ボイス
隅田 天美
私は私の声を忘れた
「お前の声って不気味な」
誰かに言われた。
まだ、小学校にも入ってない子供の頃だ。
私はショックだった。
毎日虐められ、誰にも助けてもらえず、嘘をつき、平然と装っていた。
自分を変えた。
舞台俳優のように腹から声を出し、できるだけいい声でを出そうとした。
話し方も変えた。
関東人なのに大阪弁を話すようになった。
会話を途切れさせにために知識をどん欲に吸収した。
結果。
今の私は自分の声を忘れた。
衝撃的だった。
自分の言葉も失った。
私には人に対する怒りと自分に対する絶望しかない。
本当の自分がどれだけ浅はかで無知か痛いほど知っている。
どれだけ臆病かも知っている。
だから、自分を消したい。
自分を消して、もう、泣きたくない。
ボイス 隅田 天美 @sumida-amami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます