岡山の少女 5

ドライブの話は、なかなか進まなかった。


彼女は、まるでそんな約束をしたのを忘れてしまっているかのように振る舞い、僕がその話をしようとすると、きまって巧みに話をそらせてしまうからであった。


そして、そういうすげない仕打ちをされればされるほど、彼女に対する想いはつのり、いらだたしさと悲しみの入り交じった気持ちになるのだった。


その夜、僕はフラフラと町にさ迷い出た。


そしていつのまにか、公衆電話の前に立っている自分に気がついた。


僕はしばらくためらっていたが、思いきって受話器を外すと、彼女の家の番号をダイヤルした。


「もしもし」


「はい。小山です」


彼女だった。

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