俺のアキレス腱が痛い

俺のアキレス腱が痛い。

でも切れてはいないハズだ。

噂だが、アキレス腱というものは、切れてもそこまで痛まないらしい。

「今日の体育では、鬼ごっこをする。」

「よっしゃー!」


「杉田、大丈夫か?」

「ああ、少し痛むが大丈夫だ。」

そう。俺の名前は杉田腱白。どこぞの偉人のような名前だが気にするな。

「そんなことより太田、お前も大丈夫か。ここ最近運動してないんだろ。」

「うん、多分だいじょ。」

こいつは太田大男。その名の通り身長180、体重90の巨漢だ。

「それでは!よーい、スタート!」

「うおおおお!」


「あと2分!」

残り人数は3人。俺と太田はなんだかんだで生き残っていた。

「ブチ」

嫌な音が体育館に響いた。ああ。これ、やったな。そう思った。

「ぐァぁあうぇぁおぁ!」

床に座り込んだのは、太田。音からしてアキレス腱が切れた訳ではなく、ただの肉離れだろう。

「太田!大丈夫か!?」

俺が行く前に先生が太田を連れて行った。やれやれ、太田のやつ。何が「だいじょ」だよ。

「残るはお前だ…杉田!」

「ヤベッ」

鬼は5人。対して俺は1人。挟み撃ちにされてしまった。だが、ここで逃げなきゃ男がすたる。俺は近くの壁を利用し鬼たちを飛び越えた。

「くっ…杉田ァ!」

「ハッハッハッ、追いつけるもんなら追いついてみy…」

グキッと嫌な音がした。ヤベ…やってまった…

「おいつ…いて…み…やがれ…」

「おい、大丈夫か?」

「…………nが…」

「ん?」

「………腱が…」

「え?なんて?」

「ア、アキレス腱がぁぁ!」

俺は保健室に連れ込まれた後病院に搬送された。

「えー…右足首の捻挫ですね。」

「…………え?」

「いやですから右足首の捻挫。」

「…アキレス腱は?」



「アキレス腱はいたって正常です。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る