ぬけがら会話
「あの謎とこの謎はこういう関係を持つのかねえ」
考え込むのはUである。
「さあ……」
対して、Mは曖昧な相づちをうった。Uはそれを意に介する様子なしに喋り続ける。
「あの謎に関しては、真ん中までアの傾向であり、真ん中からイの傾向を持つよねえ。ううん。そして、あの謎とこの謎に共通するのはピンクの薄いウなわけだ……」
「はあ」
Mは地面に落ちている蛇の脱け殻を一心に見つめている。脱け殻はしっぽの部分が数珠を繋げたようになっており、陽光を受けてきらきらと輝いている。
「ウはあの謎に一ヶ所、この謎に二ヶ所あるが、どのウ同士を繋げるべきかは慎重に考えなければいけない」
Uは図面を広げて何やら書き込んでいる。
Mは脱け殻のしっぽ部分をつまみ、そっと持ち上げた。
「ウの特徴を分類せねば繋げられぬよなあ」
脱け殻は途中でちぎれ、頭の部分が地面に残った。
「あっ」
残念そうな声を出して地面を見るM。Uは図面から顔をあげずにぶつぶつ呟き続けている。
Mはポケットからジッパーつきの袋を取り出し、そこに脱け殻を丁寧につめた。
Uが顔をあげたとき、もうMはいなかった。
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