第7話 【添乗に添う】

 天井に深淵の闇が這う。

 簡素な背もたれに緩まり、痛く無様に凭れゆく有り様 さぞや滑稽であろうな。しかしげじげじ様しかおりゃせんよ。

 揺らぎもしない明かり電燈は唯安っぽい過去だけを映し出す。

 滲んでゆく展望に未来は遷さず 只安穏に寝息を立てる静物生物に心を乱される畜生。まだ 今を捨てきれない 阿呆の心だ。

 

 息をするのも烏滸がましい体である。

 しるしは私から愛を亡くした。信じていたかった 縋りつきたかったのに。

 自由に徘徊す今を食い荒らす鳥には 未来などけさらせらのようで。

 からしても。

 海に在る三面鏡は居間にあるが散開してるしかなく 滔々ナミダに泣き崩れては擁き合うのは必然、えにしである。

 すべて当たり前に寄り添えればよかったのであろうな。

 しかしやはり価値が違う、からこそ惹かれたのだろう。しかし知っていて結ばれた縁ではなかったのだろうか。風すら吐かず芥ばかりが憑く、重く崩れて混濁するばかりだ。だが他人ならば優しくも成れような。

 ですから捨てきれず未だ愛に溺れているのでしょう。

 三面鏡の結束は固い。

 これまた残念な万華鏡に変化へんげするので りの隙間は入りません。私たちの未来はめぐるめく死海視界に展望する未来に堕ちていくのでしょう。そこで一枚一枚剥がれいき生き新しい世界をすはずです。そこに私はのか、黒く塗り囲われる存在でありたい。でも本当は笑って過ごせる風になりたい。


 はてさて。

 切っ先には如何様にも映り混むモノでして。

 琴の刃の過去を覗く水鏡すいきょうには活き活きと泳ぐ泡沫うたかた

想いにより如何様にも此処に今を魅せ続ける。

更々酸いも甘いも心次第、展望に見えるは胸に指差された只のささくれのようなもの。

 さあ もうおやすみ。

 戯言の災いは美しく綴られ皆に阿呆を曝したのでした。



三面鏡=渡し小鳥達

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