第2話 新たな事件の幕開け!
不思議な面持ちで久海は、城戸の後を着いて行く。
階段を下りて行くとここは警視庁なのだろうかと疑ってしまうような地下に到着した。
廊下を歩いて行くと角にある扉の前で立ち止まった。
久海は、ドアの横に目を向ける。そこには、久海が今日から所属する部署の名前が記されていた。
___________________『特別機動捜査隊99班』
ドアを開けて中に入ると、久海の目に映るのは、少し薄暗い室内にイスと机が4セット。
その先には、城戸の席と思われるイスと机が見えた。
「今日からここが久海くんの勤務先だ。特別捜査機動隊99班。久海くんは、ここの机ね。」城戸が机をポンポンと叩く音だけが響き渡る。
『特別機動捜査隊99班…聞いたことないな。』何とも言えない不安を抱えながらも、久海は、ひとまず持っている段ボール箱を机に降ろす。
まるで倉庫のようなやや薄暗い室内は、シンプルで簡易的な物しか置いていない様子だ。「他の奴らももう少しで来ると思うから、来たら紹介しますね。」と、城戸さんが机に向かおうとした時、後ろのドアが音を立てて開いた。
「おはようございま〜す!あっ、もしかして今日から入って来た新しい人?」と、言葉を発する少年のような女の子が久海の斜め向かいの席に荷物を置く。
「おはようございます。」という一言だけを放ち、無表情の男は、久海の隣の席に荷物を置いた。
「皆にも紹介しますね。今日から特別機動捜査隊99班のメンバーになった久海桜風くんだ。」
「おはようございます。初めまして!久海桜風と申します。今日から宜しくお願いします!」少し緊張した面持ちで声を震わしながら挨拶をした。
「初めまして!私は、鈴道広瀬、歳は21歳!宜しくお願いしまーす!」軽快さのあって元気な様子で自己紹介をする彼女は、男の子のように見えて実は、女の子のようだ。
「初めまして。俺は古来朝陽。宜しく。」と座りながら目も合わせずに挨拶の言葉を発する。久海は、古来に対して何だコイツは…という印象のようだ。
最後に城戸が挨拶をしようと言葉を紡ぐ。
「改めて、僕の名前は、城戸幸士郎です。特別機動捜査隊99班の一応、班長という肩書きだ。」と苦笑いを浮かべた。
「特別機動捜査隊99班ってどういった部署なんですか?」久海はストレートに尋ねる。
「ここはだな…」と、答えようとする城戸の声を遮るように「俺が説明しますよ。」と黙ったいた古来が口を開く。どこか不満そうに冷たそうに見える男だ。
古来の話はこうだ。
特別機動捜査隊99班は、他の部署とは違ってその名の通り、特別な特殊部署だ。
拳銃を所持せず、武器は警棒のみ。犯人に生きて罪を償わせることを目的として結成された班らしい。
古来は、幼い頃から空手をやっていて、日本代表にまでなった腕前だ。鈴道は、IT系にめっぽう強いだけでなく、テコンドーを極めていて、こっちもチャンピオン級の実力者だ。
そして、久海は素早い身のこなしとパルクールといって街にあるさまざまな物を使って縦横無尽に飛び回るスポーツの腕前が優れていることから選抜されたようだということだった。
『なんかすげぇ班に来てしまった…』と久海は、少し複雑な気持ちになった。
基本は、暇な部署だが、特別な事案が起こると呼び出しが入るのだ。そうこうしていると突然、電話が鳴り響いた。
「はい、特別機動捜査隊99班」城戸が電話を取ったが、その表情を見ただけで、何の電話なのかわかるほど表情が厳しく変わった。
持っていた受話器が音を立てて置かれる。
「例の通り魔事件と同じ手口の事件が起きました。ただちに合流して下さい。」慌てた様子で城戸が言うと、「「はい!」」と古来と鈴道が返事をした。
「一緒に来い!」あたふたしていた久海に、古来が声をかける。「は、はい!!」久海は、慌てた口調で返事をして、2人の後を追いかけた。この1本の電話が後に大きな事件へと繋がっていくことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます