第22話 侍と忍者を一緒に
「ルンルルン~。」
カロヤカさんたちは、世界デビューするアイドルとして、忍者の修行をしようと試みる。
「あった! 富士吉田忍者村! あった! 富士急ハイラン〇忍者の里!」
正確な地名は問題ではない。カロヤカさんたちは、忍者の里に着いたのだ。
「忍者はどこにいるのかしら?」
「きっと普通の村人に紛れて暮らしているのよ。」
水花と火花は、忍者を見つけることができなかった。
「頼もう! 忍者よ! 出てこい!」
カロヤカさんは、正面突破で大声で叫んだ。
「カロヤカさん!?」
「そんなんで陰の隠密の忍者が出てくるわけないよ!?」
「はいー! 忍者ですー!」
「そんな!? アホな!?」
忍者が予想外にあっさり現れた。
「お願いがあるの! 私たちに忍法を教えてほしいの!」
「それは無理だ! そんなに忍者は簡単になれるものではないでござる! ニンニン!」
「私は譲れない夢があるの! そのために忍法を使えるようにならないといけないの!」
カロヤカさんは、真剣な眼差しで忍者にお願いする。
「む、むむむっ!? ダメなものは、ダメでござる!」
「そこをなんとか!」
「面白いではないか!」
「師匠!?」
その時、大きな声が響き渡り、年寄が現れる。
「私は、由緒正しき忍者の家柄、旧暦家の忍者の先生、旧暦百だ。おまえたちに忍者の修行をつけてやってもいいぞ。」
「本当ですか!?」
「その代わり条件がある。」
「なんですか!?」
「茶屋娘アイドルのサインをくれ!」
「ほえ~!?」
カロヤカさんたちは旧暦百のサイン色紙に3人のサインを書いた。
「これでいいですか?」
「ありがとう。これからも茶屋娘アイドル、頑張ってください。」
「はい、戦闘だけでなく、アイドル活動も頑張ります。」
「まさか、アイドルをやっていることが役に立つなんて!?」
旧暦百は、ミーハーなアイドルオタクであった。
「OK。修行は、あそこのへっぽこ忍者の睦月がつける。」
「ええー!? なんで私が!?」
「ゴホン、ゴホン、もう少し若ければ私がつけるんだが、ゴホン、ゴホン。」
「大丈夫ですか!? !?」
「お水です。少しでも長生きしてください。」
「あなた! 高齢者をいたわりなさいよ!」
「わ、分かりましたよ! 私が修行の面倒を見ればいいんでしょ!」
「やったー!」
こうしてカロヤカさんたちは、忍者の修行をつけてもらうことができることになった。
「もう、いくつ寝るとお正月~。」
旧暦家の仕える徳川将軍家に奏姫という姫がいました。
「まだ8月です。」
「爺! うるさい!」
「お正月には餅食って、喉に詰まって死んじゃった。」
「勝手に殺さないでください!」
「は~やく、こいこい、お正月。」
姫様の御一行は、忍者の里を目指していました。
「それでは忍術の修行を始める。」
「おお!」
カロヤカさんたちの忍術の修行が始まった。
「まずは、水の上を歩く忍法、水蜘蛛の術の修行を行う。まずは私が手本を見せるから、後でおまえたちにもやってもらうぞ。」
睦月は雪道で履くような和かんじきのようなものを履き、水の上を自由自在にいどうする。
(どうだ! これが忍者の忍法だ! おまえたちみたいな小娘にできる訳がない! お池にはまって、さあ、大変になるでござるよ!)
忍者の睦月は、カロヤカさんたちには、水の上を歩くことなんてできないと思った。
「ウンディーネ。よろしく。」
「はい。カロヤカさんたちに水の御加護がありますように。」
ウンディーネは、カロヤカさんたちを水の属性にした。
「スイスイ。」
「スイスイ。」
「スイスイ。」
しかし、カロヤカさんたちは、水の精霊ウンディーネの御加護を受けているので、普通に水の上に立ち、水上を走ったり駆けたり楽しそうにはしゃいでいた。
「なにー!? 水の上を歩いているだと!?」
(あり得ない!? この私ですら水の上を歩くのに3カ月もかかったのに!? こいつらは、いったい何者なんだ!?)
忍者の睦月は、驚いていた。
「水の上を歩くのもなかなかいいね。」
「ステージの設定を水の上に設定して、CGやプロジェクションマッピングの動きに合わせて私たちが歌って踊るなんていうのもいいわね。」
「水族館の水槽の中を泳ぎながら、歌を歌うのも面白いかも。」
「キャッハッハー!」
カロヤカさんたちは、時代設定を無視して、ライブの構想を練っていた。
「まあ、人間が水の上を歩くなんて、造作もないことでござる。アッハッハ。」
忍者の睦月は、強がりを言っていた。
「次は、炎を自由自在に操る火遁の術を教えるでござる。ボー! 同でござる! これが火遁の術でござる!」
(ふっ、どうだ。体内に油を隠し持っているのだ。おまえたち素人の良い子は絶対に真似できない忍法だ。ワッハッハー!)
忍者の睦月は、得意げに大きな炎を口から吐いて見せる。
「サラマンダー、よろしく。」
「はい、お任せあれ。カロヤカさんたちに火の御加護がありますよに。」
火の精霊サラマンダーは、カロヤカさんたちを火の属性に変えた。
「ボーーーーーーー!!!」
「ボーーーーーーー!!!」
「ボーーーーーーー!!!」
カロヤカさんたちは、サラマンダーの御加護を受けて、口から火を吐くことができるのだった。
「ギャアー!? 口から火を吐いている!?」
(そうか! こいつらは人間じゃないんだ!? 狸か狐が人間を驚かせようと化けているの違いない!? そうだ! これは幻影に違いない!? 私は幻覚を見せられているんだ!?)
忍者も驚く、カロヤカさんたちの炎に驚くのだった。
「なかなか火を吐くのも面白いのね。」
「ごめんなさい。鶏肉を持ってきていいたら、焼き鳥が出来たのに。惜しい。」
「肉よりも芋よ。甘くて美味しい焼き芋チャンスだったわ。」
カロヤカさんたちは、バーベキューセットを持ってこなかったことを後悔する。
「おまえたちの正体は見破ったぞ! 水の上を歩いたり、口から火を吐いたり、おまえたちの正体は!?」
忍者の睦月は、カロヤカさんたちに迫る。
「キャアー!!! 助けてー! 睦月ちゃん!」
「ガオー!」
その時だった。忍者の里を目指す奏姫様御一行が、鬼神、長宗我部元親に追われている。
「なに!? あれは奏姫様!? 姫を助けなければ!?」
「相手が鬼神なら、私たちに任せて!」
「お願いするでござる。」
「カロヤカにお任せあれ。」
カロヤカさんは、奏姫様を鬼神から助けることを、忍者の睦月から頼まれた。
「私たちの夢や希望を邪魔する者は、全て鬼神! 邪魔者には死あるのみ!」
「みんな! 戦うわよ!」
「おお!」
カロヤカさんたちは戦う準備をする。
「妖精の鎧! 装着!」
「水の精霊の鎧! 装着!」
「火の精霊の鎧! 装着!」
「美少女侍! 茶屋娘アイドル! カロヤカさん!」
「みなも!」
「せいか!」
「ただいま、参上!」
カロヤカさんたちは、戦闘スタイルに着替える。
「ガオー!」
「諸行無常の響きあり! 奢れる鬼神に明日は無し! 私の夢は誰にも奪わせない! 私の夢を叶える強い気持ちをなめるな!」
カロヤカさんたちは、刀を構え斬りかかる。
「花が香り、花が舞う! 百花繚乱! 軽やかに咲き乱れろ! 私の花! 必殺! お花畑斬り!」
「鬼神! おまえみたいな悪党は許さない! みなもちゃんをなめるなよ! 水のアイリス!」
「聖なる夜を鬼神なんかに消せさせはしない! せいかの炎をなめるなよ! 炎のチューリップ!」
カロヤカさんたちは、必殺技をぶち込む。
「ガオー!?」
カロヤカさんは鬼神、長宗我部元親を倒した。
「完全にテンプレート型じゃん。」
「セーフ、セーフ。」
カロヤカさんは、30分アニメでも5分の戦闘シーンは毎回同じなので、無罪を主張する。
「睦月ちゃん、私たちの正体がなんだって?」
「あなたたちの正体は茶屋娘アイドルだったんですね! 私にもサインを下さい!」
睦月は、カロヤカさんたちの敵に一言もしゃべらせないで雑草のごとく踏みつける戦い方に言葉を失った。完全に戦意を失くし、白旗を上げるのだった。
「師匠と一緒で、私たちのファンならファンと素直に言ってくれればいいのに。カキカキ。書けたわよ。私たちの直筆のサイン。」
「やったー! ありがとうございます!」
睦月は、カロヤカさんたちのサインをもらって、命を削らずに寿命を延ばすことに成功した。
「おまえたちは、今日から忍者を名乗るがいい。免許皆伝じゃ!」
「良かったでござるな。ニンニン。」
「やったー! ありがとうございます! 師匠!」
こうしてカロヤカさんたちは、侍忍者を名乗ることに支障がなくなった。
「私たち、侍忍者にジョブチェンジしたわけだし、鬼神でも狩りにいかない?」
「いいですね。狩りに出かけましょう。」
「鬼神狩り! 妖怪狩り! 鬼狩り! 人間狩り! なんでもかかってこい!」
「ワッハッハー!」
忍術=魔法=妖精・精霊である。
「どうして私の出番はないのよ!?」
妖精は一人怒っていた。
「ルンルルン~。」
カロヤカにお任せあれ。
つづく。
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