第5話 太平洋戦争の真実①
1941年(昭和16年)12月、大日本帝国海軍によるハワイ諸島真珠湾への奇襲が成功。これにより日本はアメリカ合衆国への宣戦布告を成し、属に言う "太平洋戦争" が勃発した。日本は奇襲成功も手伝って、当初戦いを優位に進めた。さて、当時の両国の戦力
はどうだったのであろうか。人員としては言わずもがなで、アメリカ軍が圧倒的であった。しかし、空母や戦艦、巡視船等の保有数は、アメリカ軍はおろか、連合軍(アメリカと同じ側のイギリスやオランダ)をも日本が圧倒していたのだ。そして戦闘機に至っては、前年に開発された零式戦闘機、通称ゼロ戦の力がアメリカ戦闘機を遥かに凌ぐ性能を持っていた。(アメリカ軍の戦闘機パイロットはゼロ戦を見て、
少し脱線して余談をするが、零式戦闘機について少し説明をさせていただく。当時の日本は西暦を使う事が禁止されており、代わって皇歴と言うものが使われていた。皇歴とは紀元前660年、初代神武天皇が即位した年を起源とした日本特有の
もう一つ余談を許していただきたい。先ほどから、海軍と言っては戦闘機を取り出たしているが、当時の世界全体の風潮として、戦闘機は長距離を飛べる燃料を積めるものなど皆無であり、戦闘機は空母に積み込み、ある程度空母で敵陣にまで行ったところで空母より発進し、戦闘に加わり、ある程度の行動の後、空母へ帰還したと言う訳である。つまり海軍の空母無くして戦闘機の活躍の場などなかったのである。であるからして戦闘機は海軍に属していて、空軍自体が存在しなかったのだ。それが後に語る太平洋戦争と言うものの悲惨さを生み、太平洋戦争と言うネーミングに関わる事なのだ。
長くなったが本題に入ろう。そもそも何故この戦争が "太平洋戦争" と呼ばれるのか?なのだが、もちろん日本とアメリカとの間に大きく広がる太平洋があるからに他ならないのだが、もしも今日本とアメリカが戦争をしたとて、そうは呼ばれる事はないだろう。先ほど説明したように、戦闘機は長い距離を飛ぶ事は出来ない。それは太平洋間でもである。仮にハワイ諸島を経由したとしても無理なほど、当時の飛行機の飛行距離は短かったのだ。せいぜい東京都内から大島諸島へ往復出来れば良かったくらいだったのである。つまり戦闘機が行って何らかの行動を起こして帰って来るには、日本〜アメリカ間では不可能であった。その為の空母であったのだ。
そして戦局を大きく揺るがす日本にとっての忌まわしき海戦が幕を開けた。ミッドウェー海戦だ。
ミッドウェーとはハワイ諸島にほど近いユーラシア大陸と北米大陸のほぼ中間地点に位置する岩礁帯で、日本とアメリカの戦争に於いて、陸を制する事が、すなわち空を制するに等しかった。とは言っても、日本、アメリカ間に陸地は少ない。北太平洋に至っては、ハワイ諸島及びミッドウェー岩礁帯くらいしか陸と呼べる陸地はなかったのだ。
ミッドウェー海戦はアメリカの大勝に終わり、これが太平洋戦争の大局を決め、開戦僅か半年と言う期間で決着はついたと言って過言ではなかった。なのにである。それからも戦争は続き、約三年八ヶ月もの永きに渡り日本国民は苦しめられる事となったのだ。
そのミッドウェー海戦とは如何ようなものであったのであろうか。何故に太平洋戦争の大局を決めた戦いだったと言えるのだろうか。それはミッドウェー海戦に挑んだ日本の航空母艦(空母)が全滅させられてしまった事が一つである。開戦当初は先に述べたように、日本の空母は他の国々を圧倒していた。しかし元々資源力に乏しい日本は、主戦力である航空母艦が失くなったからと言って、直ぐには新たな兵器を用意出来るだけの財力も資源力も、持ち合わせてはいなかった。
更に悪い事に、二つ目に、日本は撃ち落とされた戦闘機の回収を怠ってしまったのだ。この撃ち落とされた戦闘機は、もちろん零式戦闘機であり、その性能の秘密は、米軍に回収される事となり、白日の元に晒される事と相なった。無論、米国の科学力からすれば、ゼロ戦の秘密を丸裸にする事など、造作ない事であったであろう。とは言え、ゼロ戦の構造上の素晴らしさは、米軍の科学者を唸らせた事は、想像に難くない。
かくして経済力、軍事力、双方に勝る米国は、日本の技術力を吸収し、B29戦闘機を開発したのであった。と、ここまでが太平洋戦争の前半戦なのである。
賢明な読者諸君よ、お分かりになっていただけたであろう。既に大日本帝国が負けに向かっていた事が。そこで大日本帝国が簡単に白旗を揚げられるようなら、あんなにも悲惨な事ごとは起きなかったのである。言い換えれば、そこからが本当の太平洋戦争が始まったのである。
次回は太平洋戦争中盤の、大日本帝国軍の軋轢と招かざるをして招いてしまった悲劇の真実に迫って行きたいと思う。
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