昨日の袋菓子
「食べちゃったの?」
「食べちまった」
Aはそう答え、空の袋を示して見せた。
「どれどれ。確かに空っぽだね」
袋を確認してから頷いてみせるB。
「よく食べたね、こんなのを」
言いながらBは空の袋を裂き始める。
「俺にとってはまずくもなんともないからな」
Aは袋の開かれる様子を見ながらコップに手を伸ばす。
「だが、どうせ食べてもらうのならば、それのことが本当に好きな人に食べてもらった方がよかったろうな」
そうだね、と言いながら、Bは袋を裂き続ける 。
Aは壁にかけてある時計に目をやり、水を飲み干した。
「じゃ、俺はこれで」
そして席を立ち、背を向ける。
「うん、ありがとう」
去ってゆくA。Bはその後ろ姿をちらと見、またね、と呟いた。そのあと、ばらばらになった袋の残骸を集め始めた。
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