とてつもなくは主観

「つらいなあつらいなあ」

「そうか、つらいか。それは困ったね」

 頬杖をつきつつBはDに応える。外の空は雲っており、風が窓をがたがたと揺らしている。

「嫌になってしまうよ、こんなにつらいのは」

「そうか、そんなにつらいか」

「誰かなんとかしてくれないかな」

 Dは床を睨んだ。木目の筋を一つ一つなぞる。Bは窓の外を熱心に眺めている。

「ああ、なんのために生きているんだろう」

 Bは窓から目をそらすと、欠伸をして、開きっぱなしだった本に目を落とした。

「どこまでだっけか。ああそうだ、斜めになって上に積み重なるから、つまりこれを西に見ていったとき、新しい方を見ていくことになるわけで…ううん」

 Dは床から手を離し、膝を抱えた。

「対極的に見ると、中央に向かって傾きが緩くなっているのかな。D」

 Dはああ、つらいなと溜め息をついた。

 雨が振りだしそうだった。

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