短編の集まり

きのこ

ラーメン〜究極のラーメンを目指して〜

これは、とある村に住んでいる、料理人を目指す少年のお話です。彼は、幼少期に出会った「ラーメン」を愛し、「ラーメン」の料理人を目指しています。

私はこの少年の半生を、短く語りたいと思います。果たして少年は「究極のラーメン」を作ることは出来るのでしょうか。



彼の名前はクリ・キントン。栗のように丸々としていそうですが、そうでもありません。まだ3歳ですが、将来すごいイケメンになると噂されているそうです。

…おっと、今日はクリ・キントン、人生初のラーメンを食べるようです。3歳で麺類はかなり危険な気もしますが、大丈夫でしょうか。そんなことより何ラーメンを食べるのでしょうか。ちょっと覗いてみましょう。

ガラガラガラ。丁度クリ・キントン、ラーメンが来たようです。これは…醤油ラーメンですね。美味しいですよね醤油ラーメン。シンプルで。…お、まず匂いに感動していますね。そして!麺をすすっていく!美味しそうだー!みるみる食べ終わってしまいました。

この出会いがクリ・キントンの人生にどのような影響を与えるのか、楽しみです。

…おかわりしています。3歳とは思えない食欲ですね。



はい、こんにちは。一気に時は6年たち、クリ・キントンは9歳になりました。あの、ラーメンとの出会いにより、彼の夢は宇宙飛行士からラーメンの料理人になりました。そして、今日、彼は、初めてラーメンを作ります。果たして上手く作れるのでしょうか。

それでは見てみましょう。

おー、今は小麦粉をこねて麺を作っていますね。その眼からは熱い闘志を感じます。なんで闘志を感じたのでしょう。きっとそれほどラーメンを愛しているのでしょうね。あれ、そういえばクリ、何ラーメンを作るのでしょうか。やっぱり醤油でしゃうか。それとも、味噌?それとも塩?どれを作るか、楽しみですねぇ。お母さんも、クリに料理人の素質があるか確認する為にわざわざラーメン屋の友達を呼んでいるようです。まぁお母さんは、息子が作ったラーメンですから、「美味しい」って言うに決まってますけどね。……ああ。クリ・キントンの顔ですか?そうそう、それなんですけどね。なりましたよ。皆さんの想像通り、「イケメン」に。小学校3年生なんですけど、モテてモテて。でも、「俺は世界一のラーメンを作るから。」って言って全部断って。そのせいか、彼には友達がいません。別に気にしてないようですが。

お、ラーメン出来上がりました。どうやら「塩ラーメン」っぽいです。フフ。それでは私も。

「いただきます!」

…!!こ、これは!塩ラーメンじゃない…?

それどころか、他の何ラーメンでもない、全く新しいラーメン!ほんのりとかおる魚介の香り、旨さひきたつ豚肉の味。そして…なんだこれは?おい、まさかこれは、まさか…醤油に味噌を足した!?しかもこの割合、絶妙!醤油の味もしっかりあるが、味噌の香りもひきたつ。なんて美味いんだ!このラーメン!!

あ、つい熱くなってしまいました。すいません。私、ラーメンの事になると熱くなってしまいまして…でもこのラーメンは本当に美味しいです!世界の味がします。…え?質問がしたい?いいですよ。あ、お父さんですか…

実は三年前に亡くなりました。あ、いえいえ、全然大丈夫ですよ。そしてお父さんが亡くなる時、クリは「父ちゃん…俺、究極のラーメン、作るよ!」って約束したんです…私感動ー!



…はい。どうぞお久しぶりでございます。

あれから10年経ちました今の世の中でございます。あれからクリは更に腕を磨いて、先日、有名ラーメン店、「俺のラーメン」に弟子入りしました。一時的出店していましたが、あまり売れ行きが良くなかったので、弟子入りしてさらなる腕の上達を図ったわけです。

そして、今日は、弟子入り最初の試練、「試食会」の日です。試食会では、「俺のラーメン」の弟子たちが作ったラーメンを試食してもらい、正直な感想を記入してもらうものです。今回はクリ、「キビシイ部門」にエントリーしました。「キビシイ部門」は、とにかく厳しく評価してもらう部門で、毎年弟子たちが心をズタボロにされています。果たして、クリは、あの時のような美味いラーメンを作る事が出来るのでしょうか。


いよいよ試食の時です。クリの作ったラーメンが台に並べられ、審査員が次々と口にしていきます。すると、審査員の口から次々と言葉が出ました。

「美味い」

「美味しい」

「こんなの食べた事ない」

と。あらあら、すごい人気ですね。☆が1個も取れない人もいるのに、クリはMAXの☆5個ですよ。やっぱり才能あるんですね。…あれ、クリが誰かと争っています。「お前のラーメンはこれで十分だ。」という相手側と、「まだだ!俺のラーメンはこんなものじゃない!」というクリ側。まぁ、クリはクリでいいと思いますけど。

はい、無事に試食会を乗り越えたクリ・キントンでしたが、将来はどうなっているのでしょうか。



はい、さらにあれから19年が経ちました。もうそろそろ終わらせないといけないので頑張ります。

今、クリは究極の材料を探しています。そして、とうとう明日帰ってくるんです!そして、究極のラーメンを完成させる…

失敗や挫折は何度あったことか…あ、無かった。クリは、全て成功させ、挫折なんかしなかったわ。すみません、ウソ、つきました。それでは明日!

【次の日】

はい!帰ってきました!先程!そして今!究極のラーメンを作ってます!究極の小麦粉を混ぜ、こね、究極の豚肉を切り、チャーシューを作り、また、究極の鳥でダシをとったスープを作り、それら全てを器に入れ、最後に究極の野菜を乗せる。

「……出来た。これが、俺が長年目指していた、究極の、ラーメンだー。」










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