例えばさ、私が明日死ぬとして
隅田 天美
例えばさ、私が明日死ぬとして
朝、玄関のドアが叩かれる。
「はい、どなた?」
ドアを開けると、そこには黒ずくめの男が二人。
「あなたは、社会にとって有害な人物と認定されましたので明日死んでもらいます」
「ああ、そうですか。分かりました」
さて、何をしよう。
まずは、お世話になった人に電話しよう。
あと、会社。
色々なことを言われたが、まあ、明日死ぬから関係ないや。
まだ、お昼になってないけど、何を食べよう?
そうだ、大好きなあの人を呼んで、これからデートしよう。
まず、昼ご飯はこってりラーメンの「天下○品」で明太子セット。
チャーシューとメンマ追加。
これを、あの人とどうでもいい話をしながら食べる。
そのあと、図書館に行ってお互い好きな席で好きな本を読む。
存分に楽しんだら、夕飯は喫茶店で今さっきまで読んでいた本の話を語り合いながらコーヒーとトーストを食べる。
それから、私の大好きな街が一望できる場所で夕陽を見ながら手を握りたい。
夜になったらホテルで激しく抱かれたい。
最後に最大のわがままで、あの人の腕の中で思いっきり泣きたい。
――私はまだ、生きたい
そして、翌日。
私は毒薬を飲むのだろう。
でも、やっぱり、生きたい。
例えばさ、私が明日死ぬとして 隅田 天美 @sumida-amami
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