第28話 人間を取り締まる

「ルンルルン~。」

 カロヤカさんは、三大妖怪の了承を得て、日本四大妖怪になった。

「こらー! 待てー! 鬼め!」

 人間たちが鬼を見て追いかけまわす。

「人間に捕まったら、皮を剥がされて、肉を食べられ、目玉をくり抜かれるぞ!」

 鬼は、必死に人間から逃げている。

「これが本当の鬼ごっこ。なんちゃって。」

 そこにカロヤカさんが颯爽と現れる。

「やめなさい! 鬼を追いかけては可哀そうでしょ!」

「なに!? 人間のくせに鬼の味方をするのか!?」

「人間とか、鬼とか関係ないでしょ! みんなで仲良く遊びなさい!」

 カロヤカさんは、三大妖怪との約束通り邪な人間を取り締まっていた。

「こいつ! 鬼の仲間だ! この女から先にやっちまえ!」

「おお!」

 人間たちは、カロヤカさんを追いかけ始めた。

「え? ええー!? なんで、そうなるのよ!?」

 カロヤカさんは、必死に人間から逃げる。

「ありがとう、カロヤカさん。」

 結果、カロヤカさんのおかげで、鬼は人間から守られた。

「鬼ごっこは、廃止です!」

 その代わり、カロヤカごっこが始まってしまった。

「刀も忍術も使えない!? このピンチをどうやって防げばいいの!?」

 その時、カロヤカさんの目に植物が見える。

「そうだ! あのお花畑にある花を使えばいいんだ!」

 カロヤカさんは、人間をお花畑におびき寄せた。

「ギャア!? なんだ!? 人食い植物!? 人食い花だ!?」

「ギャア!? 助けてくれ!?」

 お花畑に咲く花。鬼神、人食いラフレシア。鉱物は、人間である。

「私は何もしていない。なんて平和的な解決方法なのかしら。オッホッホ。」

 カロヤカさんは、日々、世界の平和を願っている。


「こらー! 待てー! 化け狐!」

 人間は、妖狐の山に入って、高値で売れる妖狐を襲っていた。

「コンコン!?」

 必死に逃げる妖狐。

「私、なんだか分かってきたわ。」

「なにが?」

 妖狐の山の担当、水花と火花である。

「人間から見ると、鬼、妖怪、鬼神が悪者に見えるけど、実際、先に手を出したり、悪いことをしているのは、人間の方なんだって。」

「そうね。人間って最低よね。って、私たちも人間なんですけど。」

「アハハ。」

 人間は、自己の欲望のために自然の生態系を壊している。

「妖狐を助けなくっちゃ。」

「これもカロヤカさんとの約束のためよね。」

 水花と火花は、カロヤカさんの友達である。


 回想。

「私は、人間と鬼と妖怪と鬼神が仲良く暮らせる世界を作りたい!」

 カロヤカさんは、三大妖怪との約束してきたことを、水花たちに話す。

「分かったわ! カロヤカさん!」

「四大妖怪は人間か、やるな! カロヤカさん!」

「がんばろう! カロヤカさん!」

「カロヤカさんがやるなら、私もやるわ!」

「面白そうですね! カロヤカさん!」

 水花たちは、カロヤカさんの意見に同意してくれた。

「みんな!? そんな簡単にOKしちゃっていいの!?」

「いいよ。だってカロヤカさんは、友達だから!」

「みんな! ありがとう!」

 カロヤカさんは、良い友達を持ったと涙がこぼれる。

「私は幸せ者です。だって、こんな、どうしようもない、私を信頼してくれたり、助けてくれる仲間がいるんだもの。ウエエエ~ン!」

「泣かないで、これから人間と他の生き物が共存できる世界を作るんでしょ?」

「うん。」

「がんばるぞ!」

「おお!」

 カロヤカさんたちは、一致団結して、世界平和のために行動する。

 回想、終わる。


「妖狐を邪な人間の魔の手から助けなくっちゃ。」

「でも、私たちは何もしなくていいんだよね。」

 再び、妖狐の山に戻ってきた。

「ギャア!?」

 青い炎で焼かれる人間の悲鳴が聞こえてくる。

「どうだい? 私の狐火は? うちの妖狐たちに手を出そうなんて、いい度胸だ。よっぽど死にたいんだね!」

 妖狐の頭目、玉藻前が現れ、一瞬で人間を消滅させた。

「お疲れ様です。玉藻前さん。」

「お疲れ様です。カロヤカさんの未来の義理のお母様。」

 水花と火花は、玉藻前の前に姿を現す。

「カロヤカさんのお友達たち、もっとしっかりパトロールしてもらわないと困るよ。」

「申し訳ありません。密猟禁止!」

「入山禁止! これからも、がんばります!」

 水花と火花は、玉藻前に誠意を見せる。

「カロヤカさん、私たちも刀も忍術も使わないで、世界を平和にしてみせるわ。」

「カロヤカさん、よく、こんな怖いおばさんの息子と結婚する気になったな。」

 カロヤカさんと水花と火花は、強い絆で結ばれている。


「こらー! 待てー! 鬼神!」

 人間たちが鬼神を追いかけている。

「ガオー!」

 逆に鬼神、人食いバッタが人間を追いかけまわす!

「なんだ? この愚かな展開は?」

「人間なんて、過ちを繰り返す生き物だわ。何度、過ちを繰り返せば、自分が悪いって気づくのかしら?」

「自分が人間であることが恥ずかしい。」

 雷花、地花、風花は、人間と鬼神のかけっこを眺めていた。

「このままじゃ、人間が鬼神に食べられちゃう!? 助けなくっちゃ!?」

「でも、カロヤカさんとの約束では、刀や忍術は使っちゃダメなんだろう?」

「じゃあ、邪な人間には死んでもらう。私たちは手を汚しちゃあダメよ。」

 雷花たちは、邪な人間が鬼神、人食いバッタに食べられることを見捨てた。

「ああ~、人間が食べられちゃった。」

「あの鬼神をどうしよう? 大嶽丸の奴、どこかで仕事をサボっているんじゃないか?」


 その頃、鬼神の頭目、大嶽丸は。

「マーメイド・ティーを、もう一杯!」

 大嶽丸は、人魚の茶店でお茶を飲んでサボっていた。

「あんた、どんだけ便秘なんだよ?」

「出さないとスッキリしないだろ。」

 大嶽丸は、下剤の虜だった。

「大嶽丸様!? 我々も悪い鬼神の退治に向かいませんと、カロヤカさんとの約束が守れません!?」

「黙れ! 光秀! 用を足してからだ。」

 鬼神、明智光秀は大嶽丸のお世話役をするのに困っていた。


「私たちで、鬼神を倒してしまいましょう!」

「おお!」

 雷花たちは、サボりの大嶽丸に代わり、鬼神、人食いバッタと戦うことにした。

「雷の精霊サンダーバードの鎧・忍び装束! 装着!」

「地の精霊ノームの鎧・忍び装束! 装着!」

「風の精霊シルフの鎧・忍び装束! 装着!」

 雷花たちは、美少女侍忍者(・抹茶娘アイドル・優しい剣客)に変身していく。

「鬼神退治は、私たちにお任せあれ!」

 雷花たちは、刀を抜いて、鬼神、人食いバッタに斬りかかる。

「光れ! 雷光! 響け! 雷鳴! 電光石火! 私の花! 必殺! 雷のヒガンバナ!」

「震えろ! 大地! 裂けろ! 地割れ! 天変地異! 私の花! 必殺! 地のクローバー!」

「吹け! 疾風! 唸れ! 風声! 疾風怒濤! 私の花! 必殺! 風のアネモネ!」

 雷花たちは、必殺の斬撃をぶち込む。

「ガオー!?」

 鬼神、人食いバッタは倒された。

「チッ。忍法を使う機会がないじゃないか?」

「まあ、まあ。人間を食べた邪な鬼神を倒せたんだから、良かったじゃない。」

「疲れたし、茶店に帰ろうよ。もしかしたら、サボっている大嶽丸がいるかもしれないよ。」

 います。サボっている大嶽丸の待つ人魚の茶店に帰る雷花たちであった。


 人魚の茶店に、全員が帰ってきた。

「みんな! ご苦労様! 疲れたでしょう! マーメイド・ティーでも飲んで!」

「ありがとう! カロヤカさん!」

「この調子で、人間と鬼と妖怪と鬼神が共存できる世界を作るわよ!」

「おお!」

 カロヤカさんたちの戦いは続く。

「ああー! 大嶽丸、見つけた!」

 大嶽丸は、トイレから出てきたところを雷花たちに見つかった。

「ルンルルン~。」

 カロヤカにお任せあれ

 つづく。

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