第13話 ゴブリンキングの憂鬱  前編

『困ったことになったものだ。』

異形な姿の二人?が、お互いに違う作業をしながら語り合っていた。


片方は無貌の者で無数の目をテーブルの上に転がしている。4本腕で本と実験用具に入った薬液2種類を取り扱いながら・・・なにやら飲み物を飲んでいる。

よく取り違えないものだ。


もう一人?は、一本足でぶっかっこうに太った体を引きずり・・・石の様な出来物のある凸凹頭に広がった目と口がひとつだけの異形・・・腕は2本だ。



石頭のほうが、部屋中にあるクリスタル製の入れ物に、飼われているモンスターを眺めながら口元に笑みを浮かべながら・・・

『あのお方があそこに現れるのは予期できていたことだが、あれはまずかったな。』


『たしかに・・』飲み物のほうに薬液のひとつを入れたものを口に運んで・・・むせながら・・・相当苦しいのだろう目玉がいくつかがテーブルから落ちた。


石頭が人間の赤ん坊を摘まんでクリスタルのひとつに落とす・・・クリスタルの中は箱庭のように生物が生きる環境が作られているのか?その生物がいた環境を空間ごと切取ったものなのかはわからない。

やがて、獲物なのか餌なのか気配を察した何かが現れた。黒いカエルの様な物で長いとげを背骨に沿って一列に生やし歯も長い牙が並んでいる・・・大きく口を開けて、泣く赤ん坊に近づく無数のカエル・・・一斉に襲いかかった後そこには何も残ってなかった。地面についた血ですら長い舌で舐めとっていったのだ。


それを見て、石頭の目は笑っていた。


『あの言葉ですな。』テーブルの上に目を戻しながら、無貌の者が言った。


『おもしろい。あれは良くない言葉ですな。あれはあの世界に、あのお方がこれから関与を増やすって意味ですからな~まったく困ったことに・・・』


『困ったことになるのは、彼等か、あの世界か、我々にとってか・・・それともその全てか・・・・』




砦の再建が終わって、岩山の作業を眺めていた・・・街に攻めて来たオーク達は半分に減っていた。過酷な作業のために死んだのか?それとも、誰かのおやつにされたのかは定かではない・・・。

残っていたオークは、痩せて筋肉質になっていた・・・顔かたちや大きさも変わっていたのでメアリーを呼んで確認したら。上位種に進化したらしいボアオークというらしい。顔が確かに猪だな~でもさ~なんでイボイノシシの顔してるのもいるの?だそうだ。このへんなのがそうか?とか思いながら・・・

ボアオークになったら今までの作業でもなかなかへこたれない?死んじゃわないようだ。

大きさもホブゴブリンより大きいな~ゴブリンロードくらいかなぁ~

食欲と性欲はより強くなってしまったようだ、メアリーに襲いかかろうとしたので殴り倒しておいた・・・しぶとさは、ホブゴブリン並みっと。


躾と制裁を含めて10匹をジェネラルに預けることにした。うまくいくなら、全部預ける。いかなければ元に戻せばいい。


ボアオークに強制労働させてる岩山だが、ゴブリン上の農地の近くを流れる川はこの岩山のおかげで急なカーブをしている個々で大雨が降るといつも洪水となる為、城壁や砦、城下町などの建材確保の意味も含め岩山をなくしてしまおうとしている。そうして川の流れを緩やかにして災害を減らそうということである。お金はかかるが見入りもある、鉄や銅の材料になる鉱石などが取れるからだ、いや取れてラッキーって感じだけど、山ごと切り崩しているので鉱脈など探さなくてもいい坑道も作らない。後はそんな無茶の出来る労働力の確保するだけであるが、それは以外と何とかなった、急場の食料提供をしてくれたトロール達やオーガ達がそのまま手伝ってくれている・・・食料をわれらに分けて貰えるお金より実入りがいいといということだ。

両者は生命力に富む巨人族の傍系なだけあってこういう仕事にも長けている、上についている彼らの長のカリスマ性や考え方に起因しているんだろうけど。

ちなみに紹介するとトーロールリーダーの赤髭、彼はトロールのなかで肌の赤さも髭の赤さにも提唱がある。昔はかなり戦争なんかに参加したらしいけど無限の生命力の為傷が残らなかったらしいだが、その赤い髭は敵の地で染めたのだといつも自慢している。嘘かも知れんが実際に体つきや大きさを見れば信じちゃう奴は信じちゃうよね。1000人程度のトロールを従えている族長でもある。

オーガクィーンのビシュヌ。着々と基盤を整えつつある新興勢力。つい最近まで森や山の奥地で住んでいたはずだったんだが、ゴブリン城から見て川の向こうの頂上に雪をかぶった大きな山があるのだがそのすその付近に街を作っているとか?今はこの岩山の近くに集落を作ってすんでいる。白い肌に金髪と銀髪の間で両方生えてるのかな?頭に二本の角を生やしその角に宝飾をしている冠の代わりだそうだ。ダニーと同じくらいの背丈でスタイルも同じぐらい立派だ・・・・ダニーより毛深くは無いんだが、しりがデカイ!それをいったら顔の形が変わるほど殴られたので周りの奴らにも気をつけるように言っておいた。ヤレヤレ


まぁ、いろいろお世話になってるこの人?達になにやらお返しがしたいと思っても不思議は無いと思ったので、何が良いか聞いたら赤髭はウーメンが食いたいとのこと、ウーメンとは人間族で今流行の細長く伸ばしたパン生地のようなものを煮て、それを汁に入れて食べる物らしい肉とかが上に載せられてたりバリエーションがあるみたいだ。

ダニーに聞いて見るか~。


ビシュヌは、ちょっと忘れていた大変なことを思い出してくれた。

それは神様関係のことで、ここらへんの土地神様が、今削ってる岩山に住んでいるとのこと・・・おい、知らんでやってるとしてもやばいだろ

移動してもらわないといけないわけで・・・・


ここに視察に来た時に、いるのを見たとか・・・ビシュヌが特殊な能力持ってるとは知っていたがそういうものを知覚できる能力なのかな?わしらでも見れるの?とか聞いてみたら・・・見えるとのこと、よかった見えない者に話しかけたりするのはなかなか難しいからなぁ~


土地神の話しをビシュヌから聞いた数日後。

山エルフが珍しく山からここまで遊びに来た、エルフは飲み物とかいう認識のバカも相手が山エルフだと知ったら・・・なぜか逃げ回っていた。

『いまだに、取替えっ子の昔話を信じてる者たちがいようとは。』苦笑を浮かべる山エルフ


『どうした?山で何かあったのか?』と聞いたら『いや、ひさしぶり友人に会いたくなってね。』だそうだ。

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