第33話 桜の東京編9 浅草寺

上野から出発すると、看板だらけのビル群はだいぶ姿を消していき、ただの地味なビルが並んでいる街並みへと変化していった。相変わらずそれでも大宮よりは都会だよなあ、なんて思いながら歩いていった。

浅草寺方面に向かうため大通りから少し外れて、ふと通ったお寺の桜の木に目を奪われながらも、雷門通り、というところにたどり着いた。浅草寺まではもう少し、という感じがしたので、疲れている茉莉の足も自然と動いた。

浅草寺に近づくと涼乃が

「浅草寺、ちょっと寄ってもいいかな?」

と、特に茉莉の方へ向けて聞いてきた。かなりの距離を歩いて歩き疲れている茉莉を心配して聞いてきたのだろう。

それに対して茉莉は

「全然大丈夫だよ」

と答えた。もはやここまで歩いていると、浅草寺に寄ろうが寄るまいが変わらないと思った。


雷門から始まる仲見世通りには、やはり多くの人や、茉莉たちの気を引き付ける店があった。茉莉もつい、駄菓子屋さんで「雷おこし」というお菓子を買ってしまった。

浅草寺の境内まで入ると、茉莉たちはお賽銭を投げて合掌をした。茉莉は昔お寺でも二拝二拍手一拝をしていたが、涼乃に「それは神社の時の作法よ」と言われてからはやめるようになった。

浅草寺のお参りが終わると、四人はおみくじを引こう、という話になって、順番におみくじを引いて行った。

「吉か。普通だな。」

「……あー……末吉」

「あ、私凶だ……」

「んー何回目の大吉だろう」

そうやって、それぞれの反応をした。生まれてから大吉しか引かない茉莉にはやはり全員が驚いていたが……。


雷門前で四人で久しぶりの記念撮影をした後、また雷門通りにでて、隅田公園を目指した。

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