第24話 ご来光

「ルンルルン~。」

 カロヤカさんたち旅芸人一座は、遂に富士登山を開始した。

「まさか!? 本当に富士山に登ることになろうとは!?」

「そうですね。途中で頓挫すると思ってました。」

「他にストーリーが思いつかなかったから、引くに引けなかっただけよ。」

「みなさん、当てのない旅をしていたんですね。私はてっきり、魔王や鬼神、妖怪、鬼などを倒して、世界を平和にする旅をしていると思いました。」

「それ、いただき。私たちの旅の目的を、世界平和にしましょう。」

「おお!」

 やっとカロヤカさんたちの旅の使命が決まった。


「出たな!? 鬼神!?」

 カロヤカさんは戦闘態勢に身構える。

「どこに鬼神がいるの!?」

「まさか!? 目では見えない鬼神!?」

「なんですって!?」

 ミナモたちも気を引き締め、緊張感が漂う。

「急な坂! おまえは鬼神だな!?」

 カロヤカさんは山登りに疲れたので、急な山道の坂を鬼神と呼んだ。

「なんじゃ!? そりゃ!?」

 ミナモたちは、ズッコケた。

「そんなことだと思ったわ。カロヤカさんのことだもの。」

 妖精は、カロヤカさんの性格を把握していた。

「アハハ。」

 笑って誤魔化すカロヤカさん。


「出たな!? 鬼神!?」

 カロヤカさんは、鬼神の登場に真剣な眼差しになり身構える。

「もう騙されません。」

「坂の次は何? 石にでもつまずいたの?」

「もうカロヤカさんの言うことは信じません!」

 ミナモたちは、カロヤカさんに一度、嘘を吐かれたので、カロヤカさんの言うことは信じなかった。

「みんな! 大きな岩の落石よ!? 逃げて!?」

 今回、カロヤカさんが鬼神と呼んだのは、転がって、こちらに向かってくる大きな岩だった。

「え? ええー!? ギャアー!!!」

 ミナモたちは、落石に巻き込まれて下山した。

「惜しい人物を亡くした。最初から私の言うことを信じてくれていれば、死なずに済んだものを。」

 カロヤカさんは、仲間との別れを悲しんだ。

「鬼。」

「悪魔。」

「鬼神。」

「妖怪。」

「カロヤカさん。」

 妖精たちは、天真爛漫、自由奔放な、カロヤカさんに恐怖した。

「さあ! 頂上目指して、レッツ・ゴー!」

 カロヤカさんは、再び富士山を登り始めた。


「着いたー! 富士山の頂上! ああー! 空気も新鮮で美味しいし、雪も残ってるし、きれいな景色も最高ね!」

 カロヤカさんたちは、無事に富士山の頂上にたどり着くことができた。

「お腹が空いたわね。あ、茶店がある。みんな、ご飯を食べましょう。」

「おお。」

 カロヤカさんたちは、富士山の茶店でご飯を食べることにした。

「た、高い!? カップラーメンが600円!?」

 お蕎麦にしたいところだが、分かりやすくカップラーメンを採用。お金も円を採用。

「カップラーメンを6つと。」

「ダメよ! カップラーメンは1つよ!」

「え!?」

 妖精が人数分のカップラーメンを頼もうとしたところ、カロヤカさんが必至のパッチで遮る。

「じゃあ、お茶を6人分と。」

「ダメよ! 水を6人分よ!」

「え!?」

 カロヤカさんは、お茶を頼むことも許さなかった。

「なんでよ!? カロヤカさん!? カップラーメンもダメ、お茶もダメじゃあ、こっちもやってられないわ!」

「だって、高いんだもの!? こんなのぼったくりよ!? 私のお小遣いがなくなっちゃう!」

 カロヤカさんは、節約家だった。

「か、か、カロヤカさん!?」

「どうしたのよ?」

「水も1人分500円だって!?」

「なんですと!?」

 富士山では、飲み水は、水分補給のために貴重な資源なので、とても高かった。

「はい、カップラーメン1個と、水6人分で、3600円です。」

「あ、あの水を1人分にできませんか?」

「できません。ニコッ。」

 カロヤカさんは、渋々、お金を払った。

「まさか茶店にも鬼神がいたなんて。クスン。」

 カロヤカさんの財布は寂しくなった。


「さあ! ご来光を見るために眠るわよ!」

 カロヤカさんたちは朝日を見るために、富士山頂で野宿をしていた。

「鬼神だ! 鬼神が出たぞ!」

「なんですって!? 鬼神!?」

 登山客たちが鬼神が出現したと大騒ぎする。

「我こそは、鬼神、甲斐の虎! 武田信玄である! 神聖なる霊山、富士を荒らす輩ども! 私が皆殺しにしてやる!」

 現れたのは鬼神、武田信玄であった。

「鬼神よ! おまえの相手は、私だ! 鬼神退治は、カロヤカにお任せあれ。」

 カロヤカさんが鬼神の前に立ち塞がる。

「いでよ! 妖精の鎧・忍び装束! 装着!」

 カロヤカさんが軽やかに戦闘衣装に着替える。

「美少女侍忍者! 抹茶娘アイドル! カロヤカさん! ただ今、参上!」

カロヤカさんは、戦闘スタイルに着替える。

「諸行無常の響きあり! 奢れる鬼神に明日は無し! 私の夢は誰にも奪わせない! 私の夢を叶える強い気持ちをなめるな!」

 カロヤカさんは、刀を構え斬りかかる。

「かかってくるがいい。私は今までの鬼神と同じようにはやられないぞ。」

「花が香り、花が舞う! 百花繚乱! 軽やかに咲き乱れろ! 私の花! 必殺! お花畑斬り!」

「いでよ! 鬼神の獣! 甲斐の虎!」

「ガオー!」

「なにー!? 私の花々が、虎に食いちぎられた!?」

 カロヤカさんの必殺技は、鬼神、武田信玄には通用しなかった。

「どうだ? 私のペットは? 可愛いだろう。」

「虎をペットにするなんて反則よ!?」

「いいのだよ。私は鬼神なのだから。ワッハッハー!」

 鬼神は、邪な人間の魂なので何でもありである。

「それなら、これはどうだ!」

 カロヤカさんは忍術の印を結ぶ。

「忍法! 夢遁の術! フェアリー! 夢と希望のワンツー・パンチ!」

「ガオー!」

「うわあー!? 忍術で出した妖精が虎に食べられている!?」

 カロヤカさんの刀も忍術も、鬼神、武田信玄には通用しなかった。

「ダメだわ!? 私の攻撃が鬼神には通用しない!? 私は、鬼神に勝つことができない!? ああ~!? 私は負けるのね!?」

 カロヤカさんは、人生で初めて絶望を味わった。

「死ぬがいい! カロヤカさん! いけ! 甲斐の虎よ!」

「ガオー!」

 鬼神、武田信玄のペットの虎が、カロヤカさんに襲い掛かる。

「キャアー!!!」

 カロヤカさんは、甲斐の虎の攻撃に鎧を剥がされるくらい吹き飛ばされて、大ダメージを受けてしまう。

「お父さん、お母さん。こんな私を産んでくれてありがとう。私も大好きなお父さんとお母さんの待つ、天国に行きます。アーメン。」

 カロヤカさんは、瞳を閉じて死ぬ覚悟をした。 

「終わった。何もかも。」

「まだよ! まだ終わりじゃない!」

 その時、大声が聞こえた。

「やっと追いつきました。」

「勝手に死のうとするなよな。」

「1人でダメでも、4人なら、仲間がいれば、まだ戦えますよ。」

 声の主たちは、落石で行方不明になっていたミナモたちだった。

「みんな!? 良かった! 無事だったのね!」

「落石に巻き込まれた時は、どうなるかと思ったけどね。」

「おかげで私たちは協力して山を登ってきたから、3人の絆は深まったわ。」

「感動の再会は後だ。先に鬼神、人食い猫を倒そう。」

「おお!」

「ミナモ、セイカ、イナリ、みんながいてくれるなら、私は戦える!」

 カロヤカさんは、仲間たちから再び戦う勇気をもらった。

「なんだ!? おまえたちは!? だが、何人集まっても同じことよ!」

「ガオー!」

 カロヤカさんたちの前に、鬼神、武田信玄たちが立ち塞がる。

「夢の妖精の鎧・忍び装束! 装着!」 

「水の精霊の鎧・忍び装束! 装着!」

「火の精霊の鎧・忍び装束! 装着!」

「雷の精霊の鎧・忍び装束! 装着!」

「美少女侍忍者! 茶屋娘アイドル! カロヤカさん!」

「みなも!」

「せいか!」

「いなり」

「ただいま、参上!」

 カロヤカさんたちは、戦闘スタイルに着替える。

「私の夢は誰にも奪わせない! 私の夢を叶える強い気持ちをなめるな!」

 カロヤカさんたちは、刀を構え斬りかかる。

「花が香り、花が舞う! 百花繚乱! 軽やかに咲き乱れろ! 私の花! 必殺! お花畑斬り!」

「鬼神! おまえみたいな悪党は許さない! ミナモちゃんをなめるなよ! 水のアイリス!」

「聖なる夜を鬼神なんかに消せさせはしない! セイカの炎をなめるなよ! 炎のチューリップ!」

「鳴り響け! 雷鳴よ! 光れ! 稲光! 疾風迅雷! 鬼神に降り注げ! 私の雷! 必殺! 花雷斬り!」

 カロヤカさんたちは、必殺の斬撃をぶち込む。

「ガオー!?」

 カロヤカさんは鬼神、人食い猫を倒した。

「クソッ!? 甲斐の虎が、あんな小娘たちに負けたというのか!?」

「次は鬼神! あなたの番よ!」

 カロヤカさんたちは、忍術の印を結ぶ。

「忍法! 夢遁の術! フェアリー! 夢と希望のワンツー・パンチ!」

「忍法! 水遁の術! ウンディーネ! いでよ! 大津波! 大渦潮!」

「忍法! 火遁の術! サラマンダー! 火蜥蜴よ! 全てを焼き払え!」

「忍法! 雷遁の術! サンダーバード! 雷鳥よ! 稲妻通電!」」

 カロヤカさんたちは、必殺の忍術をぶち込む。

「ギャアー!? まさか!? この私が負けるというのか!? うわあー!?」

 カロヤカさんは鬼神、武田信玄を倒した。

「鬼神を成敗したり! カロヤカにお任せあれ!」


「ルンルルン~。」

「どうしたの? カロヤカさん?」

「友達っていいね。」

「そうだね。友達っていいよね。」

「あ! ご来光よ!」

「うわあー! きれいー!」

「ありがたや、ありがたや。」

(私は、このご来光を忘れない。大切なみんなと見た友情の光だから。)

 カロヤカさんたちは、友達の絆と友情を深めた、ご来光を胸に刻むのであった。


「ちょっと!? 長過ぎよ!?」

「1話2500字で良い所、約4000字になってます。」

「救済処置で、次回は番外編、変てこな生き物の物語にしましょう。」

「これが次回の内容を勝手に決めれる。予告担当の特権だ。」

「早く、ぬいぐるみになりたい!」

 妖精さんたちは、無事に予告を終える。

 つづく。

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