第21話 男装の小人

「ルンルルン~。」

 カロヤカさんたちは、富士登山のために富士山を目指している。

「そうか!? そうだったのか!?」

「どうしたの? ホビホビ。」

 小人が悩み事をしていた。

「最近、初めて知った。僕は、女だったんだー!?」

 妖精や小人の不思議な生き物は、鎧を出すから、鎧化されることになったので、小人がカロヤカさんに痴漢疑惑が生まれないように、男の姿をするのが好きな、女ということになった。

「ええー!? そうなの!? あなた!? 女だったのー!? 私も知らなかったわ。」

 わざとらしくカロヤカさんも設定に会話を重ねる。

「ということで、美少女侍カロヤカさんは、純粋な刀と妖怪と鬼神の和風、異世界ファンタジーでやってきたけど、私が男装が好きなので、新しいコンテンツを追加するわよ。」

「か弱い私に、何をさせる気なの!? まさか!?」

「そのまさか。カロヤカさんたちにも男装や歌、踊りをやってもらうわ!」

「宝塚歌劇〇!? それとも帝国歌劇〇!?」

「そんないいもんじゃないわよ。カロヤカ歌劇団よ!」

「カロヤカ歌劇団!?」

 小人は、自分が男から女に性転換されたように、カロヤカさんにも戦闘シーンだけでなく、歌と踊りと男装のエンターテイメントを求めるのであった。

「無理!? 無理!? そんなのできないわ!?」

「大丈夫よ。どうせイベントでは歌と踊りは披露するんだし、CDやグッツを販売するために手を握らせる握手会のキャバクラ方式なんだから。なんならカロヤカ46でもいいのよ?」

「いつの時代だ!? 時代設定を守れよな!?」

「さあ! これで君もトップスターだ!」

「やります! 私、アイドルになりたい!」

「仕方がない。どうしてもとお願いされるから、私が熱い炎のアイドルになってあげよう! ウッ!」

「釣れた。ニヤッ。はい、契約書を書いて。」

「カキカキ。書けました。」

 小人の甘い誘惑に、水花と火花は、簡単に悪いおじさんについて行ってしまった。

「あんたたち!? アイドルになんかなったら、水着や裸に強制的にならされたり、事務所の偉い人やスポンサーの夜の相手をしないといけないのよ!? そこで落ちたら、体を売る仕事をやらされるのよ!?」

「なんですって!?」

「騙された!?」

 水花と火花は、詐欺にあったことに初めて気がついた。

「おっと! 今更、騒いでも無駄でっせ! こっちには契約書があるんやからな! ジタバタするな!」

「ギャアー!?」

「助けてー!? 神様ー!?」

「おまえたちには、人魚の茶店の支店で働いてもらう! 茶屋娘アイドルになってもらう!」

 江戸時代のアイドルは、茶店のウエイトレスさんだったらしい。

「え? 花魁にされるんじゃないの?」

「誰が、そんなことを言いました?」

「だって、カロヤカさんが。」

「ルンルルン~。」

「鼻歌で誤魔化すな!」

「アハハ。」

 全てはカロヤカさんの早とちりであった。

「あなたたちは茶屋娘になって、人魚の茶店のキャンペーンアイドルになって、お客さんにお茶を入れて笑顔を振りまくだけ、握手もしなくていいのよ。」

「汚い手に触れなくていいのね! やる! やります!」

「体に触れた奴は全て痴漢で奉行所に突き出してやる!」

 水花と火花は、人魚の茶店の支店で働かされることになった。

「あの・・・私も茶屋娘をやってもよろしいでしょうか?」

「もちろんよ! 若い娘が多い方が売上が上がるにきまってるじゃない!」

「やったー!」

「人魚の茶店を全国展開して、全国でマーメイド・ティーを売りまくるぞ!」

「おお!」

「カロヤカさん、一緒にがんばろうね。」

「うん。ミナモとセイカがいてくれるなら、きっとできる。きっと大丈夫だよ。」

「私たちは、茶屋娘アイドルだ!」

「おお!」

 茶屋娘アイドルの誕生の瞬間である。これでリアル・イベントも開催可能。

「私たち、妖精と精霊で良かったわね。」

「そうですね。人間って難しい。痛々しです。」

「私たちは精々ぬいぐるみやお人形にされるのが関の山です。」

「いや~、お茶は渋いに限りますな。」

「まったくです。」

 妖精と水の精霊と火の精霊は、お茶とお団子を楽しんでいた。


「なに? 新しい茶屋娘ができたって?」

「私たちの縄張りで商売をするとはいい度胸だ。」

「痛い目にあわせてやる!」

 ベテランの茶屋娘アイドルの三人組。笠森お仙、柳屋お藤、蔦屋およしの三人であった。

「おまえたちの願いを叶えてやろう。」

「なんだ? おまえは?」

「鬼神だよ!」

「ギャアー!?」

 他人をいじめようとする邪な人間の心、邪人の魂に鬼神が呼び出される。そして三人は鬼神の黒い闇に飲み込まれていく。

「アイドルは、私たちだ! ギャハハハハハハー!」

 新たな鬼神、人食いアイドルの三人が生み出された。いや~な予感としては、この鬼神がイベントとかで出てくることだ。確実に1回で倒してしまおう。


「できたー! 茶屋娘アイドル・デビュー・イベント会場の設置!」

「手ぬぐいや手毬、下駄にかんざし、金魚すくい、グッツや屋台の夜店の準備も万端だわ!」

「きっと私たちは、華々しいデビューを飾ったら、億万長者になってるね!」

「カロヤカにお任せあれ。」

「ワッハッハー!」

 カロヤカさんたちは、意気揚々と仮設のイベント会場を簡易に作った。

「なぜ妖精の私が、お団子に、お土産のグッツに販売? え? 綿菓子やリンゴ飴も作れって?」

「なぜ水の精霊というだけで私が、金魚すくい、ヨーヨー釣り、お茶、マーメイド・ティーの販売など、水系の全部をやらされるの?」

「なぜ火の精霊というだけで私が、たこ焼き、イカ焼き、たい焼き販売など、火力系全部を引き受けなきゃいけないのよ!?」

妖精たちは、カロヤカさんたちにこき使われていた。

「寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい! 新しい茶屋娘アイドルのデビュー・イベントだよ!」

 小人は、呼び込みだけで、楽をしていた。

「ということは、美少女侍カロヤカさんから、茶屋娘アイドル・カロヤカさんにタイトル変更かな?」

「ダメよ。侍か忍者はタイトルに入れないと、世界では知名度がないから通用しないもの。」

「おお! 私たちは世界進出を見越しているんだな!」

「それなら美少女侍忍者にしましょう! 次回は、忍術の修行に行きましょうよ!」

「おお! それはいいね! 採用!」

「やったー! 褒められた!」

「ワッハッハー!」

 カロヤカさんたちは、ちゃっかりと青春していた。


「ちょっと待った! 誰に断って、アイドルをやっているんだ!」

「なに!?」

 そこに元祖・茶屋娘アイドルの三人組。笠森お仙、柳屋お藤、蔦屋およしの三人が現れる。

「私たちの夢や希望を邪魔する者は、全て鬼神! 邪魔者には死あるのみ!」

「みんな! 戦うわよ!」

「おお!」 

 カロヤカさんたちは戦う準備をする。

「妖精の鎧! 装着!」

「水の精霊の鎧! 装着!」

「火の精霊の鎧! 装着!」

「美少女侍! 茶屋娘アイドル! カロヤカさん!」

「みなも!」

「せいか!」

「ただいま、参上!」

 カロヤカさんたちは、戦闘スタイルに着替える。

「なんなんだ!? おまえたちは!?」

「問答無用! 聞く耳持たぬわ! 私の夢は誰にも奪わせない! 私の夢を叶える強い気持ちをなめるな!」

 カロヤカさんたちは、刀を構え斬りかかる。

「花が香り、花が舞う! 百花繚乱! 軽やかに咲き乱れろ! 私の花! 必殺! お花畑斬り!」

「鬼神! おまえみたいな悪党は許さない! みなもちゃんをなめるなよ! 水のアイリス!」

「聖なる夜を鬼神なんかに消せさせはしない! せいかの炎をなめるなよ! 炎のチューリップ!」

 カロヤカさんたちは、必殺技をぶち込む。

「ギャアー!? まだ何もしゃべってないのに!?」

 カロヤカさんは鬼神を倒した。


「誰も来ないね?」

「おかしいね。」

「イベント会場が、富士の樹海じゃ無理よね。」

 カロヤカさんたちのデビュー・イベントは、見事にコケた。

「ルンルルン~。」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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