第4話 軍事国へと突き進む大日本帝国

読者諸君は社会主義や共産主義と聞いて、どのような印象を持たれるだろうか?わたくしごとで申し訳ないが、私は一権力による独一どくいつ主義と言う印象を持たざるを得ない。それは私の偏見や勘違いなどではなく、歴史が証明しているのである。

前章で述べた通り、世界大戦について述べていこうと思う。とは言っても、あくまでも我が国日本から見たものである。何故ならば、皆さんは "勝てば官軍、負ければ賊軍" と言う言葉を聞いた各々おのおの方も多いと思うからである。言わば戦争と言う理不尽な行為は見る側からすれば、全く逆の意味合いを持つのである。であるから "日本から見た" と言う私たち日本人の贔屓目で見ないと、軸がぶれる訳だ。そこのところは理解していただきたい。

さて、話しは変わるが、西南戦争と言うこの言葉が生まれたのは、かの有名な西南戦争後である。

幕末期、日本の未来をうれいた西郷隆盛卿は、明治維新の中心人物でありながら、様々な紆余曲折を経て、新政府の中心から離れる事となった。しかしながら新政府に対する不満を持つ薩摩志士たちは、戊辰戦争で活躍した西郷卿を頼って、戊辰戦争の再現を願い出たのだ。この時すでに日本の未来を、これからの若者に託していた西郷卿は、若者たちの願いを受け入れる道しかなくなり、新政府へ抗議活動を開始した。しかし盟友であった大久保利通卿はそれを無視、遂には西南戦争へと突入したのである。

この当時の西郷卿は、日本国からすれば、絶対正義であり、英雄であった。にも関わらず西郷卿は賊軍へとさげすまれた訳である。これが見る側からすればなのである。分かっていただけたであろうか?

話しを戻そう。現在世界大戦と言うものは、第一次と第二次の二回行なわれている。しかし第一次世界大戦に対しては、述べる事を省こうかと思う。そもそも世界大戦などと言う呼び名は、やる前から決められた訳ではなく、結果としてそう呼ばれているのである。つまり第一次世界大戦は、ヨーロッパ諸国を中心とした戦いであり、我が国からすれば、参加しなかった訳ではないのだが、どちらかと言えば遠い国同士の争いに、国交関係から同調し、参加せざるを得ない状態で参加しただけで、そこには大義名分もなかったのだ。であるからして、勝戦国の内の一つであった我が国には、大した被害も利益もなかったのである。但し、遡る事二十年前の1894年開戦の日清戦争、十年前の1904年開戦の日露戦争に続いての三連勝である。日本国が軍事国家として進む道としては、充分な結果と言えるであろう。


さて、それでは第二次大戦は如何いかにしてその一途を辿っていったのであろうか?時は混迷を極めていた。資本主義は頭打ちを迎え、世界恐慌を招いた。そんな時に台頭したのが、ロシアのレーニンが提唱した社会主義国家である。人は生まれながらに平等であり、財を成す者はそれを社会に還元する。その事を国家が管理する事で、不条理や差別を根絶すると言う考え方なのだ。必要な物は必要なだけ皆が共有して生産計画を立てる。その事から、共産主義とも呼ばれるようになった。

一聞すれば理想的な主義主張とも取れる。しかしながらこのレーニン主義には大きな欠点があるのである。それはと言う部分なのだ。国家などと大層な事を言ってはいるが、所詮は一個人なのである。その一個人が全権力を一人占めして、全国民の財産及び生活を管理する。考えただけで寒気を覚える事だと私は思う。

つまりは社会主義、共産主義は独裁国家になり得る根源となる考え方なのである。前章で述べた通り、人間はエゴを持っている。力を持てば、それを使いたくなるし、利権を得ようとするものだ。権力者や国家中枢が、神のように神聖であれば問題はないだろうし、むしろ推奨されるべき考え方であろう。しかしながら残念な事に人間とは業深き生物なのである。故に社会主義、共産主義は非常に危険な考え方であるし、国そのものが貧困を招く諸刃の剣なのである。

ここまで聞いて、賢明な読者諸君は如何ようにお思いだろうか?現在の我が国とはかけ離れた世界。そのように感じられる方も少なくはないと思う。しかし実際には、僅か75年ほど前まではそのような状態に我が国はあったのだ。しかもたちが悪いのは、日本特有の天皇制度を利用して天皇を神格化し、政治を司ったのは、帝国軍であったのだ。

それでは軍隊が政治を掌握する国とは、如何ようなものなのだろうか?現代で言えば、それに近い存在の国は、北朝鮮である。厳密に言えば国の最高責任者である金正恩氏は、国のトップと北朝鮮軍のトップを兼任しているような状態であるが、当時の日本に当てはめてみれば、"国のトップである金正恩を、軍のトップである金正恩が、言いくるめて指揮命令を出させていた" と言ったところであろうか。

では何故にそのような事が出来たのであろうか?先ほども言ったように、当時の我が国は、戦いに於いて、連戦連勝であり、特に日露戦争に於いては、大方の予想を翻して大国ロシアに対して大番狂わせを演じてしまったのである。まさに神の所業としか思えない状況であったでだろう。そこから天皇の神格化と、神たる天皇に護られた神国大日本帝国が成された事は、想像にかたくない。

当時の日本は私の想像するに、何者かにより洗脳された軍のトップが、国民をも洗脳し軍国主義へと走ったのだと思うのである。その何者かとは、人物でも国でもなく、ただただ勝利の余韻に酔いれた愚人ぐじんの成せるわざなのである。


さて、その愚人たちに狂わされ、ロシアよりも大きなアメリカと言う大国に宣戦布告した我が国の末路は、75年も経った今でさえ誰しもが知る事であろう。敗戦国の末路など、私が言うまでもないのである。そんな事を事細かく書いたところで、賢明な読者諸君にガッカリされ、笑われる事だろう。

さぁここからが本題なのである。第二次世界大戦に於いて、日独伊三国同盟の元、イタリアはムッソリーニの元、早々に、ドイツもアドルフ・ヒトラーの元、粘りはしたものの、白旗を揚げたのだ。なのに日本は、何故だか最初で最後の核被爆国となるまで戦いおおせたのだ。

次の章では、この第二次世界大戦の一部である "太平洋戦争" こそが我が国日本が、二度と戦争をしないと決めた悲惨この上ない戦争であった事を紐解き、"戦争を知らない大人" が、平気で "解決方法は戦争するしかないんじゃないですか?" などと到底、国のまつりごとに関わる頭脳明晰な者とは思えない事を発言した "バカ政治家" が如何に愚かな発言をしたかを明らかにする為に、詳細を書いていこうと思う。

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