第13話 正体を現した……最大の敵
写真の右側に写っている国保夏輝が持っているグローブを指差してこう言った。
「古来さん、このグローブって左利き用じゃないですか?」
古来が写真を取ってじっくり見ると…。
「そのようだな…」明らかに写真の中の国保夏輝がしているグローブは、左利き用だった。「じゃぁ、この国保夏輝は左利きってことですか?」と久海が改めて尋ねると「そのようですね」と城戸が何か手応えを感じたような口調でつぶやいた。
「国保夏輝の居場所は?」と小さくつぶやいた言葉を城戸は聞き逃さなかった。「国保夏輝は、都内某所にあるレストランを何店舗も経営している経営者だ。
___________________________都内の某レストラン___________
そこは、都内にある某レストラン、色が透き通るようにキレイな青空の色に目を奪われる。
白とブルーの古風な建物が目を引く外観と木々の緑とカラフルな花が植えられている庭、石畳を歩いて行くとこげ茶色の大きなドアが見える。年齢性別問わず、飛び交うにぎやかな声がその場所の人気を現しているようだ。
美味しそうな料理とそれを彩るようなドリンクの数々が各テーブルに並べられている。
忙しそうな店内の奥には、VIPが集えるという個室がいくつかある。
さらに、奥の場所に濃い青色で彩られたドアが見える。ドアの真ん中には、『Owner's Room』と書かれた札が吊るされていた。まるでこの場所だけが異空間のような雰囲気だ。
ドアを二度コンコンと叩くと部屋の中から「あー」という声がする。
「失礼します。」レストランのウェイターらしき男が深刻な表情でオーナールームのドアを叩いたのだ。「失礼致します。オーナー、1つお耳に入れておきたいことがあります。」声を抑えたような話し方で男はオーナーと呼ばれている人物に話しを始める。
「警察が例の事件を調べているようです。もしかしたらもうすぐここにも来るかもしれません。気をつけた方がいいかと…」と言いながら頭を下げた。
「警察ってさ、無能だと思ってたけど意外とやるんだな。3件の事件は、これっぽっちも手がかりつかめなかったのに。新入りでも入ったのかね。フッ」スーツでビシッと決めているが、人を見下すような態度、横柄な振る舞いの目立つ男がその場にスクッと立ち上がる。
「何か手を打っておきましょうか?夏輝さん」とウェイターのような男が声をかける。「いいよ、下がって」とすかさず言い放った。男は、失礼しますといってその場所をすぐ後にする。
国保夏輝という男は、ポケットから携帯電話を取り出してどこかへ電話を始める。
tulululu……tulululu……
「もしもし、親父」電話をした相手は、自分の父親である国保玄樹のようだ。
「なんだ、夏輝。お前からの電話は嫌な予感しかしんな。」電話ごしに国保氏がつぶやく。
「そんな、でも…するどいじゃん。親父。残念、これがあんたの息子だ。」と自分の父親に言い放つ。
「………フン」鼻で笑う国保氏の声が響いた。「ところで、親父に1つ頼みたいことがあるんだけど…」不適な笑みを浮かべて話を続けた。
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