松江の女 12

別れの時が近づいていた。


明子は大阪へ帰り、私は岡山へ帰らねばならぬ。


松江駅へ彼女を送ると、そこで別れた。


「連絡をくれよ」


「いいわ。モーニングコールしてあげる」


「じゃ、元気でな」


「ええ」


ドアが閉まり、列車が動き始めた。


私は手を振った。


彼女もそれに答えるように手を振った。


東急ホテルへ戻り、岡山へ帰る準備をしていると、スタッフの一人が、ショーを企画した社長の奥さんを乗せてもらえないかと言ってきた。


社長達はゴルフへ行って、それから帰るのだと言う。


私はすぐに承諾した。


彼女は助手席に乗った。


私は以前、彼女とあるデパートで会ったことがある。


その当時、彼女はデパートの地下売場で店員をしていたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る