第2話

「はい、美しいお月さんの姿を見てると、なぜか気持が優しくなれるんです」


 うさぎは憧れだったお月さんと話すことができて、まるで夢のような気分です。


「さっきあなたは、いつも大きくて美しいといってくれたけど、そんなことないのよ。よく見てればわかるんだけど、約1ヶ月の間に色んな顔に変わるのよ。大きくて、丸くて、美しくかがやいているときもあれば、半分しか見せられないときもあるし、まったく顔を隠してしまうときもあるの」


「知ってます。でも、いつも大きくかがやいている印象しかありません。そこでお月さんにひとつ聞きたいことがあります」


「なあに?聞きたいことって」


「まんまるだったお月さんがどうして少しずつ顔の形が変わってしまうんでしょう? いつもまんまるのままでいいのに……」


 うさぎは淋しそうな顔で聞きます。


「どうしてかというと、私もうさぎさんと同じようにお腹が空くの。誰でもお腹が空いたらご飯を食べるでしょ? 月はキビ団子できてるから、毎日少しずつ食べてると、黄金色に光っていた部分が段々なくなってしまうの。全部食べてしまうと顔が出せなくなってしまうから、今度は少しずつキビ団子をこしらえて、またまんまるのお月さんにするのよ」


 うさぎはその話を聞いて、1度お月さんのところに行ってみたくなりました。


「お月さん、お願いがあります。お月さんのところに行ってみたいんですけどだめですか?」


 両手を合わせて頼み込みます。

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