岡山の少女 6

「どなたでしょうか?」


「黒住です」


「まあ。黒住さん!びっくりしたわ」


「例のドライブの話だけど、行くんだろう?」


「どうして、電話番号知ってるの?」


「会社の住所録で調べたのさ。今日はどうしても返事をもらおうと思って」


「まだ、先のことじゃない」


「すると、行くんだね」


「ええ」


僕は一瞬耳を疑った。


会社ではどんなに熱心に頼んでも、少しも耳を貸そうとしなかった彼女が、今初めて快く承諾してくれたのだ。


僕は、彼女の気が変わるのを恐れるように、早々と受話器を下ろした。

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