泳ぐ夏から浮かぶ秋、それらすべての即興小説

夕方、買い物に行く

　イヤホンを耳に差し込む。歩きながら何かを聴くのはよくないと思いつつ、Ｄは外に出た。

　スーパーまでの道すがら、音楽を聴くのがＤの楽しみだ。片耳だけにイヤホンを差し、考え事などをしながら歩く。

　今日、買い物に出たのは夕方だった。昼間の猛暑は幾分かやわらぎ、セミの声も穏やかだ。

　前から来た車に道を譲り、踏切を越える。川を渡ってカップルを追い越した。

　信号を渡ると、スーパーに着く。Ｄはイヤホンを外した。スーパーに流れる流行りの曲のインストを聴きながら、Ｄは買い物かごを取る。

「いらっしゃいませー」

　乳製品売り場を通り過ぎ、野菜ジュース売り場を少しのぞくと、カップルがいた。二人ともラフな格好をしている。暑さに強そうだな、とＤは思った。

　野菜やなんやを買ってＤはスーパーを出た。

　帰りがけに、ＣＤレンタルショップに寄る。Ｊ-ｐｏｐコーナーをのぞくと、カップルがいた。

　Ｄはアイドル育成ゲームのとあるアイドルのＣＤだけを借りて帰った。

　帰る途中でカップルとすれ違う。

　セミはそろそろ終わりか、とＤは思った。