岡山の少女 11

僕はそれをすべて吸い尽くそうとするかのように、深く息を吸い込んだ。


車の中のあらゆるものに、女性らしさが感じられた。


バックシートに置かれたパラソル、ダッシュボードの中には、小型カメラとサングラス、うちわと御守り、それらのどの一つをとっても、彼女の優しい心が宿っているように感じられてならなかった。


やがて彼女が帰って来た。


「どこへ行きたい?」


彼女は僕に笑いかけながら、そう聞いた。


「そうだね。別にどこってあてもないけど、吉井川まで出て見ようか」

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