第21話 戦闘開始!

「…これはあくまで任意です。お時間を取らせて申し訳ありませんでした。でも俺は諦めません。また明日も来ます。」立ち去ろうとした久海に「ちょっと!」という石田の声がした。


「全てお話しします。DNA提出もします。結城の無念必ず晴らしてください。宜しくお願いします!」何かを吹っ切ったようなはつらつとした口調で久海に石田は頭を下げる。


「必ず解決します!一刻も早い方がいいと思うので、今から署まで来てもらえますか?」久海はダメ元でお願いをした。石田は軽くうなづいて一緒に署まで向かい、DNAサンプルを提出し、一部始終を久海たちに話した。


「久海さん、本当に申し訳ありませんでした。そしてありがとうございました。それとこれ…僕もよく夏輝さんにこのバーに連れて行ってもらったことがあって、プライベートで飲みに行って見てください。僕がキープしてあるボトル美味しいですよ。」と笑いながらユニバースの名刺を渡した。


石田は手錠をかけられて警察官数名に連れていき、最後に、久海たちの方を振り向いてもう一度大きく会釈をして去って行った。


「さぁ!最後の仕上げと行きますか!!」久海は両頬を両手で打って気合いを入れ直す。



警察署の前に止まっている一台の黒い車。窓が音を立てて開いた。

再び締まった車の中には国保夏輝がいた。夏輝は、電話を手に取ってどこかへ電話をかける。


「石田が警察に捕まった。あいつはお人好しだから全て話すだろう。警察も近々乗り込んでくる。ひとまず100人くらい血の気の多い奴ら集めてもらえるかな?じゃ、よろしく。」電話を切って運転手に車を出せと告げる。




______________バー・ユニバース_______________________________


「俺のボトル持って来てくれ」ぶっきらぼうに夏輝が山本にボトルを持って来るように頼む。「夏輝、本当に大丈夫なのか?」心配そうに山本が夏輝に問いかける。「お前は何を心配してるんだ?俺のことか?それとも自分の身か?」コップを片手に山本に聞き返した。


「もちろん…」気まずいような表情でその場を後にした。「ったく、どいつもこいつも…!」少しイラついたような口調でつぶやく。



ザワザワと外から騒がしいような音が聞こえる。「なんだ?いつもより少し騒がしくないか?」夏輝と一緒に来ていた仲間がそう言った。「俺ちょっと見て来るわ。」仲間の一人が様子を見にVIPルームの外へ様子を見に行った。


VIPルームの外で「はい、警察です。速やかにこのお店から退出してもらえますか?」という声が飛び交っていた。「速やかに〜」


「夏輝、警察が来てるぞ!逃げた方がよくねえか?」と焦った口調で夏輝に告げるが「おもしれぇじゃないか?ちゃんと挨拶しないとな」と不適な笑みを浮かべながらVIPルームから出て行った。


出て行こうとしている山本を久海が止める。「店長!あんたは残るんですよ!」

VIPルームの奥から夏輝が姿を現す。「どうも、刑事さんたち、今日はまたどんなご用ですか?」後ろ手に手を組みながらゆっくりと近づいてくる。


「何でここに来たかはもうわかっていると思うけどな…」と古来が夏輝に向かって言った。「フフッ、結城のことですかね?」夏輝の言葉を遮るように「それだけじゃない!連続通り魔の犯人もお前だ!」久海は一歩前に出て強い口調で言い放った。「どうせお前たちのことだ。国保夏希を筆頭にこのメンバーで行ってとこだろう?インスタにはこいつらと映ってる写真が多くある。」携帯を見せながら夏輝に告げた。


「そして、連続通り魔事件で唯一死者が出た最後の事件の犯人もお前だ。国保夏輝さん、あなたが実の弟である結城羽月さんを殺害しましたね。」古来は、強く夏輝に訴えかけた。


「それはどうだろうね?」と言いながらVIPルームに消えて行った。3人の目の前に男たちが数えきれないくらい現れる。「やっぱスムーズには解決しないか。疲れるんだから辞めてほしいよ。」古来は呆れたようにこうつぶやいた。


「まずはこいつらから黙らせて行きますか?」久海は笑いながら古来に話しかける。「じゃ!どこからでもどうぞ!!」久海たち3人は強行突破をする体勢を整えた。


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