第9話 ゴブリンキングの暴走  前編

城の周りの城下町にゴブリンたちが集まってきた。

住む所ができたんだから来るのだろう。


コボルト達があちこちに走り回っている。


ゴブリンたちがコボルトを食べてしまわないように。

『コボルトは全部わしのだから、喰ったらわかってるな!』とか、言っておいた。


テラスで、走り回るコボルトやゴブリンたち・・・町の様子を眺めながら。

クロイツの入れてくれた、今日で何杯目かわからないほどの紅茶を飲む。


『そういえば、ご主人様。宝物庫といっても1階の事ですが。片付けをしていましたら、地下室への扉を見つけました。』


そんなものあったっけ?ん~そういえば~あったような~?


『どこだ?』

これ以上、紅茶でタプタプになるのは嫌だったから出た発言なのだが。


『では、紅茶を飲み終わってから参りましょう』


ごふっ!とか、吹きましたよ・・・噴水にならずにすんでよかった。


で、地下室・・・というか・・・酒樽やら瓶に入ったものやらが所狭しと、置かれてますなぁ~?何だっけこれ思い出せないなぁ~?


『これだけ、酒類の貯蔵がなされているとは・・・お見事です、ご主人様・・・このクロイツ感服いたしました。』


『たしかに、城より巨大な地下室だなぁ~』よく床が抜けないもんだ、先々代凄いな。と、思いつつ。

いくらぐらいするんだと、ダニーに見せる。


『うわっ!超レアな年代物のワインとかがあるじゃないですか?』


『で、?いくら??』


『この一本でこの城買えちゃいますよ。』と、カビで覆われた一本のワインを恐る恐る抱える。



ん?わしの城って?どんな価値?


『ゴブリンキングさんの、城下町のほうが資産価値高いですから~』はははっと笑いながらダニーが答えた。


『まぁ、お二人とも、ここは少し寒いので、お茶の時間といたしましょう・・・』だから、紅茶セットどこから出した?


つがれた紅茶をおいしそうに飲むダニー。

『あったかい紅茶は、ほっとしますね~』


クロイツは、ダニーの言葉にうんうんとうなずき・・・で、何でわしのこと見る。何を要求してるんだこいつは・・・


地下室から、出たところで・・・・



そういえば、っと、ダニーが。『人間族の大きな城塞都市・・・セント・クロス・クラウン城が、近隣に支援要請してるって言ってましたよ。なんでも、1位の魔神が相手らしくて結構危ないそうですね~。』


『ふ~ん』


『で?』


『う~ん、その魔神が海上封鎖しちゃってて。たとえば、このワインとか運べないんですよ~』

ん?普通に馬とか馬車で運べば?とか思ったんだが・・・

『ちなみに、みんなが食べてるものは途中まで船で運んでるんですよね~。だから、今あるので仕入れできない感じになりますね~』


おいっ!今物凄く大事なこと言わなかったか???


城下町に住む者たちの食料の大部分が、ダニーの手配でやりくりしている。まだ、農地は、住人すべてに供給できるほどの生産にいたっていないからだ・・・・飢えが来るのか・・・まずいな、コボルトが喰われる・・・

う~む、なぜかシロが喰われることを想像して・・・涎が、違う!


『農地で、生産がうまくいくようになるには、後半年ほどかかりそうですからね~』

『で、備蓄はどのくらい?』


『そうですね~?順調に住民が増えてるから~?ギリギリ?飢え死に???』っと首をかしげるダニー。


おいっ?つまり、魔神何とかしないと・・・飢え死に!


俄然やる気でた!


しかし1位か~どうしたものか~途方に暮れていた時、わしらのいるテラスに・・・メアリーが嬉々としてやってきた。


『ゴブリンキング!やるんですか!!支援するんですよね~?』

『はい、します!飢え死にやだから!!』


鼻息も荒くテーブルの上にダンっと置かれる・・・地図に概要図に、軍やらなにやらの配置図に、なんだか計算でもしたのか?数字がいっぱいになった・・・紙の束・・・


まず、魔神の配置から・・・魔神は半島を押さえているようだ。半島の大部分は山脈で、一部に港町があったようだがそこに搾取のエリアを設置されている。その港町の上のほうに山城を構え3位の魔神を置いている。自分は、半島と大陸の付け根に山脈の終わる地帯でもあるその場所に搾取のエリアを設置その後ろの山の上に長大な回廊つきののような要害を持つ巨大な城を置いている・・・海上封鎖は3位の魔神が操ってるクラーケン・・・大蛸で半島からかなり離れた場所まで出張ってきて船を捕まえて港町に設置されている搾取のエリアに放り込む。

ここを抑えられてると、航路的には下側からの近道~上からの遠回り~になる・・・そしてその周辺には物資の輸送は不可。陸路で運ぶことになる・・・


人間族の城は、搾取のエリアを、かけれない位置に今のところある。今のところと言うのは、何らかの城の移動があった場合とかが想像されるから。

陸路でも物資の輸送を行っているとしても、人間側のほうが非常に危ない状態なのは、今のゴブリン城周辺で起きてる事とと同じってことですね、向こうのほうが規模は大きいですが。



海から攻められない。陸からも無理。

後は空から・・・わし、とべね


だが、メアリーは。

とんでもない作戦を考えていた・・・・

不確定要素だらけの不確実な作戦・・・やるのかそれ?


飢え死には困るのでやるしかないか~?

せめて、大蛸捕まえてたこ焼き大会でもひらくか~!


先ず船を大量に借りねばならないので・・・人足の手配と、協力してくれる皆様の移動手段の手配をしなければ、航路が押さえられてるのでその辺は安く手配できると言うこと。大型輸送船100隻だな~海に行くのは久しぶりなので、ドキドキだ!あんまり泳げないしね、わしってば。


船と陸路でセント・クロス・クラウン城に、わしらは向かうことになる・・・行ってみたもののわしって信用まるでなし。

自分が人間にこんなに嫌われてたんだね~。知ってたよ。

何でこんなやつら助けなきゃいかんの~?って、思う前に。ダニーとメアリーの粘り強い交渉と、技術提供の話&資材の供与などの話が行われた・・・らしい。

わしは不貞寝してたから良く知らん。


技術供与と資材供与の話の主題は、空からの攻撃用に気球を応用し魔法技術を併用して空飛ぶ船を作れないかという話だったらしい。航空輸送戦力があるかないかがこの戦闘の勝敗を左右しちゃうらしい・・・現在、この国は対空防御の為の、巨大な弓・・・小柄な人間の2倍ぐらいの大きさで、魔法によって身体強化する装備をつけた人が、弓自体にも加護付で、馬鹿げた大きさの矢を打つ・・・これも貫通やら追尾やら諸々の魔法を付加したもの、アルテミスというらしいが、引き絞るのに機械制御で時間がかかるため・・・連射不能ながら、撃墜精度は以上に高いのだそうだ。

後は陸上は騎兵など重装兵と軽装兵だが、魔法の封じてある筒とかをメインで使う戦闘をするのだそうだが・・・


山の上の城に乗り込む手段がない!

つまり攻めあぐねてるわけだ。


魔神側は、ガーゴイルや箱舟と呼ばれる空飛ぶ強襲揚陸船が、あるんだとさ。今は、アルテミスできたら落とすを繰り返してるそうだが。

向こうは眷属が魔力が続く限り無尽蔵・・・こっちはそうはいかないってのもあって、長期戦は無理・・・


この城に近い湾は、眷属たちに抑えられていて使えない・・・ここの解放もしなくちゃいけない。やることばっかだなぁ~。


『ことがなったら、うちで扱う商品に関税かけないでもらえますよね。』


ん?なんか、ダニーさんが凄いこと言ってるような?


『しかしそんな作戦がうまくいくとは思えんが。』


『そうですか。では、お話はここまでとしましょう・・・全てなかったと言うことで。』



向こうのお偉いさんが絶句するの始めて見た。結構面白いな、こういうの・・・わしは寝た振り中~


『わかった飲もう。』と、向こうの偉い人


『人間側の協力者の輸送については、こちらで見ます。これはサービスw』とダニー



『手配については、こちらで行うでいいか?』と偉い人


『お願いします。』と、メアリー



さっさと、ゴブリン城に戻るわしら・・・陸路で、100隻の船のある近場の港に向かう・・・最強部隊を荷物とともに引き連れて。


うはっ、気絶しちゃった人間族を尻目に・・・

『わしらは、戦争しに行くが。ここには何もしない!人間も食わないようさせる。だからこの街をしばらく、自由に使わせろ!!』


ダニー曰く・・・これは占領するぞって脅しにとられちゃうので~だそうだ。


ゴブリンジェネラル最強部隊だ!あいつのほうが偉そうに見えるのが気に入らないが。わし、腰布のままだし、あいつガチムチの鎧装備だし・・・むかつくので小さくなれと無理難題を言っていじめておいた。


いじめよくないと、メアリーにお小言をもらってるわし・・・おい、わし、王様だぞ!一応。


最強部隊に運ばせた、荷物を船に積み・・・積み込めるだけのゴブリンたちも積む甲板にゴブリンジェネラルを座らせるマストの下ね。動かれると船が傾くから付くまで動くな!と命令!!


停泊地に着くまで、おしっこも禁止!おおきいほうもね!と・・・いじめてたら・・・

また、メアリーに怒られた。



目的の場所から見たらかなり手前だが、ゴブリンジェネラル+最強部隊を停泊地に下ろす・・・現地に向かうように命じる。三々五々向かっていくゴブリン部隊、やるな!ジェネラル!!!カリスマ性ではわしに及ばんがな~



船に乗る船乗りと人足達は、モンスターの大群が降りてくれたことでホッとしたみたいだが・・・このでっかい停泊地は。広大な砂浜だが、なぜか?100隻が止まれるようなでっかい桟橋が仮設で作られていた、ダニーが手配したっぽい・・・あいつってもしかしたら凄い人?


『何が起きてもしばらく船から下りないように』と言って・・・わしらは船から少し離れた場所へ・・・

メアリーからほら貝を預かりおもむろに吹くわし

とある友人を呼ぶためのものだ・・・

法螺貝の重低音が夕方の海に響き渡る・・・



ざざざぁ~突然水をかき分ける音が近づいてくる。

水の滴る音とともに、海の中から現れたものは。

魚のような人のような存在・・・胸に深い縦一文字の傷をおっているが支障がないかのように胸をはり。わしらの前に海を背中に胡坐をかいたそれ。


『よう、海のゴブリン。サハギンキング』とわしは言った。

『ん?陸のサハギン。お前は誰だ?』と巨大なサハギンは言った。


『うぬ、いろいろあってこんな姿になったがゴブリンキングだ!』ほれ?と、ぶっかき丸をみせながら


『ふむ、そっか?ああ、呼ばれたのはわしのほうだが頼みがあったんだ』とサハギンキング

『?ん?なんだ?』

『お前のところに預けている酒何本か返してもらえんか』

『なんでだ?あ~、だめだ。飲んじまった』と、わしは舌を出した。


『なんだと!先々代のころから、わしら先々代との約束で海で得た酒をお前のところに預けると言う取り決めになっておったろう。それを勝手に飲んだだと~!!』怒りとともに立ち上がったサハギンキングわしらに向かって大木かと思える巨大で太い腕を振り下ろそうとした!


だが。


『イテテ』と胸を押さえる。


『まぁ、これを飲め』と、わしは赤い液体を渡す。


無造作に飲み干す『なんだこれは?』飲んでから聞くか?


傷が一気に治り、びっくりする。サハギンキング・・・傷が消えることは感慨深いらしく、ちょっと寂しそうだ・・・


『さまざまな生き物の命を液体にしたもんだ。聞いたことがあるだろ?わしもその中に放り込まれてこんなザマだ!』


この人間に助けてもらったんだと、メアリーを指差す。

『友の命の恩人だ。その人間は殺さぬと約束しよう。』とサハギンキング


『酒のことは嘘だ。この船全部に積んであるお前がほしいのは少ししかもって来ていないが、他に酒樽を積んできた。宴が開けるぐらいな。』


『いいだろう!野郎共!!宴だ!!』とサハギンキングが後ろを向く・・・・海の素面の少し下に赤い好転が無数に浮かび上がる・・・すでに囲まれていたのだ・・・


物凄い数のサハギンが海面から現れ・・・ひゃっはー!ひゃっはー!宴だ!!わっしょい!!とか言いながら次々陸に駆け上がってくる。


『酒を出せ!!』とゴブリンキングが船に乗っている人足達に命じる

『ふん!そんなもんじゃ間に合わん。野郎共手伝ってやれ!!ただしその人間共は喰うなよ!!』ぐわはは!!と笑いながら・・・


『でだ、何の用でわしを呼んだ!陸のサハギン。ゴブリンキングよ!!』

『それは、飲みながらとしよう。海のゴブリン。サハギンキングよ・・・人間達も宴に混ざっていいかい?』


『あぁ、かまわんよ。わしらで船は見ていてやろう。』

と言いつつ、5本のワインを空けるサハギンキング・・・それを見たダニーが短い悲鳴とともに目の幅に等しい涙を流しながら。

『ゴブリン城が五つ!!~』



宴は終わり・・・作戦はメアリーが説明した。


サハギンキングは、海に帰っていった。


さて、次の協力者の元に向かうかと。わしらは向かうが・・・船は、各国の協力者を乗せるため&わしの最強部隊の残りを乗せるため。ここより去る。


『サハギンさんたち、宴の間も結構海に戻ってましたね。?』とメアリー

『そりゃそうだろ。だって、えら呼吸メインだし!!時々海に戻らないと息がね~あと、干からびちゃうでしょが!』


『でも、サハギンキングはもどりませんでしたよ?』

『だからこそのキングなのだ。』

『よくわかんないけど凄いんですね。』


『まぁ、魚臭いけどいいやつらだったろう?』


『ゴブリン城が5つ~』ダニーが、つぶやいた。



魔神ホーリィが、メイドをやってる村に行き。

ホーリィに協力を要請する。


またも、お坊ちゃまとやらに、何か言われて地の果てまでおっかけっこしていたが・・・了解はしてもらえたようだ・・・

ただ・・・


『この作戦って?理想ですか?』とホーリィ

『ん?なんでだ?』と、わし

『いえ?なんていうか?不確定要素が多すぎて・・・・』

『そんなことないですよ、完璧です!』と、メアリー


そうだよな?わしが聞いてもそう思ったし・・・だけど、メアリーのやつが自信たっぷりで。


この作戦の不思議なところは、お昼から夜にかけて行われる。人間族が参戦するのは夕方から。

人間族は夜目が利かないものが多いので・・・わしらモンスターより苦労しそうだ、眷属たちだって夜目が効くし。不利なんじゃないか?

それも、月食の時を待つというもの・・・星明かりだけでも多少見えはするだろうが、人間族にとって不利は変わらない。


『大丈夫ですよ、魔法で明かりつけれますし。』と、メアリー

何で自信あるんだ?



戻ってきた船に、人間族の兵隊とわしらは船に乗り込むついに戦地に向かうのだ。

ダニーは、そのまま船に残り。人間族と行動を共にするそうだ・・・こいつも何をたくらんでるやら・・・


シロ・・・お前だけだよ、素直なの。



100隻の船が、海を進む。遠洋で一時と待って時間を待ち。昼に目的地の半島の見える位置に近づく・・・


魔神が操る大蛸をおびき出すためだ。自信満々なメアリーを見ていると変に・・・出来そうな気がするなぁ~?


船の周りには、イルカではなく。サハギンが飛び跳ねている・・・しゅーるだ。


半島のほうから、海が盛り上がって向かってくる・・・


99隻はこの場で待機、わしらの乗ってる船は向かってくるものに向かって前進。

サハギンの大部隊も一緒だ!


どっからだしたのか、サハギンたちは全員槍を構えている。見渡す限り一面に海の上に槍が突き出された・・・

どの船のやからも

『頼んだぞ~!!』とか、『行ってくれ!!』とか『おー!』など声がかかる。


サハギンたちはそれに答えるように

『ヤー!!』

『任せておけ!!』とかえす


サハギンキングの突撃の雄たけびとともに、巨大な群れは向かってきた獲物に襲い掛かった。


わしらは、戦っているサハギン達を迂回し半島のほうに向かう。


すると上空から・・・見知った・・・

すとんと降り立つホーリィ、何かを探してるようだ?おいっと声をかける。

なにやら驚いたように?だが、なぜ耳まで真っ赤になってる?


『びっくりした、ドキドキさせないでくださいよ。』

え~ドキドキしてるのは別な原因じゃないんですか~?などと、メアリーに聞かれ、船中を追い回すのを眺めるわし・・・


いいんだけどさ~、あんまり変な風に飛ぶと・・・パンツ見えるぞ・・・と、ちょっと老婆心。


物見をしていた船員が、上空大量のガーゴイル接近中!!と叫ぶ。


ほうほうと見ると、ウンカの様に空が真っ黒になるほどのガーゴイル・・・空を飛んでるだけに物凄い速さでこちらに向かってくる。


ははは


うみの下では大蛸、上ではガーゴイルか~絶体絶命じゃないか・・・



わし、そんなに泳げないのになぁ~



追いかけっこをやってたホーリィが、船首のに向かう。

それと同時に、メアリーが。

『船首をガーゴイルに!』と船長に


方向としては船は半島に向かっているのでガーゴイルのほうに向かっているが、微調整か?

『このまま向かって!!』


おいおい?無理だって・・・無理じゃない奴を知ってるけどね。

まぁ、そいつ今この船に乗ってるし・・・


船首側で、派手な閃光が連続してあがる。

ホーリーの魔法だ!!

1秒間で千発。6属性の魔法の槍。ホーリーは右手を左から横薙ぎに振った・・・

魔法の槍はその振られた奇跡を大きくしたように、ガーゴイルを一閃。


爆散していくガーゴイル。


ひゅーっと、口笛を吹く船員達


『さて、ゴブリンキング様。片付けてきますね。』と、半島に目を向けたまま言うホーリー

左手に箒、こんな戦時にかかわらず洋風のメイド服のスカートを軽くはためかせながら軽く宙に浮く・・・

『おい!』


『はい?』なんでしょう?と来る前に・・・


『パンツ見えてるぞ。』


ホーリィは、甲板に墜落した。


船員から激しいブーイング

おまえら・・・・・見てたろ?


気を取り直した、耳まで真っ赤になったホーリーが、スカートの後ろと前を気にしながらぎこちなく飛んでいくのを見送った。


海のほうはどうかな?


サハギンキングが。

『あの人間の娘の作戦とやらは・・・出来るのか?』

さぁ?と、サハギンたちはやりながら・・・


大蛸は、サハギンの群れとぶつかった。無数の槍に攻撃される。サハギンたちは車輪のように回る陣をいくつもつくり縦横に回転する攻撃をしている。防御と攻撃。間段ない攻め。

大蛸は見る間に傷を増やしていく・・・


だが!大蛸中心に雷球が発生そして放電!!海水を通して広がった電気は、ゴブリンキングの乗った船にまで届くほどだった。海が一瞬光って見えるほどの放電・・・

腹を上に浮かぶサハギン達・・・・感電のダメージは深刻だ。



髪の毛を逆立てたメアリーに思わず笑ってしまったが。

『やっぱりおかしいですよ?蛸なのに電撃って・・・』



サハギン達は、車輪を崩さず大蛸を攻撃する。車輪の陰からサハギンキングが高速の一撃離脱で大蛸の右目に槍を打ち込んだ!


悲鳴を上げる大蛸・・・

車輪を右方向に、蛸の視覚からの攻撃に切り替えようとした・・・その時。雷撃!そして、大蛸は、もうひとつのありえない攻撃を行った。


雷撃をかろうじて回避したサハギン達に蛸の吐いたスミが襲い掛かったのだ・・・だが、それはスミではなかった毒だ。次々脱落していくサハギン・・・


ありえぬ攻撃、襲い掛かられ 引きちぎられ 喰い散らかされる


サハギンキングは、退かない。

高速の一撃離脱を繰り返す、毒にまとわりつかれ。しびれ始める体で・・・


もうひとつの目を・・・と狙う。


しまった!大蛸の腕のひとつに殴られ。

意識が・・・・まずい・・・


毒で動かぬ体。


ここまでか・・・


目は海底を見た・・・いた!来てくれた!!


それは、ここにいる大蛸より大きなこの海の王クラーケン

クラーケンも巨大な蛸だ。

その巨体が泳ぐ力も導引して浮上!!大蛸に体当たりをした!!海の上に浮き上がる大蛸に、大量のスミを吹きつけ目を潰す。

そこに、巨木のような腕で八連打!!


間髪いれずに、腕で相手の胴にまきつき怪力で圧しながら海底へ引きずり込む。



暗くなり始める海の色そこで光の粉が撒き散らされた・・・大蛸は魔神が作った眷属だったのだ。散る光が終わるころ眷族の姿は無くなっていた。



『クラーケンに、助けを求めて』と人間の娘に言われたが・・・クラーケンは、わしらを食料だくらいにしか思っていないだろうし、言葉が通じんだろうと思っていた・・・


『そんなことないですよ、蛸って頭がいいんですよ』

あの人間の娘・・・そう言っていたが・・・まさかな



海の王の気まぐれ、それだけだ・・・海の上に腹を浮かせて浮いている仲間達と一緒に波間を漂いながらサハギンキングは、そう思った。



船が、近づきゴブリンキングが

『生きてるか~?』と赤い液体の入ってる瓶を何本か投げた。


『なんとかな~』と左手お上げて応じるが、毒がきれてないまだしびれる

『動けるようになったら、港町のほうに行って人間どもの援護する。そっちもがんばれよ!』


『おう!まかせろ』

と、船は離れていった・・・半島側の空の上、魔法の光と無数のガーゴイルの羽音が見える・・・


『魔神ホーリィ・・・あんなものまで味方につけるか・・・陸のサハギン!さすがだ!!』


さて、死んだ目をして浮かんでる奴を殴りつけて・・・立て直すぞ!!っとサハギンキングは動き出す。

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