Zと僕とゲーム

「麻雀はできないんだ」

 Zは言った。なぜ、と僕は問う。

「ルールを知らないからさ」

「なぜ 、知らないの」

「調べたが最後、納得できるまで細部に渡って調べ続けてしまうからさ。時間の無駄というやつだ」

「そっか」

 きみは知っているのかい、とZ。僕はううんと言って首を横に振った。

「みんながやっているのは見るけど、自分でやろうとは思わない」

「なぜだい」

「僕は凡人だよ……いや、凡人よりもひどい。僕は人よりゲームが下手くそなんだ」

 ははあ、とZは顎に手をやった。

「負けるのが嫌とみた」

「ち、違うよ」

 僕はうつむく。そんな僕をZはじっと見ているらしい。

「きみはゲームが嫌いかい?」

「どこが楽しいのかわからない」

「みんなでやれば、楽しいのかもしれないよ」

「そういうZだって、どこが楽しいのかわかってるの」

 さあ、と首をかしげるZ。

「ただ、みんなは楽しそうにやっているじゃないか。一人でやる電子ゲームとは違った楽しさがあるんじゃないのかい。ぼくはそう思うけどな」

 そう言って、僕の手にあった携帯ゲーム機を取り上げた。

「この中に広がる世界を、きみは信じているのかな」

 Zはそれを太陽にかざす。

 わからない、と僕は呟いた。

「凡人だから」

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