第5話 パパには内緒よ
「ねえ、これなんかどうかな?」
次男の明がおやつを探しにリビングに降りて来たところ、パソコンを見ていた由香里に捕まってしまった。
「ママ、運動会?」
「ううん、スポーツ・ジムで着るの」
「へえ、ママもこんなの着るんだ」
パソコン画面に出ているモデルは大学生の女の子ばかり。自分のママが着る姿は想像もできないのか、顔には「似合わないよ」とはっきり出ている。しかし、勘のいい明は気がついた。
「あのイケメンのお兄ちゃんもスポーツ・ジムにいるの?」
「ははは、分った?」
由香里も明には隠し立てはしない。
「ママはこれが欲しいんだけどなあ」
画面をクリックして選んだのは淡いピンクのトップスに濃紺のパンツ付きレギンス、40歳のママが着るようなものではないが、明は「へえ、カッコいいなあ」とニッコリ答えてくれた。
「でも、パパやお兄ちゃんには内緒よ。いい?」
「うん」
「これ」
「へへ、いいの?」
「ママと明の秘密」
「はーい」
おやつ代わりに〝口止め料〟を貰った明は「これだよね」と人差し指を口に当てながら、リビングを出て行った。
〝口止め料〟を含めた値段は安くはないが、これで一之瀬君の気持ちをゲットできれば高くはない。勿論、由香里は「購入する」をクリックした。
よし、これでバッチリ!
由香里の心は早くもスポーツ・ジムに飛んでいた。
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