遥かなるロゼ

 暑くもない、寒くもない。かといって暖かくもない。

「どうしていつもいなくなっちゃうの」

 そうやって肝心なことはいつも一人でやってしまうのね、と友人が言ったのはいつかのカフェテリアでのことだ。屋外に椅子を並べたスタイルのそこには木が数本植えられており、風が木の葉をはらはらと落としていた。

「置き去りにしているつもりはない」

 俺は友人に弁明した。

「じゃあどうして」

「遠慮しているんだ」

 何もかも一緒と言うわけにはいかない、と俺。

 あなたってそういうとこあるよね、と友人は応えた。

「大事なとこで涼しいのよ、あなたは」

 紅葉した葉を見る度、その台詞が頭をよぎる。秋だった。

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