も無かった。

 ……次は自分の番か。


 先程から動かなくなってしまったゼロフォーに、新人ヒーロイドが駆け寄った。




 ん?いつも通り蒼汰クンだと思った?

 残念!僕でしたー☆

 みんなのアイドルゼロゴーきゅんだよ♡

 まあタイトルでお察しだよね、前回と同じパターンだものですものホホホホホ。


 あ、僕はこういうメタメタなスタンスで行くので、苦手だったらこの回は読み飛ばして良し。

 どうせ次回冒頭で今回の結果がどうなるのかわかるしね。


 さて、これで残った人だけに、僕の話をするよ。

 本編的には全然大事じゃないけどね。


 これでも僕昔はマジシャン目指してたの。そー、マジシャン。

 だけど色々あって手がダメになっちゃってさあ。

 手が治るんならって実験に参加したら、怪人になっちゃったよね。

 はい、自分語り終了。


 え?短い?

 だってキョーミ無いでしょ?僕の身の上話なんてさぁ。

 それに、そろそろバトル開始みたいだしね。



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「ゼロゴー、お前まで戦うのか?」

「なぁにいー?僕が相手じゃ不満カナ?」

「不満には違いないが……お前はゼロフォー以上に戦いと縁が無いと思っていた」

「えー、ヘンケーン!」

 軽口を叩きながら件のゼロフォーをチラリと見やる。

 蒼汰君が建物の陰に少しずつ移動させている。まあ、あの分なら大丈夫そうだねぇ。


 ちなみに、僕はよく喋り方が特徴的って言われるんだけど、さすがに地の文は普通にいかせてもらうよ。

 読みにくいもんね!


「まあ戦ったことはあんまり無いケドー。ナンバリング的にはゼロフォーより後だし?こんなことも出来ちゃったりして」

 そう言い終えるとともに体に力を入れる。

 体の中にあるスイッチを押すイメージかな?

 すると同時に、僕の全身が眩い光に包まれる。

 あ、色は黄色ね。目に優しくないね。


 ヒーロイドやゼロフォーと一緒。

 体に光を纏った変身ver.の僕完成。

 この光もちゃんと名前はあったよね?忘れたけど。


「……これは、知らなかったな」

「初めて人に見せたモン♡」

「お前……嫌な奴だな」

 わー、辛辣。僕泣いていい?

 必要以上に傷ついた素振り見せるよ?


 とまあ、冗談はさておき。

 ゼロフォーの位置は完全に安全なところ。

 蒼汰クンも……大丈夫かな。

 僕の意図を察したらしい1.2倍のヒーローは、こちらの視線にこたえるようにうなずいて見せた。


 ちなみにここから先はネタバレだから、見たくない人は次の話に飛んでほしいんだけど。



 この戦い、僕負けるんだよね。

 当たり前だよね、大体察しが付くか。


 でも大丈夫。

 蒼汰クンが勝つからね、多分。

 ……勝てるかなあ?

 決着がうやむやになって終わらないかな?

 僕はもうそれだけが今から心配で心配で……


「何か考え事か?それとも、時間稼ぎでもしたいのか?」

 あ、どっちもです、はい。

 ふっふっふ、しかしメタいことを考えていたとは思うまい。


「んー、ちょっとどうやったら勝てるかわかんなくてねー」

「……やりづらいな、お前は」

 だってほんとに勝ち目が無いんだもの。


 そんな風にへらへらとしていたら、目の前のゼロナナが纏う空気が一瞬で変わったのが分かった。

 本気モードに切り替わったかな。

 お喋りタイムは終了。ここからは戦って時間を稼ぐしかないね。


 無言で走り出し、蹴りを叩き込んでくるゼロナナ。

 普通の人なら目にもとまらぬ速さだけど、ヒールにとっては少し早いかなくらい。

 それに僕は、ヒールの中でも目は良い方だからね。

 最低限の身のこなしで躱すくらいはワケないのさ。


 あ、都合のいい新設定とかじゃないよ?

 誰にでも取り柄の一つくらいはあるものさ~。


「しっ!」

 初撃を回避されたゼロナナは、体の横をすり抜けた瞬間、その場に留まりながら拳を回してくる。

 さすがに戦闘慣れしているだけのことはある。

 対応力すごいね!神対応だね!戦闘でもそういう言い方で良いのか知らないけど。

 でも、速いだけなら躱せちゃうの。


「あらら?」

「ふんっ!」

 頭を目掛けて拳が飛んできたら、まあしゃがむよね。

 そしたらしゃがんだ先を狙って上からパンチされるよね?

 そしたらはい、ここでゼロゴーマジック~!


「なっ、消えた!?」

「あれれ、当たらないねぇ?」

 後ろから声をかけると、ゼロナナは驚いたように振り向き、素早く距離を取った。

 あーあ、そんなに顔を歪めてちゃ男前が台無しだよ?


「今までで一番苦戦してるかもしれないな」

 ゼロナナが、少し微笑んだ。


「……ゴメンネ?」

「は?」

 装甲の下で、にっこり笑った。

 まあ見えてないけどねェ~。

 でもこういうのは気分気分♡

 仮面の下ではぁ~~~


「やあっ♪」

「うおっ!?」

 ゼロナナの足元が黄色く光り出し、巨大な光の柱が立ち上った。

 必殺技、さっき仕掛けときました~。

 こんな使い方も出来るんだね、今知ったよ。


 あー……でも、ここまでかな?


 目の前から青い光が飛んでくる。

 光線、的な?彼の必殺技だよねぇ。

 いやさすがにね?光の速さですから?

 避けられないよ?


 あー、痛いなぁ。

 体が焼けてるみたい。

 僕も同じことしたけどさあ、あんまり効いてないみたいだし?



 あれ?そういえば僕、なんでゼロナナ助けようとしてたんだっけ?

 面白そうだったから?


 まあいいや、後は任せたよ。

 蒼汰ク―















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