第10話 蛍のちょうちん

 ある夏の夕方、突然空がまっ暗になり、大つぶの雨が地面につきささるように降ってきました。


 ネズミはしかたなしに大きなイモのはっぱの下で雨やどりをすることにしました。


 ところが雨はいっこうに止む気配がありません。止むどころかだんだん激しく降り出し、おまけに雷まで鳴り出しました。


 雨にぬれてズッシリと重くなった上着を脱ぎながら空を見上げてネズミがぽつりとつぶやきました。


「この雨は止みそうにないから、どこか泊めてくれそうな家をさがすしかないな」


 しかたなくしばらく雨やどりを続けていると、背中から細い声が聞こえてきました。

「どうかしたのかい?」ネズミは驚いて声のする方を振り返りました。


 すると、うす暗い中に一匹の年老いたウサギが立っていたのです。

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