第18話 新証拠浮上!?
城戸の指示通り古来と久海は、夏輝本人から聞いたユニバースというバーへ聞き込みに向かった。
一方鈴道は、鑑識の坂本と監察医の笹原に改めて話を聞きに行くところだった。
_____________コンコン
「失礼します。笹原さん少しいいですか?」鈴道は笹原がいる監察医務室に足を運んだ。ドアを開けた目の前には、笹原が座っていた。黒いイスをクルッと回してこちらを振り返る。
「鈴道くん、こっちに座ってくれ。」鈴道を自分の席の近くに座らせた。
「鈴道くん、この前の起きた事件被害者の結城羽月さんについて調べてるんだろう?」鈴道に向かってそう投げかける。
「…はい。今手分けしてもう一度証拠を洗っているところです。悪者が目の前にいるのに無視するなんてそんなの有り得ませんから!」鈴道はいつもより強い口調で笹原に言い放った。
「!ビックリした!」笹原は驚いたような表情で言葉を放つ。鈴道は焦ったように「あっ…すいません。」と言うと笹原は笑ったようにコーヒーを鈴道の前に差し出した。」
「ありがとうございます。あの、もしかしたらなんですけど、まだ何か残ってるかもしれないと思って今日は笹原さんのところに来たんですが…」と少し控えめな声で鈴道が言うと、笹原は軽く吹いたように笑った。
「なぜかそんな予感がしてたよ。そう言ってくるんじゃないかと思ってさっきまで解剖の資料を見返していたんだ。」と笹原は続けた。
鈴道の顔にも笑顔が浮かぶ。「それで、何か気になる点はあったりしましたか?」すると、笹原はあるページを捲ってこう答えた。
「ここの部分を見てくれ。解剖した時は、傷口の方に目を向けすぎていて気付けなかった部分なのだが、実は頬の部分に微量ではあるが白い結晶が付着していたんだ。これは、その結晶のようなものを分析した結果だ。」と言いながら笹原が指を指した。
「塩化カリウムと塩化ナトリウム…これは…」と鈴道が言うと「涙の成分だね」すかさず笹原が言葉を放つ。
「この塩化カリウムと塩化ナトリウムは涙の主成分だ。ほんのわずかだが、誰かが彼の姿を見て涙を流したと考えられるな。おそらく、1回目に殴ってためらった人物である可能性が高い。と考える」
「そうですか…ありがとうございます。先生。また何かあったらお伺いにくるかもしれませんが、その時は宜しくお願いします。」鈴道は立ち上がって深々とお辞儀をした。
「あー、この事件必ず解決してくれよ。被害者とその恋人のためにもな」笹原は鈴道に向かってエールを送って見送った。
鈴道は、大きく頭を下げてから監察医務室を出て鑑識の坂本の元へ足早に急ぐ。
________コンコンコンコン
鑑識の部屋の前のドアを叩いた。中から「どうぞ」という声と共に現れたのは鑑識の坂本だった。
「もう来る頃かなと思って待ってたよ。」坂本がそう言いながらドアを開けてくれた。「ありがとうございます。坂本さん。もしかして何か見つかりましたか?」坂本はにんまり笑って鈴道を話ができる席に案内した。
「監察医の笹原先生から涙のことは聞いてる?」坂本の投げかけに鈴道が軽くうなづく。
「僕が被害者についていた涙の成分調べたんだけど、それからちょっと気になってね。もう一度衣類などを調べてみたら微量だけど見つかったよ。被害者の服の袖口に…。さらに、万が一に備えて衣類指紋とかDNA鑑定についても徹底的にもう一度調べてみたらあったよ。」と調べた結果の書いてある資料を鈴道に示した。
「くしゅっとしたシワの部分にかすれたような血痕とDNA…これって…」鈴道が坂本に尋ねる。「ほんのわずかな痕跡が服のシワの間に入ってたよ。さらに、奇跡的に証拠も取れた。こういう証拠を見逃してしまうということは鑑識としてまだまだ修行が足りないな。」と言いながら坂本が苦笑いを浮かべた。
鈴道は「坂本さん、ありがとうございました。必ず犯人をあげます!」とだけ言い残し部署に戻って行った。
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